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十二属性戦士物語【Ⅲ】――光と影――  作者: YossiDragon
第三章:少女アンドロイドのお守り篇
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第十四話「力の消失」・3

「え、えと」


「はい」


 呼んだわけではないのだが、斑希に返事され思わず調子が狂う。すると、面白がって残雪が斑希に向かって命令してみた。


「それじゃあお水いっぱいもらっていいッスか?」


「かしこまりました、ご主人様(マスター)


 そう言って残雪の持つコップに水を注ぐ斑希。無表情ながらもその動きはまさにメイドとしては鑑とも言えるほどの働きっぷりだ。さらに――。


「はぁー! 聴いたッスか? 聴いたッスか? 今俺のことを“マスター”って! しかも、こんなに優しくしてもらって俺、幸せッスー!」


 歓喜に震える残雪。半ば可哀想な物を見るような目で十二属性戦士に見られるが当人は全く気にしていなかった。すると、今度は輝光がふと斑希を見上げた。すると、なぜだろうか。やけに素早い反応で斑希が輝光と同じ目線に屈んで首を傾げてきた。


「どうか、しましたか?」


「へ? え、えと……あの、抱っこしてもらってもいい?」


 少し期待を込めてそうお願いする輝光に斑希は間髪いれず「了解しました」と首肯した。そして、輝光を優しく抱っこする。


「す、すごい。ホントに生身の人間と変わらないよ。肌も柔らかいし……」


 そう言って視線が思わず斑希の胸に注がれる。


「どうかしましたか?」


「え? その、触っても――って、ダメだよね?」


「いいえ、構いません。ご主人様(マスター)がお望みなのであれば」


 と、あっさり斑希は了承してしまった。思わずゴクリと息を呑む男子陣。


「し、失礼して」


ふにゅん。


「んっ」


 アンドロイドにしてはやけに感度がいいのか、くぐもった声をあげる斑希。さらに、その純情そうな反応に大半の男子が鼻から真っ赤な噴水をあげて卒倒した。


「はぁ、先が思いやられるわね」


「あはは」


「す、すごい! や、柔らかい」


 眉間に手をやり首をふりやれやれという仕草をする楓と隣で苦笑いしながらそれを見る時音。輝光は主にその感触に感動を覚えていた。


「とりあえず、このダメンズが起き次第ディヴァリーに行こっか!!」


 楓の言葉に女子メンバーは呆れ顔でコクリと首肯した。


――▽▲▽――


 夢鏡城、王立魔法図書館――ディヴァリー・ブカベリプス。

 十二属性戦士はアンドロイドの斑希と、他愛もない会話をしながら目的地に歩いて行った。町の人もいつもと変わらない様子だった。が、一部の人が何故か斑希の顔を見て驚愕の表情を浮かべていた。その理由は今の十二属性戦士には分からなかった。

 十四人と一機は図書館の入り口前に立つと、二、三段の階段を上がりガラス状の扉に近づいた。


「あれ、今日は閉館日なのかな? 自動ドアのセンサーが反応しない」


 輝光の言葉に、力自慢では誰にも負けないと爪牙がガラス状の扉を掴んだが、ビクともしない。


「どうするの雷人?」


「もちろん強行突破だ!!」


 雷人は細砂に頼み、ガラスに綺麗に円形の穴を開けさせると、そこから侵入した。防衛システムも全てシャットダウンさせて奥に進むと、そこには壮絶な光景が広がっていた。

 王立魔法図書館だけあって本の冊数が物凄く多い。


「ここの何処かに禁断の書が隠されてるんだね?」


 雫が腕まくりをして、さっそく事にかかろうとする。


「ちょっと待って!」


「何、急に?」


 楓に突然服の首の後ろ側部分を掴まれた雫は、反射的に楓の腕を掴んで訊く。


「こう広い場所だと闇雲に探し回ってもかえって体力を削られるだけ。ここは、幾つかのグループに分かれて探した方が手っ取り早いわ!!」


「楓の言うとおりやな!」


 夢幻にも言われ、雫は仕方なく従った。


――▽▲▽――


 幾つかのグループに分かれた十二属性戦士メンバーは、図書館の地図を頼りに周囲を捜索した。すると、葬羅が不思議な物を発見した。雷人に連絡を取り、皆を集める。


「これは恐らく、隠し通路的なものだな……でかしたぞ葬羅!」


 雷人が葬羅を誉めているのを見ていた輝光は少しムッとなってしまい普段では出さないような大きな声を出した。


「隠し扉なら、さっさと開けてよっ!!」


「お、おお……そうだな!」


 少したじろいだ雷人は、本を触りながら本の並び順を変えたりなどいろいろ試した。そして、数分が過ぎようやく隠し扉が開いた。


「やった!!」


 その先にあったのは、金属にたくさんの金属製の鎖でグルグル巻きにされた金網の扉だった。


「まさかこれは!?」


 あることに気付いたのか、ハッとなる雷人。


「どうかしたんス――うわッ!!?」


 残雪が雷人に近づこうとすると、突然雷人が後ろに回り込み、残雪を後ろから突き飛ばした。そして、残雪が金網と鎖にぶつかると同時に、凄まじい電撃が残雪の体に襲い掛かった。


