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空き城見つけたので大名を名乗ってみる ~イージーモードの大名インターン~  作者: 水饅頭
Ⅰ.空き城にはご注意を! 南羽後に湧いた新大名
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#10 橋本家、初進軍しました。

 事態は急展開、幸運の女神というのは後ろ髪は絶対に引かれないっていうからな。そもそも無いって言う人もいるし。ただでさえ運のない俺にそんな機会が巡って来た。

 と言っても戸沢氏に和尚さんを送っていたのだから当たり前かもしれないけど……

 そんなことは今はあんまり関係ない。部隊の編成を考えなければ……

 武本曰く「俺達の初陣と同じで、当てるつもりで挑むのはやめとけ。ただつがえて放つだけだったり動かないでかい的に当てるだけなら流石にできるようにはしてやった」

 つまり目標地点に矢の雨を降らせるぐらいはできるのか、編成に入れよう。

 吾六曰く「槍術の基礎ぐらいは叩き込んだ。定石程度はわかるはずだ」

 両方とも訓練不足がどこまで影響するかわからないが、とりあえず率いるしかない。最悪、戦闘を極力避ければ良いから。

 気になるその数だが、思っていた以上の数が集まったらしい。

 弓兵が70人、槍兵が150人だそうだ。これでも期待以上の数が集まっている。両方合わせて150人だろうと思っていたが、だれでも武士に取り立てられる可能性がある。と言った宣伝は想像以上に効果があったみたいだ。

 そしてこれを率いる武将だが、総大将はもちろん俺。

 弓兵の一部を武本が、槍兵の一部を吾六が率いるのは決まりなのだが、この後が問題だ。

 信本、成武、舞の三人にもそれぞれ率いてもらうが助本と茂造を連れていくべきか否かだ……


「陣立てを発表する。二日後の朝、日の出と共に出立するものだ。聞き漏らさないように!」

「総大将は俺、橋本航太が務める、槍兵大隊長に大曲吾六、槍武者50人。弓兵大隊長に大沢武本、弓武者30人の指揮を託す」

 何だその分け方、と思われるかもしれないが俺のゲーム思考回路の結果だ。兵種が一種類の部隊の方が都合がいいことも多々ある。

「また大沢信本、仙北成武、美山舞にそれぞれ槍武者20人、弓武者8人の中隊を任せる」

「その他の将には留守役を頼むが、兵が居ないことを悟られないよう計らってもらいたい。可能なら新兵の訓練もしているとなお良い」

「以上の陣立てで出ることとする。異議ある者はこの後俺に直接申し立ててくれ。では各員、訓練に励んでくれ。解散!」

 前線でよく聞いていた朝礼風味になったが、伝えたいことはしっかり伝わっただろう。それにしても自分でも馬鹿な編成だと思う。

「せんせー!私が編成に入っていないのはなんでですかー?」

「部隊に知略1の武将を入れてみろ。どんな雑魚武将からの偽報や足止めも食らって一向に進めなくなるぞ」

「それ遠まわしに私のこと馬鹿にしてるよね?」

「だって馬鹿じゃん」

「なにを!これでも歴女としての自覚だって、今回の編成がめっちゃ非常識ってことだってわかってるんだよ!」

「馬鹿じゃないっていうならこの編成の意図を当ててみろ。当てられたら馬鹿から阿保に昇格してやる」

「全く変わってない!それじゃあ!それに女子高生にわかる訳ないじゃない未来人の考えなんて!」

 中学生だろという揚げ足は取らないでおいて。

「武将として育てるためと兵にも戦というものを教えて育てるためだ!このまま決戦なんてしたらこっちは慌てふためいてそのまま逃げかえる事しかできないぞ!」

 実際でもゲームでも、前線にいるのは何度も戦場に行って帰って来た猛者か来たばかりの新人かのいずれかがほとんどだった。つまりは新人が戦場の勝手を知り、生還することこそが強い兵を育てることにつながるという事だ。経験値でも毎回貰って帰ってきているのだろうか。


 二日後。

 流石に私を出せ!と自称歴女が五月蠅(うるさ)かったので俺の本隊で預かり見張ることにした。

 各部隊には少し不足気味ではあるが薬草を渡し、重症時には率先して使うように指示。できるだけ被害を減らす工夫の一つ、だと思っている。

 大沢城を出て北へ、悪戸と呼ばれるあたりで雄物川を渡るのだが、これが浅瀬を探すのにかなり苦労した。今度からは橋でも作った方がよさそうだ。

 川を渡ってからもう少し北へ行き、中川原と呼ばれる所に簡単に布陣し盛安の到着を待つ。しばらく待った後、宗全が陣に現れる。

「戸沢治部殿は薄井城の北あたりを進んでいる最中でございまして、そのまま薄井城を本陣とされるようです。今しばらくお待ちいただくことかと」

「そうか、俺達は何もなければここ中川原で待機する。引き続き治部殿との連絡役を頼む」

「承知」

 と言って宗全は盛安の陣へ戻っていく。こういった連携が特に初めて合同で動く相手とは欠かせなくなってくる。

 連携不足で同士討ちをした、なんて例は挙げていけばきりがない。

 もうしばらく待つと小中島に戸沢の旗印が見えたという報告が入った。その距離およそ一キロ。戸沢盛安本人もいるとのことなので敵がまだ様子見をしている今のうちに俺が直接、会いに行くことにした。

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