8. ――― 剣術
「起きてください、ノルス様」
リリは俺の名前をそっと呼び、起きてと言った。
もう夜が明けたから、リリが起こしてくれるのは当然だ。けど、なぜか起きたくない。
最近は疲れが抜けず、気だるい。
「あと5分寝かせてー」
「それはだめですよ。それに旦那様はノルス様に会いたいとおっしゃっています」
「……えっ、お父さんが?」
「はい」
お父さんが俺に会いたい?
いったいどういうことなの?うんん……多分、何か重要な用事があるのだろう。
「わかった」
俺は起きて一度背伸びをして、ベッドから立ち上がった。
リリが近づいてきて、普段着に替着えさせてくれた。
ぼんやりとしながら裏庭へ出て顔を洗った。
食堂へ行き、椅子に座った。
「おはよう」
「おはよう、ノルス」
「うん……おはよう、お父さんお母さん」
いつもの挨拶をした。
目の前の食事は豪華だが、俺は食欲がない。
「どうしたの、ノルス?そんなに元気がない?」
お父さんが言った。
「もしかしてノルスは病気になった?それは大変だ!大丈夫?」
お母さんは慌てて言った。
「いや、大丈夫ですけど……別に……。そうです、リリから聞いて、お父さんは何か重要な用事があるようで、僕に会いたいと?」
「そうだよ」
やはり……。
「じゃ、それはなんのことですか?」
「ノルス、君は剣術に興味があるか?」
「剣術?」
「そう」
剣術か……。
俺は前世で、身を守るためにフェンシングと剣道を勉強したことがある。
まあ、剣術を勉強するのもよい。
「確かに、少し興味があります」
「興味があったら、いい。なら、食事後、私と屋敷の訓練場へ行ってみよう」
お父さんが言ったのを聞くと、ちょっと嬉しかった。
「わかりました。じゃ、いただきます」
ナイフとフォークを手に取った。
早く剣術を勉強するため、朝食を素早く食べた。
「ごちそうさまでした」
お父さんは俺が朝食を素早く食べたのを見て、苦笑した。
「ノルスは本当に剣術が好きなようだね……」
「でも、気をつけてね。怪我をしないようにね」
「はい、お母さん。注意します」
他の人を支配するために剣法も勉強しなきゃ。
魔法と剣術を覚えたら、他の人を臣従させるのはたやすいことだ。
朝ごはんを食べ終わった後、お父さんが俺を屋敷の訓練場に連れて行った。
訓練場で一人の中年男が兵士たちを鍛錬していた。
「尻込みしないで、剣を握りしめろ!相手のすきに注意して、一撃を加えよ!」
厳しそうに見えた。
兵士たちは2人で組に分かれて、対戦してる。
「おはよう、ケール」
お父さんが言った。
その男は振り向いて俺たちを見た。
「おはよう、旦那」
その男がやってきた。
「私はもう尋ねた。ノルスは剣術が好きなようだ」
「そうだか……」
目の前の男は俺を見た。俺も目の前の男を見た。
青色の髪と瞳、体つきを見るとなかなかたくましい。
「……あっ!すまん、自己紹介を忘れた。俺の名前はケール、よろしく」
「はい」
「ノルス、これからはケールが君に剣術を教えてくれるさ」
「はい」
ケールの様子を見て、かなり強い人だと直感した。
《鑑定》を発動した。
――――――――――――――――――――――
【ケールクロウ・ルイファン】
称号:竜殺し者・Sランク冒険者・剣豪
年齢:四十五歳
性別:男
レベル:232/∞
HP 23600/23600
MP 232025/232025
力 SS 水 E
体力 S 火 SS
知性 B 風 F
防御 S 岩 E
速さ S 土 E
精神 SS 草 E
器用 S 雷 A
運 A 光 E
闇 E
無 S
固有スキル:
《剣豪之力》LV.8 《上級剣技》LV.5 《神速無双》LV.4 《冷静判断》LV.3
――――――――――――――――――――――
「なん!?」
ショックを受けた。
「ん?どうしたの、ノルス?」
「いいや、なんでもありません、お父さん……」
苦笑した。
彼のレベルはどういうことだ!
このレベルに上がるには、多くの魔物を殺したはずだ。
そして称号『竜殺し者』から見て、彼は竜を殺したことがあるようだ。
竜、俺は本で読んだことがある。それらは高度な知恵や強大な力を持つ生き物だ。はては北方に国を作ったものまでいる。
彼はそんなに強いものを殺したなんて……。
もし俺は彼からすべての剣術を学べば、いいや、彼を支配すれば俺は覇者になれるだろう。
「ケールさん、僕は早く剣術を学びたいです」
「おお、よいことだ、お前の剣術を勉強したい心は。そして敬語はいらぬ」
「……わかった」
「じゃ、行こうぜ」
俺はケールについて練訓場の中央に行った。
「みな、ちょい休憩してくれ。俺は坊ちゃまと対戦するから」
対戦!?
