表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コムチャン森の住人たち  作者: ぱめ
19/68

亭主わんぱく

 わんぱくは武士である。

 だからいつも日本刀を手にしている。

 一人でいる時は結構強い。

 女房がいる時は相当弱い。

 女房の名前はひょひはんである。


 わんぱくが座禅を組み、瞑想に耽っていると、台所からひょひはんが呼んだ。

「あなたー。ちょっとお醤油買って来て」

「はいはーい」

 真剣を人格にしたようなわんぱくの表情が途端にふにゃりと崩れる。


 日本刀を持って、わんぱくが醤油を一本買いに道を歩いていると、向こうからこむがやって来た。


 わんぱくはこむが大好きである。

 こむもわんぱくが大好きだった。


「こむくん!」

「わんぱくぅっ!」


 いきなりこむが道の上にぱたりと倒れた。

「脳しんとうだ!」

「脳しんとうだ!」

 二人は声を揃えて遊んだ。


 夕暮れが森を包みはじめた頃、二人はようやく遊ぶのをやめ、家路についた。

 帰る家は同じである。


 帰りながら、こむがわんぱくにねだる。

「わんぱくぅ。武士の一家言を教えてよ」

「武士道とは……死ぬことと見つけたり」

 かっこよく言い放ったわんぱくにこむが聞く。

「それがどういう意味かわかっとーや?」

「さあ?」わんぱくは平和な笑顔で言った。「ぼくなんかにはわからないよ」


 家に帰るとひょひはんが醤油を待っていた。

 わんぱくはこむと遊ぶのに夢中になってすっかり忘れていた。


「お醤油は? 買って来てくれた?」

 ひょひはんは鬼の形相で聞いた。

「こむちゃん」


「えっ?」

 こむはあまりに心当たりがなかったので、ばかにするような声を返した。


 ひょひはんの踵落としが降って来た。


「危ない! こむくん!」

 こむをかばって飛び込んだわんぱくの体がスポンジのように攻撃を吸収し、バネのようにひょひはんの巨体を弾き飛ばした。


「しょうがないわねぇ」

 遠くのほうで地響きを立てて着地したひょひはんが言った。

「男のひとって、いつまで経っても子供なんだから」


「アハハ」

 わんぱくは笑ってごまかした。

「あいしてるよ、ひょひ」


「そんなのでごまかせると思って?」

 ひよひはんはわんぱくの柔らかい胸にそっと飛び込んだ。

「……んもぉ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