表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冬は恋の季節ですか?  作者: 愛森とき
2/7

いつものデート①

紅葉の名所に近付くにつれ

2人と同じ観光目的なのだろう

徐々に車の数が増えていった。


聡美「わぁ、綺麗だねー」


俊也「うん、そうだね」


聡美「俊也は来たことあるの?」


俊也「うん、あるよ。中学生の時かな、家族と」


他の女の子と来たのじゃなくて

良かったと思って密かに安心した。


聡美「そっかぁ、私は初めて」


俊也「嬉しいな、さとの初めての相手になれて」


聡美「えー?ちょ、ちょっと、俊也ってば、照れるんだけど。いつもからかって面白がってるよね」


俊也「からかってるつもりはないけど?思った事を言ってるだけ。嫌?」


聡美「嫌って事はないけど」


俊也「じゃあ、素直に受け取ってよ、俺の気持ち」


何でこんな恥ずかしい台詞を

スラスラ言えるのか

いつも不思議だった。

でも、この事についてあまり追及しても

聡美にとってメリットは無いと思い

あえて聡美から話題に上げる事はしなかった。


聡美「はい、わかりました」


俊也「いいお返事です」


俊也は言って

聡美の頭をぽんぽんと軽く叩いた。


聡美「また子ども扱いしてー」


俊也「また照れ隠ししてー。嬉しいんでしょ?」


聡美「うぅ、はいはい、嬉しいですよ!めっちゃ喜んでますよ!悪いですか?」


俊也の横顔を見ながら

開き直った風に言った。


俊也「んーん。可愛いよ」


聡美「何だろね、このやり取り」


俊也「ん?いつものデートでしょ?」


聡美「そだね、俊也のお陰でいつも楽しい。いつもありがと」


俊也「こちらこそありがとう。お、もうそろそろで駐車場に着くよ」


駐車場は混んでいたが、駐車整備の人が居たので、思ったよりすぐに止める事が出来た。


車から降りると

外はひんやりとした空気が漂っていた。


俊也「ちゃんとマフラーと手袋、持って来た?」


聡美「うん、マフラーは持って来た。でも、こんなに寒いと思わなくて、手袋は持って来なかった」


俊也「そっか、俺の貸そうか?寒いでしょ?」


聡美「え、大丈夫だよ。俊也が昨日、用意した方が良いってメールくれてたのに、言う事を聞かなかった私が悪いんだから」


マフラーを巻きながら聡美は言った。


俊也「さとの事だから、も、し、か、し、て、わざと忘れた?」


俊也は聡美に顔を近付け

聡美の目をじっと見つめて言った。


図星だった。

顔が熱くなるのを感じた。

それを少しでも隠そうと

マフラーを軽くつまみ上げ口元を隠した。


俊也「はい、じゃあ、行こうか」


俊也は聡美の前に左手を差し出した。

聡美は黙って右手を出した。

俊也は手袋をしていなかったが

直に伝わってくる俊也の温もりは

充分過ぎるほど温かかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