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十二属性戦士物語【Ⅲ】――光と影――  作者: YossiDragon
第二章:食い止めよ、災厄の陰謀篇
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第十話「『Wenabekal・Walmgant・Wilyveras』の進撃」・1

 WWW(スリーダブル)は黄金色の双眸を光らせゆっくりと小さな機械の駆動音を出しながら動き出した。それは同時に、光と影計画が始まったのと同様だった……。

 ゆっくりと一歩一歩歩き出すWWW(スリーダブル)の足元の地面がへこみ、深い足跡が残る。

 その時、世界を変える兵器の目の前に人影が現れた。それは、頭に揺らめく炎を灯している銀の冠を着けた少年――照火だった。

 武器を構え攻撃態勢に入る。まさかあんなに大きな兵器を相手に戦うというのだろうか?照火は武器を振り回し、兵器が大きな口を開けた瞬間に炎をその中に投げ込んだ。WWW(スリーダブル)はその炎を物ともせず飲みこんだ。すると異変が起きた。顔がゆらゆらと左右に動き、まるでピエロの様に顔が逆さまになったりした。


「これは!?」


 その異変に気付いた雷人が叫んだ。


「首が一回転した!? 首が繋がってないのか……? WWW(スリーダブル)、この三つのWは元々『ウェナベカル』と『ワルムガント』と『ウィリヴェラス』という三つをくっつけたもの。そして、これにはあの亀の様な兵器のことを『ウェナベカル』、上の象と獅子の合成獣の様な物を『ウィリヴェラス』と記載されているな。しかも、特にあの水晶体……さっきから光っている感じからして、恐らく何かを溜めているな」


 雷人の推測は正しかった。水晶体は光り続け、やがて眩しいほどに真っ赤に輝いたかと思うと口からレーザービームを発射した。紫色のレーザー光線は水を真っ二つに裂き、そのまま地平線の彼方にまで消えたかと思うと、大爆発して円形の光を発した。

 しばらくして、遠くからたくさんの人々の悲鳴が聞こえてくる。どうやら住民が住んでいた地域に攻撃が当たったようだ。

 その悲鳴を聴いた楓が歯噛みしてもう一度WWW(スリーダブル)を睨めつける。


「まずいっ! このままだと次々に周りへ被害が出るわ!!」


 楓は何度もWWW(スリーダブル)の動きを止めようとしたが、なかなか阻止することが出来なかった。図体がデカいのもあって相手に全く攻撃が通用しないのだ。

 その時、あることを思い付いた。まずは足から――というわけだ。

 そこでまずは下のウェナベカルから破壊することにした。他のメンバーとも協力し、ウェナベカルの厄介なビームを打たせないために、十二属性戦士は額の水晶体を標的にした。爪牙や残雪が最初に攻撃に転じる。ハンマーや鉄球で攻撃するものの、やはり弱点を狙われているということが敵にも理解出来ているせいか、ウェナベカルはどんな手を使ってでも阻止してきた。特に、ウェナベカルの肩部分にあたる甲羅が開き、そこから発射される三連弾砲とビームガンの二つはとても曲者だった。ヒラヒラとした腕で邪魔をすることもあるが、何よりも大変なのはその腕を切ることだった。ヌルッとした粘液が、切れ味を悪くするためなかなか切ることが出来ないのだ。その点に関し、誰もがイライラした。しかも裏にはタコの様に吸盤がびっしりついていて、それでどんな相手でも捕まえ自慢の太い腕で握り潰そうとする。爪牙や残雪は、その攻撃を何とか躱し相手に攻撃した。しかし、いまいち傷が浅い。あれくらいではあの水晶体を破壊することは出来ない。そうなると、やはりスピードを落とさず攻撃し、水晶体を破壊するしかない。だが、どうしてもあの腕が邪魔だ。十二属性戦士が策を練っていると、ウェナベカルとウィリヴェラスが彷徨をあげ姿形を変え始めた。

 ウィリヴェラスの像と獅子の合成獣の顔の片方が上にせり上がり、顔が半分になり、余った半分の顔の部分にウェナベカルの顔が移った。体も歪な形へと変形する。

 甲羅が消えウィリヴェラスの体に移り、まるでイルカの様な姿に変形したウィリヴェラスとウェナベカルは、一つの姿――『ワルムガント』となった。ワルムガントは、真っ青な冷たいウロボロスの海の中をドルフィンキックでジャンプしながらバラバラに散らばっている十二属性戦士に襲い掛かろうと攻撃を繰り出してきた。そして、十二属性戦士の中でも一番パワー的にも危険だと感じたのか、爪牙の目の前に姿を現した瞬間、大きな口を開けて口腔内にあった真っ赤な水晶体を眩く光らせ、勢いよく咆哮を放った。


ビュゥウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!!


