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空き城見つけたので大名を名乗ってみる ~イージーモードの大名インターン~  作者: 水饅頭
Ⅰ.空き城にはご注意を! 南羽後に湧いた新大名
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#01 転生、出来ました。

 戦車がさっきまで居た司令部棟を突き破って飛び出す。戦線の維持の為に手薄になったこの司令部を急襲しに来たのだろう。

 目の前には最高時速80キロで突っ込んでくるレーザー武装の軽戦車。

 対する俺は三か月前の開戦までは都内の高校のパソコン部所属で勉強か、勉強と称して歴史ゲームなんかをしていただけの引きこもりもやし整備士、橋本航太。荷物を少しでも体感軽くするために体に縛り付けている、オマケに恐ろしいほど運が無い。

 こうなる前に早々に内地の職に就こうと前線勤務ながらも国家資格を取得しやっと今日、京都に帰って終戦まで引きこもれると喜んでいた矢先に司令部が瓦礫の山になった。

 そして戦車が目の前に、俺は避けようと全力で左へ跳んだ。ここなら1メートルも跳べば助かる!

 推定跳躍距離30センチ、体重と荷物で現在俺は80キロ程度、体育は五段階中一番下の1以外とったことがないのが自慢。そしてライトノベルで一時期流行った展開宜しく、轢かれた。

 違った点を挙げるとすれば俺を轢いたのはトラックではなく戦車だったことだろう、それとできれば自分の体がミンチになる様は見たくなかったかな。


 履帯に絡まったミンチ状の俺と荷物のおかげで軽戦車が動かなくなり後続の小隊らしき車両も次々玉突き事故を起こし結果的に運動音痴整備士が軽戦車四両を単身で撃破したことになったみたいだ。何故わかるか?というのも不幸中の幸い、どうやら俺はしっかり異世界転生構文の仲間入りを果たせたらしいからだ。

 必ずしも喜ばしい状況ではないが……

 普通、異世界構文と言うべきお決まりのパターンではここで「不幸にも死んでしまった貴方を哀れに思いチャンスを与えます」とか女神様が言って現代知識とは別に斬新なチート能力がもらえるものだと思っていたのだが、現実はそんなに甘くはない。

「バッカじゃねーの!?お前少しは運動しやがれってんだよ!俺でも聞いたことねーってよ!横跳びで30センチが全力って!しかも運動神経が死因とかここ最近の記憶じゃ初めてだぞオイ!」

 多分、今俺は神か悪魔の目の前にいる状態だ。目の前にいるのは俺の目にはサッカー選手のスーツ姿に見える。

「いや、あんた誰だよ」

「ヘルメスだよ!てめぇのやってたゲームの中にも居ただろうが!攻撃力と体力+10%ボーナスで!」

「言われてみれば居たような気がする、けどイメージ違い過ぎないか?」

 いきなり悪魔の前にいました、という状況じゃなくてよかった。けど神?のイメージではないなこれは。

「知らねぇよ!そんなのは人間が勝手に作ったやつだろ!それよりもよくも俺の管轄で死んでくれやがったなぁ!運動音痴!」

「運動音痴で悪かったな!でもそんなもん後からどうにもならねぇ所もあるだろ」

 ヘルメスと名乗った相手につられて俺の声も大きくなっていく。神様と会話しているという実感が全くと言っていいほどない。

「大体オリンピックの精神はどこへ消えたのだ!神に努力の賜物を捧げるあの精神は近代オリンピックにも受け継がれていただろうに!」

「シャトルラン最高記録10回行かないような奴にそんなもん求められたってしょうもないだろ」

「21世紀に入ってからは割と『健康だー』『減量だー』と運動に関心を持つ人間が増えてきている中で何なんだ!お前という奴は!」

 ヘルメスというのは体育技能も司る神様だったと思う、それで運動音痴が死因に直結した俺に罵詈雑言を吐きまくっているのだろう。

「もういい!お前は運動しないとやっていけないような世界へ飛ばしてやる!覚悟しておけよ!!」

「よぉしそれならできるだけ運動しないで帰ってきてやるよ!この暴言神ぃぃぃ!!」

 まともな神様、どうか転生先の俺の運の値だけは上げてくださいぃぃぃ!!

 そう願いながらヘルメスの渾身のアッパーを食らって重力と逆の方向へ落ちていった。


 転生時も良い心地はしなかった。ゲームのバグのごとく上に落ちて行って地面に叩き付けられる奇妙な体験ができたのは良かった、という事にしよう。

 転生自体はしっかりとできたみたいであのまま死んで真っ暗闇に感覚だけ放り込まれたりはしていなく、自分の身体も天界?にいた時のようにミンチから復活しているようで安心した。

 某サンドボックスゲームの開始時の如くまず状況を確認する。ゲーム知識も案外侮れない。

 あたりを見回す。誰も居ない。

 見える範囲で地形を確認する。森、道は無く川が右手側に見えた。

 ここがどんな世界だかわからないが、川沿いに集落ができるのは必然。よっぽど変な世界か見たこともないような未来、或いは食人種又はそもそも人が居ない世界でなければ何とかなるだろう。

 ……正直最後のは否定できない。『運動しないとやっていけない世界』と言ってたからなぁ……

 ともあれ今は前向きな事こそが重要。さて、初期地点は比較的良い感じだったので次に持ち物確認。持ち物次第で何とでもなる。

 服は着ていた。良かった。自分で服を作るのは相当きついものがある。

 それと……普段持ち歩いていた肩掛けバック、中身は死亡時そのままだ。飲食品も少し入っている。軍用のものだが……

 つぎに軍支給のリュック、地味だが大きく頑丈かついろいろな軍支給品がある。自分のノートパソコンと軍用携帯充電器、幸運なことに手回しだが発電機も入っていた。

 あとは……勝った、参考書やサバイバル本から生活用品エトセトラ、自分の生活に使っていたものが全て詰まった大きいバゲージもあった。壊れていなければヤツまで入っている!頼むから壊れていないでくれ……!

 だが確認は今はできない、暗くなる前に集落か洞窟かを見つけないと危険が危ない。俺は川沿いを下流に向かって歩き始めた。

異世界転生構文を始めて使ってみました、水饅頭ですー。本音の所、戦国時代が書きたかっただけという思い付きがいつの間にかストーリーになっていたのでとりあえず書いてみよう、となりましたー。

どこまで続くかわかりませんがこちらもよろしくお願いしますー。

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