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十二属性戦士物語【Ⅲ】――光と影――  作者: YossiDragon
第三章:少女アンドロイドのお守り篇
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第十四話「力の消失」・2

三部構成でお送りします。

※ただ単に挿絵をこの話は三枚いれたかっただけです。

「久しぶりだな、十二属性戦士! WWWを倒して疲れただろう?」


 ハンセム博士の言葉に皆は悲しそうな顔をした。思わず力を消失したことを思い出してしまったのだ。


「……その顔を見ればわかる。どうやら力を失ってしまったらしいな。いいだろう、光と影計画を潰してくれた礼だ! 特別にタダで調査してやる!! 準備が出来たら地下にある私の研究室に来い! いいな?」


 そう言ってハンセム博士はもう一度扉の奥に消えて行った。


「どうするー?」


「無論行くに決まってんだろ!」


 細砂の質問に爪牙は当たり前だと言わんばかりに答える。

 一同は、意見が一致した所で扉を開け地下への階段を降りて行った……。


――▽▲▽――


 ハンセム博士の研究室は相変わらずヘンテコで、研究者の考えることは全くよく分からない、と言った感じの物がたくさんあった。自動ドアも少し改良されていて、簡単に中に入ることが出来た。中に入ると、暗がりの中でたくさんのコンピュータの画面の明かりに淡く照らし出されたハンセム博士の姿があった。中でも一番目立つのがメガネで、画面の光が眼鏡で反射して白い二つの光が見えているのがとても不気味だった。


「こんなに暗くて作業出来るんですか?」


 時音の言葉にハンセム博士が口を開いた。


「暗がりの方がいろいろと面白いだろ?」


 不気味な笑みを浮かべながら手を組むハンセム博士は、まさにオドゥルヴィア博士に似ていた。さすがは師匠と弟子の息子と言ったところだろうか……。すると、ハンセム博士は急に真面目な顔つきになると、指や手首のストレッチをしてキーボードを叩き始めた。そしてキーボードを少し横にズラすと、画面を十二属性戦士の方へ近づけてマウスをクリックし、とある動画を再生した。


「ちょっとこれを見てくれ」


 ハンセム博士の言葉に皆は何だろうと思っていきなり画面に群がり始めた。


「うわっと!」


――そんなに慌てなくても大丈夫なんだが。



 そんなことを心の中で思いながらハンセム博士は後ろから十二属性戦士を眺めた。


――こいつらも何も考えずに見るとただの子供なんだがな。どうしてこんな奴らに、わざわざ力を与えたんだろうな? まぁ科学から見て、魔法なんかの類である神の考えることは科学者の私には分かり兼ねるな。



 そんなハンセム博士のことはお構いなしに十二属性戦士は動画に夢中だった。


「その動画は所謂ニュースみたいなものでな……。この空中都市ヘルヘイムにはニュースなど流れないから、ウロボロスの大陸から受信しているのだ! ……なかなか回線を繋ぐの大変だったんだぞ?」


 誰も聴いていなかった。


〈続いてのニュースです! 先程、この星で二回目の皆既日食が十二時十二分十二秒に起こりました。これは大変珍しい現象で、科学者の何人かも興味津々だということです。この皆既日食は不思議なパワーを秘めているらしく、その場にいた人は不思議な体験をしたという情報が入っています。次の――〉


 動画の途中でハンセム博士は動画を止めた。


「ここまでだ」


 ハンセム博士は別のパソコンを扱い、あるデータを開いた。それは皆既日食についてのデータだった。


「どうしたんだこれ?」


 雷人が興味深そうに画面を覗き込む。ハンセム博士は雷人の言葉に鼻高々に言った。


「さっきのニュースでもあった通り、この星――ウロボロスで皆既日食はとても珍しい。だからこそ、科学者である私はこの皆既日食を調べることにしたのだ!」


 ハンセム博士はそう言うと、突然両手をあげてパチン! と指を鳴らした。


「おい斑希! ちょっとこっちに来てくれ!」


「ふ、れあ?」


 夢幻が不思議そうにその名前について考えていると、奥から一人の少女がやってきた。白衣を着て、長い太陽に近いオレンジ色の髪の毛の一部を頭の少し上の部分で結んでいた。まるでハンセム博士の助手のような格好だ。


「お呼びでしょうか、ご主人様(マスター)


