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十二属性戦士物語【Ⅲ】――光と影――  作者: YossiDragon
第二章:食い止めよ、災厄の陰謀篇
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第十二話「白衣の裏に隠されし過去と陰謀」・2

「どうした? まだ倒せないのか? 見ろ! 早くしないと、夢鏡王国までウィリヴェラスはもう随分近づいているぞ?」


 十二属性戦士を焦らせ動きを鈍らせるオドゥルヴィア博士の巧みな話術。


「くッ!?」


 照火が自身のパワーがいつもよりもなぜか落ちていることに不思議がっていた。すると、雷人が言った。


「オドゥルヴィア!! 私達の力はこんなものかもしれない……だがな、貴様の弟子であるティリマン博士の息子であるハンセム博士が作ったこの発明品は、あの怪物にも通用するはずだ!!」


 その言葉にオドゥルヴィア博士はサッと雷人の方を向いた。


「――ッ!? ……そ、それは、まさか?」


「どうやら知っているようだな……。ご明察、これはハンセム博士が作った発明品で、記念すべき発明品No.777……通称トリプルセブンと呼ばれる発明品。その名も――『トリプル・トップガン』!! これには凄まじい魔力を超圧縮して詰め込んだ弾丸に、さらに薄く魔力をコーティングして作り出した代物だ! これを撃てば、さすがのオルグロスも一溜まりもないだろうな!」


 雷人の言葉に、珍しくオドゥルヴィア博士は悔しそうな顔をして歯噛みし冷や汗を流す。


「爪牙、これを持っててくれ! 反動が強いから少しの間耐えてて欲しいんだ!!」


「しゃ~ねぇな、分かったぜ!!」


 爪牙は台座代わりとして、白銀の地面に足をつき発明品を両手で支えた。


「皆、準備の間援護を頼むぞ!」


『了解!!』


 他のメンバーはサッ! と武器を構え、爪牙と雷人が準備をする間にオドゥルヴィア博士の足止め、及びオルグロスとの戦闘を開始した。


「にしても、この怪物もよく耐えていれるよね……」


「どうして?」


 雫の疑問に思う言葉に時音が訊いた。


「だって、元々人間だったんでしょ? 普通ならこんなにも体と馴染むはずがないのに……」


「恐らく、オドゥルヴィア博士が何かしらの細工を施したんじゃない?」


 楓が口を挟む。


「ふ~ん」


 雫は相槌をうちながらその話を聴いていた。そして、ようやく発明品の準備が整った。


「行くぞ!! 皆、離れるんだ!!」


 雷人が手を上げて皆に合図を送る。それを見たメンバーは、急いで頂上の端付近に避難した。オルグロスは訳も分からずその場に立ったまま「ウゥ~ッ」と唸り声をあげている。


「ぐッ! しまった!?」


 オドゥルヴィア博士が止めにかかろうとしたが、一足遅かった。


「発射ッ!!」


 雷人が手を前方に振り下ろすと同時に弾丸が発射され、怪物のコアに見事命中した。顔のない怪物――V-orgrossⅠ第四形態は、体をよろめかせながら辺りをのた打ち回った。


「なかなかしぶといやつだ! まぁいい、もう一発くらえ!!」


 そう言って雷人はさらにもう一発弾丸を発射した。しかし、オルグロスはそれを躱し背中から謎の触手を伸ばし、周囲の十二属性戦士に被害を及ぼした。

 刹那――触手の内の一本が葬羅の細い足に絡みついた。


「くっ! な、……きゃああああああああっ!!」


 葬羅は触手に足を引っ張られ、地面に勢いよく叩きつけられた。


「があっ!!」


 痛めた部分を擦りながらその場にゆっくりと起き上がる葬羅。すると、細砂が葬羅に駆け寄り触手を振り払い手を貸した。


「大丈夫?」


「はい、ありがとうございます!」


 葬羅は手を伸ばしてきた細砂の手を取り、その場に立ちあがった。


「何てしぶといやつなんだ! それにあの生命力は異常な程だ。これが最後の一発だが……頼む! これで死んでくれ!! それ以上、そいつを苦しめないでくれ! 出来ればこいつで楽に死なせてやりたいんだ!!」


 雷人がそんな切なる思いを語り、弾を発射する。


キュィィィィィィィンッ!! チュドォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!


