表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空き城見つけたので大名を名乗ってみる ~イージーモードの大名インターン~  作者: 水饅頭
Ⅱ.鮭の力は世界を変える!? 羽州一の空き巣泥棒
59/91

#59 鉄棒、振り回しました。

「ごちそうさまでした!……守棟!橋本殿は政宗と戦うと言ったのか?」


 食べ終わるとデフォルメ化が急に戻ったように俺が予想していた最上義光が戻って来た。しかし今度はそれに驚かされる俺と守棟。


「さっきまであんなキャラ崩壊をしてたのに立派な驍将に……」


「っ!もう元の殿に……それとそうでした。橋本……殿を信ずるべきかと言う事で城内が揉めて居り、直に話すべきではあるかと思っていたのですが……輝宗公に味方する、という事は最上のお味方をして下さると?」


「航太です。ま、実際最上家とは今は家臣になった小野寺家が攻められたから戦ってた訳だからそんなに恨みがある訳じゃないしな。それに今の橋本じゃ明らかに伊達と戦えないし、最上家の武将も小野寺と同じように家臣に加えたいからな。最上家の武将は大概有能だし……」


 本心を全く隠さず話す。何も隠さずというのは危険かも知れないが、隠さないことで示せる善意ってものもあるだろう。


「なるほど、ですが私は最上の家臣。その身の上ですので橋本の軍門に降るというのは……」


「ほう、小野寺の仇討ちで無いばかりか、この義光を家臣に加えたいと……最上はお主の、橋本家の礎のさらに礎にこの『狐』を迎えたいという訳だな?」


 座ってるだけだった義光が守棟のは話を遮って入って来る。しかも俺は最上家の家臣は伊達と戦う為に取り入れたいと言ったのにも関わらずその先の事まで見抜いたらしい。その時に『謀略の将』が配下となるリスクを含めて……なのだろう。しかし!


最上義光(もがみよしあき)、犠牲を最小限にとどめようとする『狐』は日本国内の戦いを終わらせ、災害さえものともしない国を作るという俺の夢を聞いて悪びれるか?」


「否!お主とは存外、気が合うやも知れぬな橋本殿。最上(もがみ)が橋本の味方をするのは決まりだ。だが!」


 義光が立ち上がって言う。


「我等最上の兵を指揮する指揮棒なくば最上を率いる事は無い!その指揮棒は今我の手にあるが、これを皆の前で自在に振るう事、能うならばこの指揮棒、即ち最上の兵を与えよう!橋本殿、如何為されるか!?」


 げ、1.8kgもある指揮棒を振り回せとか言ってきた!そんなもの振り回すはおろか、持ち上げるのも精一杯!どうしろと!?


「やってみたい!わたし!それ振り回してみたい!!」


 あぁ、やっぱりこういう時に出てくるか脳筋馬鹿ヒーラー悠香。


「お主が名高い鬼姫殿だな?だが女子(おなご)には荷が重かろう。少なくともお義にはかなうものでは無かったぞ?」


「でも持ってみたい!長いものは振り回せって言うでしょ?」


「『長い物には巻かれよ』、な。それにそもそも義光は俺を指名しているのにお前が出てどうすんだよ」


「そうだ、常日頃なれば家臣が成せば認めよう所だが、今は橋本殿個人に持って貰いたい。『力比べ』の一つだ」


 なんとか悠香の暴走は止めたが結局埒が開かない。どうすれば……




 いや……?『悠香』……?




「ちなみに義光サン、結果的に俺が振り回していればいいんだよな?」


「構わん。無論お主自身の力でなら、だが」


 よし、問題なさそうだ。まぁ普通ならこんなこと予想もしないだろうけどな……いける!


「よし乗った!今の内に言っておくが後になって文句をつけるなよ?」


「鮭に誓って!二言は無いと認めよう橋本殿!」


 鮭に誓われてもなぁ……




 少し広い所に場所を変えて義光の前に立つ。ま、一応軽い凶器を振り回すんだから安全な所で……と思ったからだ。


「ほう、それがお主の仕込みか橋本殿。もう少し手の込んだものを出してくるかと思うておったが……」


「本当にこれっきりだ。実際なんでこれでいけるんだか俺もまるでわかっちゃいないんだがな。重ねて聞くがこれはアリなんだよな?」


 と俺の繋いだ左手を揺らしながら正面に居る義光に最終確認を取る。


「お主が指揮棒を真に右腕のみで振るうのならば、お主自身の力と言えよう」


 横に侍る守棟は俺の左手の意義に「?」を浮かべつつも義光からGOサイン。右手を土の上に置いてある指揮棒へと伸ばし……


「そいっと、えマジで?」


 軽々と持ちあがる鉄製の指揮棒。重さ1.8kg、体感では文庫本一冊程度。


「なんとっ!?」


「……ほう!」


 心底感心したような顔をする義光とその横で豆鉄砲を食ったような顔の守棟。

 だがこの中の誰よりも驚いているのはこの俺だ。まさかチートスキルがここまで強力とは……


「でこれでどんな風に振り回せばいいんだ?槍術とかはからっきしだから勘弁願いたいんだが……」


「適当で構わん。片腕で軽々持ち得るだけでも十分過ぎる程だ」


 適当、てきとう、テキトウ……

 どんなのが適当なのかわからないが取り敢えず小学校の時に掃除用の箒を振り回した要領で指揮棒を回してみる。


「!?……!?」


 驚いて言葉も出ない青緑色軍師、その隣で義光が俺にもわかるほどに感動して


「素晴らしい!!これほどの力を持った者が我が前に現われるとは……決まりだ橋本殿!我が最上をお主に預けよう!」


「え……義光ってこんな脳筋なこというキャラだっけ……こうたー?」


 俺の繋いだ左手の先から聞こえる悠香の声に小声で答える。現実は小説より奇なり、だ。

 まぁ俺は義光と鮭の方が驚いたけどな。まさか知略90後半の知将が鮭一つに引き寄せられるとは……絶対知略値設定が間違ってる。そんな鮭光(さけあき)さんにお返事しておかないと……


「満足してもらえたようで何よりだ。そういう事ならすぐに城に戻らないとだな、政宗はもう目の前まで来てるんだろ?」


「ああ、そうだ。長谷堂で光安(あきやす)が耐えて居る。これをすぐにでも救い出さねばならぬのだ」


 どこから入手したのか鮭一匹を丸ごと串刺しにした焼鮭を齧りながら答える義光。


「それなら鮭なんか食ってないで行くぞ!来月から鮭の季節なんだから落ち着いたら山ほど送ってやるからさ!」


「!」


 目の色が変わった……羽州の狐とか言われてたけど狐って実は案外単純な生き物なのか……?

 というか今回の、左手から悠香バフをもろに使った不正以外の何物でもなかったのだが……いいのか義光……


 などといろいろ思う所は在りながらも山形城へ向かう俺達だった……




 そういや部隊に山形城に入城の指示し忘れたけど大丈夫……だよな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