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十二属性戦士物語【Ⅲ】――光と影――  作者: YossiDragon
第一章:五つの封印解除阻止編
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第一話「七小衛星大爆発!!」・2


―▽▲▽―


ドクン。


 何かの気配を感じ、ふと顔を上げるフィーレ。そんな彼女の反応に零が訊く。


「どうかしたのか?」


「この気配……まさかっ!?」


 そう言って突然屋上へと向かうフィーレ。?と、疑問符を浮かべる零も妻である彼女の後を追った。


―▽▲▽―


 屋上では、世界四大神の一人にして月の神であるルナーが必死にオドゥルヴィア博士の行く手を阻む役目を務めていた。しかし、努力も虚しくルナーはオドゥルヴィア博士に軽くあしらわれる。するとそこへ、何かの気配を感じ取ったフィーレとその後を追ってきた零がやってきた。


「――っ!? こ、これはっ!!」


「はぁ、はぁ……一体、どういうことなんだこれは!?」


 フィーレと零の二人が驚愕を露わにする。無理もない。あんなにも苦労して封印したはずのオドゥルヴィア博士が目の前にピンピンとした万全の体力で仁王立ちしていたからである。腕組みをして、偉そうな態度の姿に畏怖するルナー、フィーレ、零の三人。


「これはこれは……憎きフィーレではないか。小娘がここへ何をしに来た? まさか、また我を封印しようとしているのか? だが、今更遅いッ! 我を止める事はもはや誰にも出来ぬわ!! くっくっく、フハハハハハ!!!」


 そう言って高笑いしたオドゥルヴィア博士は、空間を歪ませ不気味なオーラを放つホールを開けるとその中へと溶け込む様にして姿を消した。慌てて後を追おうとするも、既の所でホールが閉じる。

 数十、いや数百年前にやっとの事で封印したオドゥルヴィア博士を撮り逃したことは、フィーレに悔しさを与えていた。何処かへと姿を消したオドゥルヴィア博士に向けてか上空を睨み付けるフィーレ。同時に強い風が三人を襲い、髪の毛を激しくなびかせる。


「すみませんっ、姉さん!」


 突然土下座して謝り出すルナー。その謝罪の姿勢にフィーレは戸惑いながら疑問符を浮かべる。


「ど、どうしたの急に……。顔を上げて、ルナー?」


 土下座する妹に対して姉のフィーレは優しく言った。そのどんな悪い罪でも包み込んでくれる温かき包容力は太陽の様だった。まさに、フィーレは太陽の神というに相応しい。


「事情は後でゆっくり聴くわ……それよりも、これは非常事態よ! 至急、夢鏡王国全域に警戒網を張らないとね。零、お願い出来る?」


「もちろんだ、フィーレ。私に任せておけ!! それと、十二属性戦士をそろそろ修行の森から解放しないとな!」


 屋上から下を見下ろし修行の森を眺める零が言った。

 と、その時、後方から誰かの荒い息遣いが聞こえてきた。ふと振り向くと、そこにはフィーれと零の子供でありこの王国の若き双子姫の一人である神崎瑠璃がいた。瑠璃のその慌てた様子に三人も少し焦りを感じだす。


「どうかしたの、瑠璃?」


「大変なの、お母様!! 衛星が大爆発を起こして隕石が――」


ドオォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!


 まさにその時だった。瑠璃が喋っている最中に大気圏を突破した隕石の一つが、夢鏡王国の城下町を襲った。地面に撃墜すると同時に爆音と炎が舞い上がり、慌てふためく人々の様子が屋上から見て取れた。その光景に、零が慌てて屋上を後にした。


「それで、どうして衛星が爆発したの?」


 下唇を噛み締め、良くない出来事が次々に発生するのに厄介そうな表情を見せるフィーレ。


「それは分からない。でも、一つ言えることは何だか意図的に爆発させられたみたいな感じなの……」


 瑠璃が腕組みをして顎に手を添え表情を曇らせる。

 と、その時、ルナーがふと今の時刻を確かめた。


「今って――っ!?」


「どうかしたの?」


 と、フィーレがルナーの隣に近寄り時刻を確認する。そうして妹同様、驚愕を露わにした。そこには二年の歳月が過ぎた事を知らせる時刻が示されていた。


「うそっ……二年が、ついに経ったの!?」


「ついに、この時が来たのですね……姉さん」


「ええ。恐らく、オドゥルヴィア博士もそのことについては既に気付いているはず! だとすれば、早く十二属性戦士を修行の森から出さないと大変なことになるわ!! 急ぎましょう!!」