 その少女はまるで機械のような動作をしていた。


「ハンセム博士、誰なんですかこの女性は?」


「こいつはな、私が作り出した初期型アンドロイド『光陽(こうよう) 斑希(ふれあ)』だ!!」


 ハンセム博士が言ったその少女の言葉に皆は疑問を感じた。


「その名前はどうしたの?」


 時音が首を傾げる。


「こいつの元の体の人間の名前だ!」


 十二属性戦士にはハンセム博士の言っている事が少しばかり理解出来なかった。


「まぁ、要するに……簡単に言えばこいつは中身は機械でも見た目はお前達と変わらない人間だということだ! その証拠に――」


 グル~ッと十二属性戦士メンバーを見渡したハンセム博士は、雫を手招きして近くに呼んだ。


「何?」


「雫。手を前に出すんだ」


 雫は頭に疑問符を浮かべながらも訳も分からずに言われた通りにした。すると今度は、斑希と呼ばれるアンドロイドにハンセム博士が指示を出し、雫の掌に手を重ねるように言った。斑希は何の躊躇いもなく、表情を変化させることなく雫の掌に手を乗せる。


「どうだ雫? 本物の人間と変わらないだろ?」


 雫に手の感触の感想を求めるハンセム博士。当の本人は驚きながらも冷静に感想を話した。


「ハンセム博士の言うとおりだよ。中身は機械だって話だけど、手触りも殆ど人間と同じだ!」


 予想以上の感想結果に、ハンセム博士も満足そうだった。


「そこで本題に入る。この斑希って娘は数千年か前に死んでしまっているんだ……ある被害というか事件によってな」


「えっ?」


 楓が驚きの声をあげた。


「じゃあ、ここにいる斑希ってやつはどうやって作ったんだよ!?」


 爪牙の言葉に、ハンセム博士は少し俯きながら言った。


「少しばかり残酷な話かもしれんが、この娘の死体から表面の皮だけを剥ぎ取ったんだよ」


 ハンセム博士の言葉に慌てて菫は耳を塞いでその場から抜け出した。


「菫には少しばかりキツい話題だったかもしれんな。それで、斑希の皮膚をこのアンドロイドに貼りつけたんだ!」


「ま、マジかよ……」


 ドン引きの十二属性戦士。それを見て申し訳なさそうにしながらハンセム博士は笑い出した。


「すまんすまん、まさか本気で信じるとは思わなかったよ。冗談だ、十七歳の少女の皮を剥ぐなどそんな非人道的な事はしない。これは斑希の皮膚組織を特殊な培養機で作り出した皮で出来ている」


「あんまり、変わらん」


 雷人が素直な感想を述べる。


「そうか?」


「それよりも、脳などの臓器はどうなっているのだ?」


 続けて雷人が真剣な面持ちで訊く。


「ふっ、さすがは雷人。いい所を突いてくるな! その通り、この方法が完成すればどんなに死者が出たとしてもアンドロイドがあれば簡単に蘇生させることが可能となる!! しかし、初期型の唯一の欠点が今雷人が指摘した部分なんだ」


 そう言って斑希に注いできてもらった一杯のコーヒーを一口飲んだ。


「……このアンドロイドはまだ脳を取り付ける事が出来ん。要するに、体は既に大人なんだが、脳が完全に発達していないため感情を覚えていない――即ち、無表情なのだ」


 そう言ってハンセム博士は側に立っていた斑希のミニスカートを不意に盛大に捲り上げた。


「きゃあああ!」


 自然な反応だ。普通の女子ならこれが正しい――が、この声を発したのはその行為を見ていた十二属性戦士の女子メンバーであり、斑希ではなかった。捲られた当人はというと。


「……」


 このように、完全に無反応のノーリアクションであった。あまりにも無用心すぎる。


「な? だから完成とは言えな――」


パシン!