【グゥガアァアアアアッ……】


 弾は見事命中し、オルグロスはその場に横たわった。そして雷人のその思いが伝わったのか、しばらく体を痙攣させていた怪物はついに動かなくなった。

 十二属性戦士は歓声をあげた。しかし、それをよしとしない人物が悔しそうな声を絞り出す。


「おのれェエエッ!」


 オドゥルヴィア博士は十二属性戦士が喜んでいる隙を狙って建物の中に入って行った。それに気づいた暗夜が後を追い掛ける。


「待て!!」


「くそッ! こんなところで我は終わるわけにはいかぬのだッ!!」


 そう言って一番奥まで走って行くと、その場で足を止めた。


「はぁはぁ……観念しろ、オドゥルヴィア!」


 もはや博士をつけてすらいない雷人達も後を追ってやってくる。皆武器を構え、ジリジリとオドゥルヴィアに忍び寄る。


「くっ! ……来るな! それ以上こっちに来るんじゃないッ!! 誰にも、我の邪魔はさせぬ!! 例え相手が神族だろうがなッ!」


 刹那――偶然にも外で一つの雷鳴が鳴り響いた。天の怒りもこの男の耳には届いていないようだ。


「いいかげん諦めなさいオドゥルヴィア! もうあなたの味方になってくれる人はいないのよ?」


 楓が悲しそうな表情を浮かべて博士に言う。


「うるさいッ! 貴様らに我の苦しみが分かる物か!! こうなれば、最後の手段だ!」


 十二属性戦士から少しばかり距離を取り、ポケットにスッと片手を忍ばせ中に入っていたスイッチを押す。すると、ウィーン! と機械音が鳴り、突然眩い光に包まれた。


「何だ!?」


 照火を含めた十二属性戦士の視界を白い光が遮る――と、その時、天空の神殿アファルヴェインの静寂の間でも味わったあの鋭い電撃が、再び十二属性戦士の体を駆け巡ってきた。


『ぐぅわあああああああああああああああああああああああっ!!』


 メンバー全員が悲鳴をあげ、地面に膝をつく。


「もうこれしか方法はない! 貴様らには悪いが、その規格外の魔力……何としてでもこの我の物にしてくれるわッ!!」


 そう言ってオドゥルヴィアは、電圧を高めるためにダイヤルを回し、最大電圧に変換した。


「うぐぅうううッ!!」


 十四人の戦士の体は悲鳴をあげ、バチバチと体から火花を散らせていた。すると、ウィリヴェラスの魔力が高まったせいか、ウィリヴェラスの体が揺れはじめ形を変えた。さっきまで四本足で歩いていたのに急に形を変え、UFOの様な形になった。四本の脚は回転していて、中心の体を軸にして時計回りに回転していた。山や木が生えた体の反対側――要するに腹の部分の、中心に開いた漆黒に包まれた穴からは、異様な空気が漂っている。顔と尻尾のないウィリヴェラスの体は、今ではただの未確認飛行物体としか言いようがない。

 しばらく夢鏡王国の上空をグル~ッ! と回っていると、ついにウィリヴェラスが攻撃を開始した。四本の足が真っ黒な漆黒の穴の部分に集まり、眩い光を集め始める。そして、真っ赤な光がレーザー光線となって中心部分から勢いよく放たれた。同時に発生する突風が、ウィリヴェラスの体に乗っている十二属性戦士に襲い掛かってきた。


「ぐぅ~っ!」


「うわあ~っ!!」


 十二属性戦士はその場に座り込み、何とかその突風を免れた。攻撃された夢鏡王国はというと――奇跡的に無傷だった。どうやら世界四大神のパワーバランスによって守られていたらしい。そんなことがあっている中で、十二属性戦士にも多少の被害が及んでいた。いつもの髪の毛が乱れ、凄まじい突風だったことがよく分かる。女子メンバーはその乱れた髪を自分の手で櫛のようにして髪を梳いた。

 メンバーは呼吸を乱しながら側に居るオドゥルヴィアに近寄った。


「もう終わりか?」


「……ッ、くそ!」


 オドゥルヴィアは成す術がなくなり、その場から逃げ出した。


「なっ、待て!」


「やめろ。あいつよりもまずは、このウィリヴェラスを止めるのが先決だ! そうだろう?」


 雷人の冷静な言葉に黙ったまま静かに照火は頷いた。他の皆も互いの顔を見て魔力吸収装置の周りに集まると、その装置に手を置こうとした。しかし、バチッ! と火花が散り手を置くことが出来ない。


「雷人、どうすればいいの?」


「少し待ってろ!」


 コンピューターに接続し、カタカタとキーボードを叩いた。そして、ハッキングによりパスコードを解除する。


「これで大丈夫だ! もう一度皆これに手を置くんだ。そして目を閉じて、強く念じろ!!」


 皆は雷人が言った通りに行動した。すると、全員の体から魔力のオーラが現れた。普通なら他人の魔力は魔力を見るための技を使うか道具を使用しなければ見ることは出来ないのだが、大量の魔力がそれぞれの個体に集まってきているため、何もしなくても見る事が出来るのだ。オドゥルヴィアに奪われていた魔力を取り戻したおかげで、十二属性戦士はいつもの力――とはいかないものの、少しだけ力を取り戻すことに成功した。

 その時、一つの大きな揺れが起きた。全ての魔力を吸い取ったため、ウィリヴェラスが活動を停止したのだ。さらに不幸は連続で起こる物で、外の方でオドゥルヴィアの悲鳴が聞こえてきた。