「うぐぅわぁああああぁああああああああッ!!!」


 電撃にやられ、真っ黒焦げ姿になってその場に倒れ込む残雪。


「ちょっと大丈夫!? 雷人、何やってるのよ!!」


 菫が義弟の残雪の身を案じながら雷人に文句を言った。


「いや、もしかしたらこの金網に電流が流れているかもしれないと思ってな……。案の定、予想は的中だったというわけだ。どうやったら、この先に行けるか……」


 顎に手をやりふうむと唸る雷人。その間に斑希が懐から絆創膏を取り出し残雪の頬に優しく貼ってくれる。


「お怪我はありませんか、ご主人様(マスター)?」


「い、いや……怪我したからこんな状態なんスけど? でも、ありがとうッス」


「いえ、主に喜んでもらうのが私の役目ですので」


「ホント、あの博士……一体どんな事教えたのかしら?」


 菫が半眼で斑希を見ながらハンセム博士の陰口を叩いた。

 それからしばらく、十二属性戦士が頭を抱えて金網の向こうへ進む方法に悩んでいると、「私が行きます」と前に誰かが進み出た。


――アンドロイドの斑希だ。冷たそうな口調。一見暖かそうな瞳を持っていそうなオレンジ色の双眸も、今では機能を果たしていなさそうに見える。アンドロイドだというせいもあるかもしれない。


「お前、大丈夫なのか?」


「私は機械ですし、このくらいの電圧ならば耐えることが出来ると思います」


 そう言って斑希は金網に手を伸ばす。そして指が触れると同時に凄まじい電撃が彼女の体に襲い掛かってきた。しかし、衣服がボロボロになるだけであって、彼女自身には何の問題もなさそうだった……。さすがはアンドロイドと言ったところである。

 鎖を引き千切り金網の扉を破ると、斑希が手についた金網の破片をパンパンと払いながら十二属性戦士を中に案内した。


「どうぞ」


「あ、ああ……」


 雷人はその意外な力の強さに興味深そうにアンドロイドである斑希の体を一瞥しつつ、中へと入って行った。そして一番奥まで来ると、そこにはたくさんの好奇心をくすぐられるような趣深い本がたくさん置いてあった。


「あった! これよ、博士が言っていた禁断の書!!」


 時音が、そのホコリまみれの本を高々と掲げながら言った。


「よくやった!!」


 雷人が振り返ろうとしたその瞬間、視界にとある一冊の本が映った。思わずそっちの方に興味が注がれ、その本を手に取る。


「こ、これは……!」


 手に取ったその本は、恐らくこの一室の中で一番分厚いであろう本だった。ホコリを被っていてよく分からないが、どうやら十二属性戦士の紋章が表紙に刻まれているようだ。そこには、謎の鍵がかかっていて見るからに開けてはならない! と、そんな気持ちにさせる感じの代物だった。雷人は他のメンバーと一緒に広い場所に出ると、綺麗な長机の端に座りその本を何とかして開けようと試みた。しかし、何度やっても開かない。というよりも、開く素振りさえ見せない。すると、横から斑希が助っ人のように雷人の顔を覗き込んできた。


「ぬわあ!」


 思わず素っ頓狂な声をあげる雷人。が、斑希は対したリアクションも見せず淡々とした口調で聞いてきた。


「これを開けたいのですか?」


「えっ? あ、ああ……出来るのか?」


 雷人は縦にゆっくり頷くと、アンドロイドの斑希なら出来るかもと思いその分厚い本を手渡した。斑希は本の背表紙を机に置くと、然程力を入れずに本を開こうとした。すると、見た目はそんなにも力を入れてなさそうなのに、突然鍵のかかった施錠部分がミキミキと嫌な音を立て始めた。その奇妙な音に、周りにいた十二属性戦士も気にかかったのか雷人の周りに集まり近隣の椅子に座った。そして、ついに鍵が飛び散り分厚い本が開かれた。十二属性戦士の中には驚く者もいれば、驚きのあまり立ち上がる者もいた。

 暗夜が舞い上がるホコリに咳込みながら雷人に訊いた。


「雷人、何なんだその本は?」


「これは恐らく過去の十二属性戦士について書かれた物だ。その証拠にここを見てくれ!!」


 雷人は図書館に置いてあったティッシュを一枚取り、それで本の表紙を拭いた。そして、綺麗になった表紙をメンバーが身を乗り出して確認してみると、そこには見間違うはずのない十二属性戦士の紋章が刻まれていた。


「本物だ! ……一体いつの時代の十二属性戦士なんだよ?」


 白夜の質問に雷人は頷き答える。


「恐らく、裏表紙の文字の刻み具合から見て、初代十二属性戦士だろうな……」


「本当?」


 雫も目を丸くする。すると楓が言った。


「でも、どうしてそんな本があの場所にあったの?」


「さぁな。私にも分からない。作者のページは何故かよく分からないが切り取られているから分からんのだ」


 実際にそのページを見せて確認させる雷人。それを見た楓は、少し残念そうな顔で「そう……」と、静かに呟いた。

 そして最初のページへ戻した雷人は、ゆっくりと次のページを開いた。たくさんの目次があり、見るからに初代十二属性戦士の、旅の中での出来事などが書かれているようだった。


「じゃあ読むか……」


 十二属性戦士を代表して読もうとする雷人に、皆が真剣な目になる。

ゴクリ……。

 雷人を含め、数名の十二属性戦士の生唾を飲む音が静かな王立魔法図書館に聞こえる。

 果たして初代十二属性戦士の何が、この分厚い本に書き記されているのか?

……続く……。

はい、これで最後です。いやはや、一言でいうなら輝光グッジョ(ry

えー、図書館へやってきた十二属性戦士ですが案外簡単に禁断の書見つけちゃいましたね。そして偶然にも一緒に見つけてしまった初代十二属性戦士について記載された分厚い一冊の本。果たしてこの中に何が書かれているのか。ちなみにⅣは過去編で初代十二属性戦士のことについての話なので、六代目はぜんっぜん出てきません。せっかく名前覚えたのにーという人へ激しくごめんなさい。

初代も個性豊かなキャラたくさんなので、お楽しみに。

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