俺は彼と対戦するなど想像もしていなかった。
彼はただ俺に剣術を教えてくれるだけだと思っていたが、そうじゃないようだ。
周囲の兵士たちが下がった。
ケールは俺に木剣を投げた。
俺は木剣を受け取り、彼に聞く。
「どうして僕と対戦するの?僕に剣術を教えてくれるだけじゃんの?」
「そうだ!ただ教える方式はちょっと違う」
「……わかった」
多分実戦を通して、俺の実力を知りたいのかもしれない。
とてもよい、これで俺も実戦の経験を増やすことができる。
「まず姿勢と気勢がとても重要だ。姿勢は、すきがないように注意する。気勢は、敵を威圧する効果がある。したがって、2つのうちどちらかが欠けてもだめだ」
「そうなんだ」
「そして俺は剣術の基本の姿勢を教える。右足を前へ踏み出して、剣を両手で握りしめて、剣先を少し前に傾ける」
ケールは言いながらやって見せてくれた。
「わかった」
右足を前へ踏み出し、剣を両手で握りしめ、剣先を少し前に傾けた。
彼の言うとおりにした。
「いいぞ。そして気勢、殺気を帯びた目で敵をにらみ、心で敵を殺すつもりになれ」
「わかった」
俺は鋭い目つきでケールをにらんでいる。
ケールを殺そうと思っている。
「おお、よいな。さあ、かかって来い!」
剣を握りしめて、ケールに向かって突き進んで剣を振った。
だが、ケールはすずしい表情をして俺の攻撃をかわした。
俺は絶えずケールを攻撃し続けたが、ケールは表情一つ変えずに俺の攻撃を防いだ。
この顔、本当に不快だな!
突然ケールは俺の頭の真上から剣を振り下ろした。
俺は左へ跳んで、攻撃を避けた。
この一撃で床を凹ませた。
これを見て、俺は冷や汗を流した。
やべえ、と思った。
もし俺がその一撃を避けなかったら、死んでいなくても重傷を負っていたはずだ。
こりゃもう触たら止まるんじゃねえ、本気だ。
「いいぞ。攻撃するだけでなく、相手の攻撃を避けることもできる」
「ありがとうな」
再度ケールに向かって突進した。
2つの剣が交錯した。だけど、俺は力が弱いので、だんだん劣勢になってきた。
「うぅぅ……」
すきを見つけて攻撃しないと。
だが、今俺の行動は制限されている。
「火の神よ、私に力を!全てを燃やして灰燼に帰せ!」
やばい!こいつは、詠唱している!
「火属性中級剣技《炎魔剣》発動」
次の瞬間、ケールの木剣は炎に包まれた。
それで炎が周りに広がり始めた。
「なにっ!」
熱い!
火炎でやけどをした。
このままじゃ、火炎に焼かれて死ぬかも。
なら―――《身体強化》を使い、バックステップした。
「避けるとは……。お前を甘く見ていたようだ」
「お前が俺を殺したいのか?!」
「いやいや、少し躊躇があったよ。だから、大丈夫だな」
「大丈夫じゃねえ」
それにケールが躊躇したなんて感じない。
「で、さっきはなんだ?剣は炎に包まれていたじゃないか?」
「おお、それは剣技だよ」
「剣技?」
「そう。でも、魔法とはちょっと違っている。魔法は杖に魔力を注ぎ、剣技は剣に魔力を注ぐのだ」
「なるほど」
「まあ、俺がそう言っても、坊ちゃまは多分わからないだろう……」
じゃ、俺も剣技をやってみよう。
剣に魔力を注いだ。
《炎魔剣》発動!
剣は炎に包まれた、成功だ。
「なぜなら、坊ちゃまには魔法の基礎がない……なに!?」
ケールは俺が剣技を発動したのを見てびっくりした。
「さあ、続けよう」
ケールの方へ突進した。
自分の力がより弱いことがよくわかっているから、また《身体強化》を発動した。
それとケールの行動を予測するために《周囲感知》も発動した。
俺たち二人は互いに渡り合って、優劣がない。
しかし、ケールの動作は慌てふためくように見える。
訓練場周辺の兵士たちが交戦の激しさを見て、歓声を上げ始めた。
お父さんは驚いた顔をしている。多分、俺が剣技を使えることにもびっくりしただろう。
ケールに突きをしたけど……俺の前から消えた。
「後ろ!」
ケールは後ろから切りかかってきたが、俺は振り向いて剣で攻撃を防いた。
速い!でも、そろそろだ!
《火強化》発動!
剣を包む炎が大きくなっていった。
「―――っ!?」
俺は飛び上がってケールに打ち込んだが、防がれた。
両剣また交差し、対峙して譲らない。
俺は力の限り剣を前に抑えつけた。
『―――バキッ』
と音がして、俺の剣が折れた。
「……えっ」
見たところ、俺は負けたようだ……。
「とても面白い!」
「読み続けたい!」
「更新を期待です!」
とか思いましたら
是非下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまるで構いませんか!
よろしくお願いいたします。
白皇 コスノ 拝啓




