優しい寒風
美少女と黒猫、2大萌え巨頭!ドやぁ
棘は人を傷つけるだけだろうか?
一人、寒空の下で缶のスープをちびちびと楽しむ少女
表情が少しだけ緩んでいるところを見ると相当の好物らしい
身なりから言うと学生の制服にパーカーを羽織る、今時のおしゃれさんだ。
髪は短いながらもツヤがあるし顔も整っている
なにより所作がまるでアイドルのようで「ステージの上」その言葉に尽きる
しかし、一つだけ恐怖を生み出す要因を持っていた
それは目だ
吸い込まれるようなと言えば聞こえがいい
それは抜け出せない
まるで食い殺されるような不思議な感覚を生み出しては
他者から背けられ
機嫌を損ねさせては、悲しみを生む
そんな少女にも心の在処はある
それは「庵在公園」
お決まりの推し黒猫に会うため、文明のねこまんまは
ちゃんと買い込んでいる
「バイちゃーん・・・」
小声ながらも透き通り可愛らしい、まさしく猫撫で声
「にゃー・・・?」
その微かな疑問符じみた鳴き声に
目が煌めいては心拍数が上がりまるで恋するお姫様のように
清楚ながらも積極的に近づく
周りから守るように生えた藪の小枝を無視しながら
服は毛羽立つ、それに加えて生傷が増える
そんな少女を心配するかのように黒猫が飛びつく
「きゃっ」
小さい悲鳴とともに尻餅をつき、少し実った胸部に黒猫が上目使いでしがみつく
その黒猫に
(あぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!バイちゃんが!私の体に・・・!)
もはや悶絶しそうなぐらい心の絶叫が精神を支配する
黒猫は不思議そうにずっと見ている
だが心拍数は嘘をつかず、その音が黒猫にとって安心だったのか
それとも危険で寝れなかったために暖かさでかはわからないが
少しずつ黒猫は目をトロンとさせ眠りにつく
「こ・・・これは!おっお持ち帰りあぴ・・・いたっ」
「ここに居たか・・・ちび?」
唐突に後ろから頭をかばんでポンとされる
「扶持姉?」(ふじねえ?)
「よう!愚妹の姫侍那」
冷たいが少しだけほくそ笑んでいるためか怖くはない
「こっこれは正当な恋愛であって、じゅんあ・・・ああっバイちゃん!」
「へえ、可愛いもんだな?バイスって言ったっけ・・・」
「そんな牛乳ぞうきんみたいな持ち方!」
「知らないのか?猫は親猫にこういう持たれ方で安心するんだぞ?」
「へ?」
猫に目を見やると眠りこけたままでさらに愛らしくなっていた
(なにこれ・・・結婚したい・・・!)
「おーい、どうした~?」
ハッと我に返った少女もとより川敷 姫侍那は
「扶持姉?お願いが・・・」
「ああ~説得か?」
可愛らしく首を縦にぶんぶん振る愚妹に
「じゃあ、晩飯のエビフライ一本でどうだ?」
「ふっふっ悪代官様も悪よのう・・・」
「めんどくさくなってきたからやめようか?あぁ?」
「じょっ冗談に決まってるじゃないすか!姉御!」
口調がもはや舎弟に成り下がる姫侍那は
なだれ落ちながら土下座になり
「すみませんでした・・・お助けを・・・」
少し涙を含んだ目線で見つめ懇願
「よし交渉成立だな」
こうして冬の運命は回り出した
続編はありますが
反響次第で投稿します
本編は笑キュン出来るように書きます