 ビームは爪牙の体にモロに直撃した。すると、モワモワ舞い上がる煙から一つの放物線が見えた――爪牙だ。

 どうやら間一髪で抜け出したようだ。だが、重傷を負ってしまい大変危険な状態に陥ってしまった。それでも爪牙は諦めていないようで、連続攻撃をお返しとばかりにワルムガントにお見舞いする。他のメンバーは、爪牙が一人で頑張る姿をただ見守るしかなかった。照火も珍しく唇を噛み締め拳を握りしめるだけで、我慢して見守っている。その照火の表情はとても険しかった。

 そして、ようやくまともに動けるくらいに魔力が回復したところで、目の前の敵を見やる。再び咆哮を放とうと口を大きく開きワルムガントの水晶体が妖しく輝く。それに向かって、ど真ん中めがけ武器を勢いよく爪牙は得物を振り下ろした。鈍い衝突音の後、水晶体に亀裂が走り、砕けると同時に凄まじい魔力が砕け散った水晶体から抜けていく。やはりワルムガント――否、ウェナベカルはこの水晶体に魔力を集めて攻撃していたのだ。


「爪牙、よくやった!!」


 雷人が爪牙の肩をポンポンと叩く。すると、一瞬クラッと目眩がしたのか、爪牙が雷人の体に倒れ掛かった。


「お、おい! 大丈夫か?」


「あ、ああ……すまねぇ。少し目眩がしただけだ」


 そう言って爪牙は自分に近づいて来る雷人を手で軽く押し離し少し距離を取った。爪牙の身を案じたのか、雷人は爪牙に少し休んでいるように言うと、他のメンバーを連れてワルムガントに接近した。ワルムガントは唸り声をあげ、再び最初の姿に戻った。どうやら魔力の流れはウィリヴェラスとウェナベカルに分かれているらしく、魔力が集結していた水晶体を爪牙に破壊されたウェナベカルは活動を停止し、ウィリヴェラスの四足歩行の脚から離れ海に墜落した。

 ドッボォオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 ウェナベカルが自ら口から出していた水によって出来た海に墜落し、大きく太い一本の水柱を上げる。さらに衝撃で荒波が発生し、周囲に被害を及ぼす。十二属性戦士は残ったウィリヴェラスの体に近づくと異変に気付いた。――何かに引っ張られる感じ。そう、重力場が発生しているのだ。これにより十二属性戦士は重力に引っ張られ、ウィリヴェラスの体にくっついた。どうやらこのウィリヴェラス自身が、動く一つの惑星の様な物だと考えた方が妥当のようだ。

 ウィリヴェラスは暗雲の一部に空いた円形の空を見上げ叫び声をあげると、前に向かって全身し始めた。一歩一歩歩くたびに地面に広がる海(ウィリヴェラスから見ればただの水溜まり同然)の上を、バシャバシャと水音を立てながら歩いていく。どうやら失った魔力を取り戻すために、魔力を少なからず持っている有属性者の集まりとされる空中都市ヘルヘイムへと向かう様だ。小七カ国の一つである夢鏡王国もあるため、余計に被害が予想される。


