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誤字指摘感謝します。
灰狼たちは7匹…これなら大丈夫!
「助太刀します」
「ああ、助かる」
「風の精霊さん、お願い!」
アルノルトは灰狼と戦っている男の前に立つと、つぶやきながら腰につけた刀を抜く。すると灰狼たちに向かって一陣の風が吹いた。アルノルトが刀を納刀し、キンと高い音がなると同時に灰狼たちは倒れた。
「あの数を一撃とはお前は何者だ? というかどうやった?」
アルノルトの後ろに立っていた男が驚いた様子で目の前にいるアルノルトへと声をかける。
「えと、アルノルトと言います。今のは精霊魔法で刀に風をまとって斬撃をとば…ってけが人の手当てをしないと!」
「おっと、そうだったな、俺はディルク、冒険者パーティ”火竜の爪”のリーダーをしている。けが人を運ぶから少し手伝ってくれるか?」
男はそう言うと倒れている男の所へと向かった。
「うぅ…」
「おい!なんで急に飛び出したんだ?包帯巻くから装備外すぞ」
「あの、この人はパーティの方ではないのですか?」
ディルクの対応が荒かったことを疑問に思ったアルノルトは声をかける。どうやら男は手首を灰狼に噛まれ、足を爪でやられているようだった。
「ああ、俺たちのパーティはこいつが騎士になるっていうから王都までの案内兼護衛だったんだが、灰狼を見るとこいつが駆け出してな… 普段なら灰狼にやられるってことはないんだが、こいつを守りながらで少し苦戦してな」
「そうだったんですか、それより大丈夫なんですかね? その人は」
「幸い傷は浅いから、まあ少し休めば大丈夫だろ。それよりこいつを運ぶには…」
「おーい! アルノルトくーん!」
馬車に乗ったエイベルがやってきて、アルノルトへと声をかけた。
「突然、アルノルト君が駆け出すからびっくりしたよ! その人たちは?」
「エイベルさん、すいません。この人たちは冒険者の方らしくて、灰狼たちに襲われてるのを見て、その...」
「なるほど、アルノルト君らしいね。どうやら馬車がないみたいだけど、けが人を乗せて近くの村にでも行くかい?」
「ああ、俺は”火竜の爪”のディルクという者だが、そうしてもらうと助かる」
「うん、僕は、行商人のエイベルだ。よろしくね」
こうして、冒険者パーティはエイベルの馬車にけが人を乗せ、近くの村まで向かった。
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