 そう言って話をまとめた三人も屋上を後にした。


―▽▲▽―


 ここは夢鏡王国の城下町。さらにそこを奥に行った所にある修行の森。

 現在、城下町では衛星の大爆発による隕石群の襲来に、収拾がつかない状況にあった。そんなことなど露知らない十二属性戦士がいる修行の森の内部でも、少しばかり異変が起きていた。


「ん?」


「どうかしたの?」


「いや、今足元が少し揺れたような気がして……」


 薄い水色の髪の毛を後ろを振り向くと同時になびかせる少女『旋斬(かざきり) (かえで)』。さらに楓の謎の言動に首を傾げる青髪の少年『霧霊霜(むりょうそう) (しずく)』。

 と、そこへバタバタと他の十二人が集まってきた。そう、彼らこそがこの物語の重要人物であり鍵を握る組織――十二属性戦士である。人族を四つに分けた皇族、帝族、王族、民族の中の民族に分類され、その民族の中でさらに有属性者と無属性者に分けて有属性者に属しており、その有属性者の中でも特に優れた力を持つ子供達。

 十二属性戦士は過去六代に渡って受け継がれてきており、初代結成当初は伝説の戦士として語られていた。また、その時には実に三十一人もの十二属性戦士がいたという。が、現在ではその力を持つ者が確認されているのは十四人。そう、彼ら六代目十二属性戦士である。しかし、彼らも元々王国にはおらず、三年前記憶を失くした状態でそれぞれ十二の都に散らばっていた。その理由は未だに判明してはいないが、何やら王族が関連していることは明らかになっている。


「お~い! 大変だ!! 急に空から隕石が降ってきやがった!!」


 大きく手を振りながら片手に巨大ハンマーを担いでいる少年『崖斑(がけぶち) 爪牙(そうが)』が大声で雫と楓に聞こえるように声を張り上げる。


「隕石!? そんな物がどうして……?」


 楓が不思議そうに首を傾げて頭上に疑問符を浮かべる。

 二年間も修行の森で寝食を続けてきた十二属性戦士にとって隕石が降ってくる理由など分かるはずもなく、すっかり混乱してしまっていた。


「とりあえず入口に向かわないッスか? このままここにいると危険な感じがするッス!」


 相変わらず独特の喋り方をする天然パーマの少年『氷威(ひょうい) 残雪(ざんせつ)』が、少し心配になってきたのか入口に戻るという提案をする。


「まさか、入口をその隕石とかに塞がれて外に出られない……なんてことはないわよね?」


 怖がりな性格なのは未だに健在の様子の、紫色の髪の毛をポニーテールで結んでいる少女『猛毒雲(もうどくうん) (すみれ)』が周囲を見渡しながら呟く。


「そんなことはないと思うが、そういう可能性も思慮に入れておく必要はあるな」


 と、黒髪に鋭い目つきの赤い双眸を持つ少年『(あらし) 暗夜(あんや)』が言う。


「私もだんだんと怖くなってきたよ、お兄ちゃん!」


 金髪をツインテールで結んだ金色の瞳を持つ少女『明見(あけみ) 輝光(きらら)』が義兄である金髪に黒縁メガネをかけた白衣姿の青年『鳴崎(なるさき) 雷人(らいと)』に抱き着きながら言う。すると、義妹の言葉に雷人が口元に笑みを浮かべて言った。


「あ、ああそうだな! 確かにここはあまりにも暗い……。これではうっかり足を踏み外して崖に真っ逆さま…などというBAD ENDも考えられるしな……」


 仮の話をしながら義妹の小さな頭を撫でながら雷人が一言。すると、それを聴いた十二属性戦士の一人が口を開く。


「だとすれば早く入口に向かった方がよさそうですね」


 緑髪に緑眼の白いカチューシャを着けた少女『草壁(くさかべ) 葬羅(そうら)』が修行の森の入口へと繋がる漆黒に包まれた森の道を見つめる。

 葬羅の提案を聴いた十二属性戦士は互いに首肯して修行の森入口へと走って行った。

 道中、隕石が降って来て行く手を阻んだが、時属性の力を持つ少女『鎖神(さがみ) 時音(ときね)』や、滅多に現れる事のない幻属性を持った青年『玄瑯(げんろう) 夢幻(夢幻)』がそれらを破壊して新たな道を作り出してくれたため、どうにか先へ進むことが出来た。