「ぐわぁああああああああッ!!」


 急いでその場に駆け付けると、信じられない光景が広がっていた。雷人達が倒したはずのV-orgrossⅠ第四形態が何故か生きていたのだ。しかも、生みの親であるオドゥルヴィアに襲い掛かっている。怪物の体の何ヶ所かは既に痛み始めており、意識も朦朧としている状態だ。すると、背中から飛び出した触手が真っ赤な血を纏ってオドゥルヴィアの体に巻き付いた。その内の一本が標的の腕に巻きつくや否や、ギュ~ッ! と強く締め付けてくる。


「ぐぅ! な、何をする!? 我は貴様を生み出した人間なのだぞ?」


 と必死に叫ぶオドゥルヴィアだが、全くの無視で締め付けるオルグロスは、無言のままただ「ウゥ~」と唸り続けているのみだ。そして、しばらく締め付けが続いたかと思うと、突然オドゥルヴィアを持ち上げ自分の背中に取り込み始めた。


「なッ!? や、やめろぉおおおおお!! ッく…じ、十二属性戦士!! わ、我を助けろぉぉぉおおおおおお!!」


「残念だがそういうわけにはいかないな。自分で蒔いた種だ。落とし前は自分でつけることだな!」


 雷人が白衣のポケットに手を突っ込み、もう片方の手で彼に手を振る。


「ッく! お、おのれェエェエエエ! じゅうにぞくせいせんしぃぃイィィィィィィッ!!!」


 オドゥルヴィアは鋭い目つきで彼らを睨み付け、その紅蓮の双眸を血走らせながらオルグロスの体内に取り込まれていった。


バキッ! ゴシュッ! ムギィニュ! グシュ! ブチブチッ! バリ、ゴキュッ!! ブシュゥゥゥゥ!!


「何だか惨いな……」


 夢幻が周りの様子を見ながら言った。地面はさっきまで真っ白の白銀に包まれていたのに、今では所々に鮮血が飛び散り不気味な色合いを醸し出している。

 十二属性戦士は地面に墜落したウィリヴェラスから飛び降りると、ヘルヘイムの大地に降り立った。皆の表情からとても疲れているという心境が読み取れる。それほどまでに十四人の戦士の戦いは凄まじかったのだ。まだ平均十五歳の彼らにとって、こんなにも苦しい戦いはなかっただろう。それに、輝光に至ってはまだ十二歳の小学六年生。本来ならば、魔法学校ロムレスで楽しく友達と勉強していたはずだ。それも全ては元凶である魔豪鬼神オドゥルヴィアのせいだ。


「にしても、WWWも可哀そうに。大神によって作られたこの機械は、本当なら美しい世界を作り出すために役立つはずだったのに……本当に残念だわ」


 楓が見る影もないWWWのボロボロの姿を見て言った。

 その時、そのWWWから一つの声が聞こえてきた。その声はとても低く、大地を揺らし震え上がらせる声だった。


【おのれェェェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!! 我を侮辱しおってェエエエエ!! このままでは済まさんぞ、十二属性戦士ィ!! この我がッ! 我自身がV-orgrossとなって引導を渡してくれるッ!!!】


 そう、その声の持ち主は、V-orgrossⅠ第四形態に取りこまれたオドゥルヴィアだったのだ。首の無かった第四形態はさらに進化を遂げ、ついに最終形態となった。赤褐色に染まっていた豪腕な腕や体は紫色に変色し、腕もオドゥルヴィアを取り込んだおかげか四本に増えている。悪魔の様な翼が生え、不気味な雰囲気を見事に引き出している。頭に生えた二本の黄色い角と、額から覗く黄金色の瞳が彼らの体を震わせた。手の爪は少し退化して、まだ人間に近い爪の形になっている。手の甲にも赤い刺青が入っていて、左右で異なっている。足の指も三本から二本に減っていた。だが、彼らが戦った背丈が三メートルはあるV-orgrossⅡ最終形態よりかは、はるかに人間に近い成りをしていた。オドゥルヴィアのサファイアブルーの双眸は、今にも真っ赤なルビーに変化しそうだ。その姿はまさに非人道的な研究によって生み出された醜悪な怪物と、この世界を破滅へと導こうと企む災厄の陰謀を企てた魔豪鬼神とが融合して生み出された最狂の獣だった。

 それを目にした十二属性戦士は、疲れ切った体を叩き起こし武器を構えた。

 宙に浮かぶ敵。今までにない圧倒的な威圧感に押しつぶされそうな感覚。

 十四人の戦士は各々息を飲み、武器を一層強く握り締めた。

 そして、ついにラスボスであるオドゥルヴィアとの最後の戦いの火蓋が切って落とされた……。

というわけで、次回いよいよラスボスとの戦いです! ついに本性を現し始めた魔豪鬼神オドゥルヴィア。こんなのが古の昔は七体もいたんですからとんでもないですよね。まぁ、まとめてある人に殺されちゃったんですけどね。それもⅣでやります。Ⅳは色々と盛りだくさんなので。登場人物も相当多いと思います。果たしてオドゥルヴィアの企む災厄の陰謀、世界の理破壊計画はどうなるのでしょうか。

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