「まずいわ! このスピードだとあっという間にウィリヴェラスが夢鏡城に着いてしまうっ!! 何とかしないと……!」


 楓がウィリヴェラスの動きを見て言う。十二属性戦士は何とか相手の攻撃を防ぎつつ、行く手を阻んでいる防御壁を破壊して突き進んでいく。


「まずいぞ! 海に行ったら、ヘルヘイムから落ちてくる滝壺から登られるぞ!?」


 雷人が皆にウィリヴェラスの向かおうとしている場所を伝える。


「くそッ! どうすればあいつを倒せるんだ?」


 照火がはぁはぁと疲れたように肩で息をしながら雑魚敵を睨み付け言った。

 ウィリヴェラスは未だ進行方向を変えずにヘルヘイムへと向かっている。

十二属性戦士は視界を失わせようと顔を中心に攻撃していたが、防御力が高いのか、なかなか破壊することが出来ない。

 その時、あるものに気が付いた。そう、二年前スピリット軍団の一人として戦った第五部隊隊長の『スモーキング=スカル』だ。何故かは分からないが、何かのいきさつでこのウィリヴェラスの体に取りこまれたのだろう……。今では意識はないものの、体の一部としてウィリヴェラスの顔の額に組み込まれている。もはや体の一部と化したスカルは、動くこともせず喋りもしなかった。爪牙はその仮面を見た途端、何かを想ったのかハンマーで仮面を粉々に粉砕した。すると、仮面が壊れると同時にそこに大きなコアの様な赤い球体が姿を現した。ウィリヴェラスはそのことに気が付いたのか、大きく体を揺らし小さなゴミの様な十二属性戦士を振り回した。


「くッ! 皆、どこかに掴まるんだ!!」


 雷人が近くのヤシの木にしがみつきながら皆に言った。その声に他の十二属性戦士はそれぞれ近場にあった突起物や障害物にしがみつきその難を逃れた。

ウィリヴェラスの瞳はさっきまでと違い、純粋な黄金色の瞳が真っ赤な怒りのオーラに満ちた双眸になっていた。叫び声も変化し、攻撃力もさっきよりも向上している。強大な一撃を放つ咆哮はビーム状の物から弾状の物に変化し、十二属性戦士を襲った。彼らは時折、後ろを振り向き、目的地まで後どれくらいの距離があるのかを確認しながら敵と戦っていた。それをウィリヴェラスはお構いなしに進んでいく。すると、偶然にも照火の攻撃した箇所に雫の冷水が直撃した。

 刹那――ビキッ! と顔に亀裂が入り、顔の一部が欠けた。


――っ!?



 全員が驚愕した。ウィリヴェラスは顔を振り回しながら雄叫びを上げ、その声を近場で耳にする十二属性戦士はたまらなかった。それでも必死に攻撃を続け、ついに二つの左右対称に生えていた角の左部分が折れた。ウィリヴェラスは体全体を支えるため四肢をずっと地面につけていなければならず、自分の手で十二属性戦士からの攻撃は防ぐことは出来ないが、首を振り回して何度も彼らを振り落とそうとする。まるで犬などの動物が首をぶんぶん振り回して毛に付着した水滴を振り落とす様に。

 しかし、首を振り回す度に十二属性戦士に体の一部にしがみつかれ、なかなか振り落すことが出来ない。ウィリヴェラスはけたたましく叫び続けながら咆哮を発射し、魔力弾を何度も十二属性戦士に発射するものの、小さな敵はちょこまかと動くため、なかなか攻撃が当たらない。さらにその攻撃が仇となり、自分自身の体に当たってしまっていた。そして、ついに暗夜が止めをさした。顔のあちこちを移動するコアを鋭い洞察力で見抜き、一撃でその場所を顔ごと突き貫いたのだ。大量のオイルを噴き出し、顔中に亀裂が入る。不気味な轟音と機械音に十二属性戦士は危機を感じたのか、暗夜を筆頭に一斉に顔付近から避難する。すると、バラバラになった顔がゆっくりとウロボロスの重力に引っ張られて地面に落ちていった。

 再び水柱があがり、辺りに波紋を作り上げる。

 とうとうウィリヴェラスの顔はなくなってしまい、あのうるさかった叫び声が今では全く聞こえず、ズシンズシン! という足音と、ウィーンガッシャンッ!! という機械音だけが鳴り響いていた。

 十二属性戦士はひとまず一段落ついたということで、今の現状を知ろうと周りを見渡した。すると周囲には惨状が広がっていた。周りにはバチバチと火の粉が舞い、燃え上がる森や町が広がっている。先刻の咆哮による影響で地面が抉れ、中には元々森だったであろう場所に小さいながらもクレーターが綺麗に出来上がっている。

 その光景を目に焼き付けた十二属性戦士は、改めて自分達にのしかかってくる責任の重大さを理解した。ウィリヴェラスの顔は失われ、残るは体のみ……。

 次に十二属性戦士が標的にしたのは目の前の山々から出ている機械で造られた龍だった。設計図をパソコンで見た雷人は、仲間に情報を伝えた。そして、十二属性戦士はそれぞれ東西南北の城に行った時と同じメンバーに分かれた。敵の龍も四体だからである。残りの二人――雷人と時音は、どこからか中に入れないかどうかを探しに辺りを偵察しに行くことにした。