 そうこうして、ようやく一同は修行の森入口付近にやってきた。しかし、そこで一際大きな隕石が砂除けのマントやブーツ、マフラーの様な物を巻いている少女『石吹(いしぶき) 細砂(さーしゃ)』に襲い掛かってきた。


「きゃあああああっ!!?」


 細砂のその悲鳴に気付き、付近にいた爪牙が自慢のハンマーを抱え上げてその場に駆け付けようとしたが、それには時間が少しばかり足りなかった。絶体絶命と思われた刹那――


シュパンッ!!ドッゴオォォォォォォォンッ!!!


 と、岩に数本の切り込みが刻まれ瞬時にその岩がバラバラに木っ端微塵、粉砕された。

 恐怖でその場に蹲り目を瞑っていた細砂が目を開けると、目の前には銀髪の少年『影虎(かげとら) 白夜(びゃくや)』が剣を鞘に納めている姿があった。


「あ、ありがとう……」


「気をつけろよ?」


「あっ、うん」


 謎が未だに多い上に暗夜に似たその鋭い目つきが細砂を恐れさせていたため、返事が少しばかり上ずった声になる。

 十二属性戦士は入口の前に立ち、その扉を開けようとした。その扉に手をかける残雪。

 刹那――その手に鋭い電撃がバチバチッ! と音を立てながら流れた。


「うわっつッ!!?」


 突然の事に慌てて入口の取っ手から手を放す残雪。周囲のメンバーもその事に驚愕の表情を浮かべていた。


「これって……どういうこと?」


 楓がメンバーの中で最年長者である雷人に訊く。雷人は黒縁メガネをカチャッと上にあげ、ふっ、と鼻で笑うと言った。


「これは恐らくセキュリティーの一種だろう。これは推測だが、私達がここ――修行の森から勝手に抜け出したりしないように、この電撃で入口を封鎖しているのだろう」


「じゃあ、そのセキュリティーを解除しないと外には出られないってことぉ~!?」


 菫が疲れ果ててその場にペタンと座り込み訊く。


「うーむ、まぁそうだろうな。まぁ、なんてことはない! 破壊してしまえばいいだけのことだ」


 そう言うと雷人は武器である銃を取り出し、軽く一発入口の扉に向かって銃弾を放った。が、命中したはいいものの扉はうんともすんとも言わない。


「むっ……。中々頑丈な扉だ! さすがは夢鏡王国のセキュリティー。そうそう突破は出来んか」


「ちょっと、感心してる場合じゃないでしょっ!?」


 腰に手を当てうんうんと納得したように頷いている雷人に楓が文句を言った。


「それで、結局どうするの?」


 雫もだんだんと表情を曇らせ始めた。同様に他のメンバーも浮かない表情を浮かべる。すると、銀色の冠を頭に被りそれに炎を灯しているオレンジ髪の少年『炎耀燐(えんようりん) 照火(てるる)』が、楓達の間を割って出て来た。


「ここは俺に任せてくれ!! 俺の炎を使えばこんな扉、簡単に溶かせるぜ!!」


 自慢気にそう豪語する照火。そして、さっそく炎を手に生み出すとそれをセキュリティーのかかっている扉にぶつけた。炎はビリビリと電気を放つ扉を完全無視して燃やし続ける。鉄の扉は割と頑丈ではあったが、さすがに何千℃といった炎には勝つことも出来ず、ドロドロと形を変形させながら溶けだした。

というわけで、十二属性戦士登場!

ここで、ちなみに今回は三ページ構成です。何か、一話は大体三話構成の様な気がしてきました。とまぁ、それはさておき、オドゥルヴィア博士が逃げてしまいました。fail to captureです。

それはさておき、封印を解いてしまって申し訳ない気持ちに苛まれたルナーは姉のフィーレに謝りますがフィーレは怒ることもなく彼女を許します。いやあ、優しいお姉さんですね。自分は姉がいないのでどんな気持ちかは分かりませんがルナーは当然嬉しかったでしょうね。

そして、二年後の瑠璃も登場。霊魅は……まだ出てきません。まぁ、ⅡとⅠで十分出てましたからね(操られてる状態でですが……)

さらに、七小衛星が大爆発して夢鏡王国に落下。ほんと、この国は事件相次ぎすぎでしょう!

災難国ナンバーワンですよ。

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