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私が7歳の時、最初に私の騎士として任命されたのは父の友人の紹介ということで、ある下級貴族の三男の方でした。確か歳が10以上も離れているのに、何より私を見る目がいやらしかったのを覚えています。ある日そのことを父に言ったら、即解雇されました。次に来た方も若い男でしたが、やはりどこかいやらしい目線が感じられ、解雇。次に来た方も、ご自身の自慢ばかりでおもしろくもない人だったため、訓練の際少し本気で打ち込んだらあっさり私が勝ってしまい、弱い方はいやだといって解雇。先日いた方は元騎士団の方だけあってある意味誠実でしたが、ご年配の悪口は言うものではありませんね…… と、とにかく、物語に出てくるような誠実で強い男の人などあきらめていました。あの日、アルに出会うまでは……
「そ、その方が新しい騎士候補ですの?」
「ソフィーよ、淑女がノックもせず、はしたないぞ!」
「ノックはしましたわ! それよりも本当にそのかわいらしい方が私の新しい騎士になりますの? お父様の浮気相手の隠し子とかではなくて?」
「おい! 母さんに対してそんな不誠実なことできるわけないだろ! なんと恐ろしいことを……」
「むっ、殺気!」
会話に入れないアルノルトはドアの向こうからただならぬ殺気を感じ、腰の刀に手を伸ばすが、そこには笑った女性が立っていた。
「あなた~ 浮気がどうとかいう声が聞こえたんだけど、まさか?」
「ちょっと待て、カトリナ! 誤解だ! 話せばわかる!」
「とりあえず、あっちのお部屋でお話ししましょうか?」
どうやら女性は、ソフィーの母親らしくあわてる貴族の男を連れて部屋を出て行った。それと同時に、フランツを案内していたシモンが応接室へと入ってきた。
「あの、大丈夫なんですか? すごい殺気で思わず身構えてしまったんですが」
「ああなった奥様と旦那様はしばらく帰ってこないでしょう。ソフィー様、アルノルト殿はなんでも道中7匹の灰狼たちを”それぞれ”一撃で仕留めたと聞きます。護衛としての戦闘力はおそらく大丈夫かと思いますが……」
「灰狼たちを? で、でも、心配ですわ! こんなかわいい……頼りない方!」
ソフィーは慌てた様子で言うが、シモンはそれに答えるように
「わかりました。それではこのお屋敷をまとめるわたくしが彼のお相手をしましょう。幸い登校時間までは時間もありますし、馬車の準備ができるまで、彼の実力を確かめてみましょう」
「か、かわいそうですわ! このようないたいけな少年をあなたが戦うなんて!」
ソフィーは少年をかばうように言うが、アルノルトは嬉しそうに声をあげる。
「あの! 稽古をつけていただけるなら、お願いしたいです!」
そう言うとアルノルトは嬉々として戦う準備をし始めた。
お読みいただきありがとうございました。
お父様の名前出せませんでしたが、ご容赦ください。
ごめんなさい、お父様……




