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この国では、国を守るための騎士団以外に、貴族の護衛として騎士という制度がとられている。貴族にとって騎士とは一つのステータスであり、優秀な騎士を抱えることは即ちその貴族の力を表している。しかし、優秀な者でも数が多ければいいわけではなく。何よりもその主従の絆が問われるのである。ゆえに貴族1人に対し、1人の騎士を持つことがこの国では常とされる…
その日、ランドルフ家では朝からバタバタしていた。
「ソフィーの登校日に騎士がいないとはどうなっておる!」
「いえ、ですから、到着が遅れているようでして…」
高そうな洋服に身をまとった大柄な男が自身の従者に怒鳴りつけていた。
「2日前には着く予定ではなかったのか? お前の故郷から有能な者がいると聞いていたんだがどうなっておる!」
「申し訳ございません、今すぐ確認を…」
「え~い、もう遅いわ! 仕方ないが、他家から臨時に雇うか… しかし、騎士も用意できぬとは何と言っていいやら」
大柄な男は頭を悩ませ深くため息をつき、従者は到着予定の騎士の行方を確認しようと部下に命じていた。そんな中部屋にノックの音が響く。
「お父様、失礼します」
入ってきたのは今年で16歳になる流れるような金髪に青い瞳を持つ美しい少女であった。
「おお、ソフィー… 今お前の騎士になる男の所在を確認をしているのだが、どうやら到着していないようでな少しばかり待ってくれ」
「いいえ、騎士などいりませんわ。 先日みたいに、私にすら負けるような者ばかりですもの。 私より弱い者に守ってもらうなどそれこそ恥ではありませんか?」
ソフィーは強い瞳で父と呼ぶ男を見つめる。
「い、いや、体裁というものがあって「体裁など関係ありませんわ!」
「とにかく、私は学園に行く準備をしてまいります。 いらぬ借りを他家に作る必要はございません!」
ソフィーはそう言い放つと頭を下げてから部屋の外へと向かおうとすると
「旦那様! 騎士の方がお見えになりましたが「おお、来たか!」
メイドにそう言われ、従者は急いで向かおうとするが
「騎士の方が傷をおっておりまして…」
「何っ!どういうことだ!」
「なんでも道中灰狼に襲われたらしく…」
するとソフィーはため息をつきながら
「やはりですか、Cランクの魔物に後れを取るものなど私は私の騎士として認めるわけにはいきません! 失礼しますわ!」
ソフィーはそういうと急いで部屋から出て行った。
「ふう、優秀すぎる娘を持つのは嬉しいやらやら悲しいやら。 しかし、騎士がいないのはどうしたものか」
そうつぶやく男にメイドが声をかける。
「あの~その騎士になるはずであった者ををここまで連れてきた方がですね、騎士団に入ることを志願しているようなのですが…」
「本当か!? すぐに会おう! もしかしたら、ソフィーの騎士になってくれるやもしれん、どこにおる?」
そういって、メイドに言われるまま、男は応接室へと急いだが、
「ええと、その、アルノルトと言います。歳は13です。 騎士団に入ろうと田舎から出てきたのですが、あの、こんにちは!」
応接室には黒髪の小柄な頼りなさそうな少年がそこには立っていた。
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