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アイスクリームを買いに
きつねのゴンは100円玉を握りしめて森の小径を歩いていた。
その前へ突然、猟師が鉄砲を持って現れた。
「ゴン……。お前か」
「もっ、茂吉さん!」
「そっただもん持って、どこさ行くだ?」
「もっ、茂吉さんは岡山県人だったはずでは? 何、その喋り方?」
「そがぁなもん持って、どこ行くんじゃ」
茂吉は表情を変えずに言い直した。
「アイスクリームを買いに」
ゴンは素直に答えた。
「行かさせん」
茂吉は猟銃を構えた。
「理由はなぁけど、行かさせん」
「アイスクリームを買いに行くだけだよぉ」
ゴンは泣きべそをかいて座り込んだ。
茂吉の猟銃が火を吹いた。
「おえんがな」
茂吉は呟いた。
「ちゃんと避けれや」
こむが150円を握りしめて森のスーパーへ向かって歩いていると、貧乏そうな格好をした男がきつねを抱き締めて泣きじゃくっていた。
「ゴンよぉ! ゴンよぉぉぉ! すまなかっただ!」
男の腕の中で、きつねは目を閉じていた。
何か悲しいことがあったんだな、と思うと、こむはまっすぐ森のスーパーへアイスクリームを買いに行った。




