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スターダスト・オデッセイ2  作者: わびすけ
第一章 異世界へ
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#01-05



 今度は金髪の男性の遺体だ。この人もすこぶる美形だ。そして、また黒い服。上はTシャツ、下はレザーパンツ、足は何故か下駄だ。

 もう心肺蘇生はやらない。脈を測ろうと首筋に手を当てた時、首の筋肉が死後硬直を始めているのに気がついたんだ。

 前の女性と同じく、目、鼻、耳から血を流し、頭を掻きむしるようにして事切れていた。

 開いた目と口を閉ざしてやり、両手を腹の上で組ませるとカードを漁る。


 左上のアルファベットはC、弓と矢の絵に『弓Lv1:経験値0』の文字、その下の四角い枠に囲まれて『・矢×20』と書かれている。コモンですか、しかも遠距離かぶり。

 取り敢えずケースに入れてみると、弦を張った弓に体を通した状態で現れた。矢筒も背負っており、矢は20本入っていた。

 銃があるしどうしようかなと思って先ほどのカードを取り出してみる。

 散々悩んで、荷物になるので捨てようと決意。弓と矢を地面に置いて、カードを遺体に返す。すると、カードから手を離した瞬間、弓と矢が掻き消えた。

 ひょっとして出し入れできるのかと思い、再びカードをケースに入れると予想通り身に着けた状態で現れた。

 次にケースからカードを取り出し、地面に置いて手を離す。すると、弓と矢が掻き消えた。

 ケースに入れると装備。ケースから取り出して、手を離すと消えるようだ。

 なので、今度はケースに入れずポケットに捩じ込んだ。やはり現れない。これなら持ち運びが楽だし持って行こう。ただの弓矢みたいだけどリソースが多いにこしたことはない。


 そして"次の黄色い点"の場所に移動する。そう、どうやら等間隔で俺達は送り出されたらしい。


 次も男性の遺体だった。今度は黒髪だ。ひょっとして生存者、俺だけって事ないよな?

 今度の人はポロシャツ、ハーフパンツ、ビーチサンダル。模様はちょこちょこ入っているが基本が黒地なのは同じだ。この人も整えて、カードを漁る。


 レアリティC、玉乗りピエロの絵に『軽業Lv1:経験値0』の文字、四角い枠の中は何も書かれていない。軽業? 今度はどんなアイテムなんだろうか想像がつかない。取り敢えずケースに入れてみる。


 ……、何も現れない。あるぇ? ひょっとしてホントに軽業できんの?

 その場でジャンプしてみる。……、よくわからん。

 次はバック転……は、怖いから側転してみる。


 おおおおお! サッとできたよ! 側転なんて小学生以来やった事なかったのに!


 よし、バック転に挑戦!


 おおおおお! 華麗に成功! コレでコモンかよ! アンタこそチートだよ!


 興奮して軽業のカードを崇め奉ろうと取り出して気がついた。


『軽業Lv1:経験値6%』


 あ、経験値って%? しかも熟練度制か。他のカードは?


『ケルベロスLv1:経験値0』


『探知Lv1:経験値9%』


探知は反応したものに接触したら経験値が入るのかな?一度の行為で3%か、34回でLv2に上がるのかな?


 ん? おお? ティーンと来たぜぇえ!


 さっき見切った弓を装備! 矢を番え足元の柔らかそうな地面に向かって射る!


『弓Lv1:経験値3%』


 ヒッャッハァアアア!!


 射る! 射る! 射る! 矢が尽きたら回収! 射る! 射る! 射る!


 何度か繰り返すと、持っていた弓が蒼白く輝きその姿を変えた!


『弓Lv2:経験値2%』


ッシャアアアアア! ちょっと短いがグニャリと曲った弓に変化した。なんか積層になってる。あ、これモンゴル弓? 複合弓? いや、そんな事はどうでも良い! お前は通過点に過ぎん!

 俺は矢を集めて再びレベル上げ作業に戻る!


 しばらく繰り返していたらまた弓が蒼白く輝きその姿を変えた。


『弓Lv3:経験値0』


0の時は%は表示されないのか!?


「ぜぇ、ぜぇ」


流石に疲れた。Lv1から2に上がる時より多く射る必要があった。しかし、その成果はあったようだ。握られた弓を俺は天に掲げた!


「カーボン弓、獲ったぞぉおおお!」


形はアーチェリーの滑車が無いやつだ。だかこのプラスチック的な感触はカーボンに違いあるまい。


 俺は近くから柔らかそうな朽木を見つけると、それを少し離れた場所から狙ってみることにした。

 Lv3にもなったのだ。少しは使えるようになっているだろう。俺は十分に狙いをつけるとその矢を放った。

 放たれた矢は吸い込まれるように……3本隣の木に突き立った。


「ハハッ」


 ちょっと疲れが出ちゃったかな? いけないいけない、集中集中。

 俺は再び矢を番えると、十分に狙いをつけて放った!

 放たれた矢は吸い込まれるように……4本隣の木に突き立った。





 うぉおおおおおお! これ、アイテムのレベルで弓の腕、関係ないわああああ!


 そうだ! 矢! 矢、返せよこの野朗!


 俺は矢の刺さった木に駆け寄ると矢に手をかけ力いっぱい引っ張った。少し抵抗があったものの、矢はスポンと抜けた。……鏃を残して。


「お、おぅ」


い、いや。まだ慌てる時間じゃない。俺は鏃の抜けた矢を矢筒に戻すと、一旦装備を解除し再び装備し直す。これで矢が復活……しねぇええ! 他の矢も土がついたままじゃねぇか!


 俺はがっくりと膝をつくと鏃の抜けた矢を何度も地面に叩きつけた。

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