 思わず張り手を受けるハンセム博士。


「実験のつもりかもしれませんが、これはサイテーです!」


「いったた……悪い悪い」


「大丈夫ですか? 絆創膏をお持ちします」


 捲られた当人はやはり気にも留めていないようで、暗がりとはいえ可愛らしいピンク色のパンツを公の場で晒したというのに普通に捲った張本人の心配をして絆創膏を取りに行く始末。

 それを見届けた博士は嘆息して十二属性戦士の方に向き直る。


「そこでだ、お前達と取引がしたい」


「取引?」


 少し緊張して表情を強ばらせる十二属性戦士メンバー。何を言われるのだろうと思ったのだ。


「ああ、斑希にほんの少し改良を加えて脳を移植したいのだ。このままではあまりにも無防備すぎる。機械とはいえ、感触は生身の人間と変わらん。これではいつ襲われても以下しくないからな」


「まず、あなたに襲われそうですけどね」


『……』


 楓の嫌味ともとれる台詞に皆が無言になる。


「ゴホン。無論、斑希の脳は腐らないように特殊なホルマリン漬けにしてある。特殊加工も施して今はある実験室の中にある。お前達に頼みたいことはこいつの面倒をしばらくの間見てやってほしいんだ。それともう一つ……王立魔法図書館『ディヴァリー・ブカベリプス』に行って、ある本を見つけてほしいんだ。禁断の書だから恐らくそう簡単には侵入できないような細工がしてあるはずだが、そこはお前達の力で何とかしてくれ!」


 ハンセム博士の長い説明を聴いていた十二属性戦士の一人である葬羅がふと質問をする。


「別にいいですけど、ハンセム博士は何をしてくれるんですか?」


「その言葉を待っていた!!」


 ビシッ! と葬羅を指さすハンセム博士…。


「人を指ささないでください」


 少しムッとした表情をとる葬羅。


「私は実は後七つアンドロイドを持っている――第二型のな。だが、こいつにももう少し改良を加えなければならない! そして、七機といえば何が当てはまる?」


「……う~ん、私達の……親?」


 人差し指を一本立て疑問混じりの声で口にする時音に、ハンセム博士はニヤリと口元に笑みを浮かべて言った。


「ご名答!」


 そのハンセム博士の一言で一気に皆は笑顔を作って彼にお礼を言った。


「な~に、最近出回っていたアンドロイドに目を付けたら偶然にも七機あったんでな……」


 ハンセム博士が回転椅子に乗って得意気に高笑いなんかしながら回転する。しかし、そこで急に暗夜がトーンを下げて悲し気に言った。


「だが、俺達の親は全員死んでるが、相当年月が経ってるんじゃねぇのか?」


「そこは私に任せておけ! こんなことがあるかもしれないと思って、あらかじめコールドスリープにかけて全て特殊なホルマリン漬けにしてある!!」


「そんな器用なことが可能なの!?」


「私は天才だからな!!」


 腰に手を当て鼻高々にハンセム博士が威張る。


「しかし、これまた一つ欠点があってな……年齢が変わっていない。だから、お前達と然程歳の差が開いていないが――それでもいいか?」


 ハンセム博士の言葉に十二属性戦士は顔を見合わせると、雷人が皆の気持ちを代表して言った。


「別に構わん! 私達の親にもう一度会えるのならばどんな手段も厭わない」


「それを聴いて安心した! ではさっそく準備に取り掛かるからお前達の方も頼んだぞ?」


 そう言ってハンセム博士は斑希に絆創膏を貼ってもらうと、キャスター付きのふわふわ回転椅子から降りて白衣の袖を捲りメガネを拭いた。そして、そのまま奥の暗闇へと消えて行った……。

 その場に取り残される助手の斑希と十二属性戦士。両者は互いの顔を見つめ合い硬直状態に陥った。

というわけで真ん中?です。なんか、三部構成になりました。理由はまえがきに書いた通りです。さて、ハンセム博士がⅢでまたまた登場です! ところで皆さん思いましたか? このⅢではほっ――――――――とんど瑠璃と麗魅は

出てきません。残念です。密かに出す機会を伺ってたんですが、無理でした。そして、最終回だというのにここで新キャラ登場、アンドロイドの光陽斑希ちゃん。皆さんこの名前よーーーーーーーく覚えておいてください。なぜかはⅣを読めばわかります。まぁ、覚えていない方がネタバレにはならないかもしれません。それでも構わないという人は覚えておいてください。

そして、死んだ人間の皮を剥いでアンドロイドの表面に貼り付けるってどんだけ恐ろしい人なんですかハンセム博士――と思いきや冗談という。

この人、結構冗談好きですよね。さらに発覚するハンセム博士のセクハラ行為。無反応だからっていきなりスカート捲りっておっさんかよ!

てなわけで、次回図書館、行きます。

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