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〈1章〉己の宿命

三嶽君の変な想像が見どころです(笑)

それでは〈1章〉ラストの話です!!


委員会、係決めから一週間後に全ての委員会、係が正式に決まった。生徒本会議係と選挙管理委員会はスムーズに決まったが、生徒係は中々決まらなかった。ついに、演説という形で、どの生徒が最も意欲があるかクラス生徒全員で投票し、多い得票順に三名が決定した。

俺は、教科係の家庭科に決定したのだが…

(相手が、まさか女子とは…)

けれど、今日は家庭科係初めてのお仕事だ。

家庭科の教師に明日の準備物を聞く為、現在二人で被服室へ向かっている。

別に、二人とも行く必要は無いと思うが、初めてだから仕方ないのか。

「…」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…」

気まずい…。いい加減覚えろと言いたいのは分かるが、顔と名前が一致しないこのパートナーは、よく昼休み読書に励んでいる。

友達を積極的に作るイメージはない…と言うよりいつも教室では影を潜めており存在に気づけてもらえているのかすら怪しい。

無理に話そうと、相手の趣味に合わせて会話をするのは難しい。

俺が、読書を好む人であれば何とかなったけれど…。

相手の様子を横目で確認する。

身長は俺の肩と並ぶ小柄な人だ。

そのせいか、弱々しく感じる。

黒髪にきれいに揃えられているパッツン前髪、ツインテール!!決して、ロリコンとかそんなんじゃないが、しっかり見れば、可愛い要素が沢山詰め込まれている。

待て…!!もし、この状況をあの猫ちゃん野郎が見ればどうなる?

ロリコン認定される可能性大!!

危ない、危ないぞ三嶽。一刻も早く、被服室へ行かなければ。

「…」

「…」

一言も会話を交わさずに、ようやく被服室へ着いた。

勝手にパートナーが、ノックをし始め、扉を開けた。

「失礼します。一年六組、八坂(やさか)琴葉(ことは)です。授業連絡を受けに参りました」

威勢のよい声に、横に居た俺はつい驚いてしまった。

無事、授業連絡を受け、教室に戻る。

来た通路をそのまま戻るだけのはずなのに、この無言の圧力に屈しようとしていた。

「あの……」

「はい!!何でしょうか…」

唐突な掛け声に、変な高い声が出てしまった。

「…その…教室に…戻ってて…いいですよ」

え???

「ごめん…邪魔だった?」

「…その………そうじゃなくて…私と一緒にいるの……見られるの…嫌でしょ?」

斜め右の質問になんて答えれば良いか直ぐに分からなかった。

「嫌じゃないよ…ただ八坂さんとは話した事無かったから、緊張したと言うか何というか…」

「私も…緊張……してた。三嶽君は……凄い…人だから…」

「俺は凄くないよ。何においても平均的だし」

「そんな事無い………新入生代表挨拶……とてもかっこ……よかった」

その一言で俺はとても救われた気分になっていた。校長先生と蹲先生以外、誰からも良いとも悪いとも、どんな評価を得られていたか不安だったけれど、とても元気が出てきた。

「ありがとう…」

「八坂さんも、さっきは凄かったよ。緊張した状態で先頭切って、家庭科の先生にあんな真正面に話しかけれて」

「…そんなの…凄くないよ…。でも、その、ありがと」

「優しいね……三嶽君は」

俺の事を優しいと、言ってくれる人がいるのかぁ。なんていい人なんだ八坂さんは!!

誰かさんとは違って礼儀もある人だ。

「その、もし……良かったら…()()()お友達に……なって欲しいです…だめかなぁ?」

そんな瞳で見つめられたら−意識してしまう。お願いだ、目線をそらしてくれ…そうしないと……これ以上は−−

(キーンコーンカーンコーン……)

「……はっ!!」

予鈴が鳴ったおかげで、意識を戻す事が出来た。

「俺なんかで…よければ」

「よろしくね……三嶽君」

「よろしく、八坂さん」

この会話なんだ?まるで、これから一生の愛を誓うようなものを連想させるこの会話。

でも、八坂さんがこれでいいのなら何も言わないが。

おかげで帰り道はとても、気軽に八坂さんの隣を歩く事が出来た。


今日の放課後、第一回専門委員会があるらしい。

6割以上の生徒が何かしらの委員会、生徒会のどちらかに所属している為、専門委員会の集まりがある日は部活動は原則禁止となっている。

そこまでしなくてもと思ってしまうが、十分、二十分で終わるような集まりではないらしい。

藤宮は生徒会執行部に入部届を提出し、一年庶務として今日の生徒会に出席する。

こんな簡単に生徒会に入る事が出来ると思っていなかったので、蹲先生に聞いてみると、藤宮は合格発表日の際大きな声で挨拶をしていた事が教師等に好印象として残り、後日生徒会に伝わり評価されていたらしい。

まだ、合否も分からない状況で自信に満ちた態度にこの学校のさらなる飛躍に必要な人材と判断したのだろうか。

「ねぇ、三嶽」

「どーしたの?」

「今度…私と遊びに行かない?あっ!!全然、嫌なら行かなくていいからね!!三嶽だって、休日ぐらい休みたいだろうし−」

「いいよ。一緒にどこか遊び行こう」

照れ隠しのつもりか、教科書で自分の表情を隠しているつもりだろうが、耳が真っ赤になっているのが分かる。

「良かったぁ……」

俺が断るのではないかと不安に思っていたのだろうか。

安堵の表情が漏れている。

「それじゃあさ、暇な日があればメッセージで送ってよ」

これから藤宮は生徒会活動で忙しくなるだろう。

いくら藤宮からの誘いといえ、俺よりも藤宮の予定に合う日に俺が合わせるべきだ。

「うん!!分かった!!」

平然と返事してしまったけれど…これって二人で遊びに行くって事だよな…?

そんな想像をしていると、身体が熱くなっていくのが分かった。

周りから見られると…デート中って思われるかも…。

だが、そんな風に藤宮は俺の事を思っているのだろうか。

少し、段階的に考えよう。

まず、女子から特定の男子を遊びに誘う時点で、藤宮は俺に対して少なくとも、マイナスの感情は抱いていない。

次に、人数だ。

今の会話から察するに、藤宮は他の人は誘わず俺と二人で、遊びに行くだろう。そうなると、他に女子や男子がいるのならともかく、一対一で、遊びに行く、それは即ち誰にも邪魔されずに俺と遊びたいからではないだろうか。

最後に、場所だ。

現段階では、詳細は不明だが、これが映画館や博物館、水族館、公園、ショッピング等で、その場所の雰囲気が変わる。

結果、可能性は半々といった所だ。

後は、言動や動作といった仕草を、見極めるしかなさそうだ。

くだらない思考に費やしながら授業を受けていた。

そのせいか、後半の授業はほとんど頭に入っていなかった。

放課後になると、集まりのある生徒は直ぐに指定の教室へ移動した。

「藤宮、頑張れ」

頭で頷き、教室を後にした。

教室を見渡す限り数名は帰りの支度をしているようだった。

「俺も…帰るか」

通学バッグに数冊教科書を入れ、机の中を確認し、俺はゆっくりな歩みで下駄箱へ向かった。

「やっぱり、帰るのね」

下駄箱に着くと、副会長の姿があった…と言うより俺を待っていたみたいだ。

「そりゃあ、()()委員会には入ってないんだから、帰ってはいけない理由なんてありませんよ」

「…ぅ」

ん?いつも返ってくる強気な言葉がこない。

徐々に赤面しオドオドしている。

(…!!三嶽が自分の事、俺って言ってる!?)

「…今日は専門委員会の日でしょ。あんたは、どうするのか確認したかっただけよ」

「確認なんて必要もなく、自宅に直行で帰りますよ」

胡桃は予想していた答えが返ってきて呆れていた。

「あんたねぇ…新入生代表挨拶をした人とは本当に思えないわ。ほんとにあんたがしたんでしょーね?」

また、この話だ。猫ちゃん野郎とも話している時も、新入生代表挨拶について話題が出た。

たしか、あの時−

「しましたよ。校長先生からはお褒めの言葉を貰いましたし〜」

「ふ〜〜ん。だったらさ、」

不気味な笑みを浮かべ、俺を見つめる。

「新入生代表挨拶を担った者の習わしを言ってみなさいよ」

「それは……」

そうだ。猫ちゃん野郎にもこの質問を受けたのだった。

俺は、習わしなど聞いた覚えも無かったので、答えられなかった。

「知りません…」

「…やっぱりね。折角だから、教えてあげる。この学校で新入生代表挨拶を担った者の習わしを」

胡桃は一度深呼吸し、何とか感情を抑えようとしていた。

今までに見たことのない真剣な眼差しで告げた。









『新入生代表挨拶をしたあんたは、この学校の()()()()になる決まった運命なのよ』









続く。





どうも猫屋の宿です!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございます!

誤字脱字等ありましたらご報告お願いします。

今回の話で序章に近い1章が終了しました。

1章では入学早々と言うのもあり、学校中心の出会いの多い章だったと思います。

2章では、学校外でのお話取り入れたいと思います。

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