「じゃあ、私達はこっちだから……」


 菫が手を振り雫と楓と一緒に自分達のチームの目標にしている敵の居場所へと向かった。

 しばらくして、あちこちで攻撃音が鳴り響き始めた。どうやら各々それぞれの場所に到着して戦闘を開始したようだ。戦闘中は戦闘に集中させてあげようと思ったのか、雷人は一応心配しながらノイズ音を聞き、いつ彼らからの連絡が入るのかを待ち侘びながら辺りを見回し時音と共に入口を探しに行った……。


――▽▲▽――


 東の方角に来ていた爪牙、輝光、残雪の三人は、目の前に立ちはだかる真っ赤な炎を纏った龍と戦っていた。


「俺らが一番にこいつを倒そうぜッ!!」


 爪牙が腕まくりをし、メンバーの輝光、残雪と一緒に目の前の炎を纏った龍に向けて武器を構える。


「――んで、こいつの属性は何なんだ?」


「えっ!? 知らずに戦おうとしてたの? どう見たって炎だよ!!」


 驚愕の表情を浮かべ爪牙に文句を言う輝光は、呆れるように腰に手を当て頬を膨らませた。残雪も後ろで攻撃のタイミングを見計らい準備を整えている。体が機械で出来ている炎を身に纏った龍は、小さな火山の火口から首を突出しこちらを威嚇している。すると、同時に真っ赤な炎を口から吐き出した。


「きゃあああ!」


「うわっと!!」


 輝光に向かって飛んできた火炎。それを何とか回避したが後ろにいた爪牙を巻き込んで後ろに倒れた。残雪が火炎攻撃が終わると同時に攻撃するが、相手の属性は炎のため効果があまり見込めない。


「くっ! こう炎の威力が強いと俺の氷魔法も効きにくいみたいッス!!」


「でも急がないと、そろそろ滝を上り始めるよ?」


 その言葉に輝光を支えていた爪牙が後ろをゆっくり振り返り見ると、なるほど確かにウィリヴェラスは既にヘルヘイムの水の都から落ちてくる滝壺の場所にいて、動きをしばらく止めていた。どうやらパワーを溜めて、一気に上がろうとしているのだろう。しかしそれをさせてはならない。十二属性戦士の誰しもがそう思うが、なかなか思い通りにならないのも事実……。現に目の前の敵を倒すことが出来ない。相手はたったの一匹で、体を固定されていると言うのに。しかもこちらは三人。どうみたってこちらの方が有利に見えるのだが、実際の所、連戦連続で十二属性戦士も天空の神殿アファルヴェインで魔力を供給したと言っても体力の限界があった。魔力も供給したとはいえ、完全にというわけではない。万全の状態でない三人は、なかなか敵を倒せなかったのだ。

 だが、そんな彼らにも希望の光が見えてきた。先程、残雪が攻撃した僅かな傷痕からオイルが漏れだしたのだ……。それを見た残雪がハッとなって何かに気付いた。


「そうッスよ! あのオイルもいわば液体。だったら凍らせることが可能ッス!!」


「そうだよ、その手があった!!」


 輝光が手を合わせ、嬉しそうにその場で飛び跳ねる。無邪気なその姿はやはりまだ幼い少女と思える。爪牙は何もしてはいないものの、真剣な目で残雪を見守った。龍は体をくねらせながら攻撃しようとする残雪を翻弄する。しかし秘策を見つけ出した残雪にとって、そんな動きは意味が無いに等しかった。残雪はオイルに触れ、極限の氷魔法を使用しオイルをあっという間に凍らせた。オイルと一緒に体を凍りつかせていく龍。自身の体が凍りついていくのが分かったのか、苦しそうなうめき声を上げ龍は完全に凍ってしまった。そして残雪は「決まった!」と言わんばかりのドヤ顔で指をパチンと鳴らした。

 刹那――凍りついた龍の体は氷が砕け散るのと同様、バラバラになって辺りに飛び散った。

 こうして爪牙、輝光、残雪は一匹目の龍を倒すことに成功したのだった……。


――▽▲▽――


 一方、照火、細砂、葬羅の三人はウィリヴェラスの体の一番後ろ――尻尾付近にいた。頭を北とするならば、彼らがいる尻尾部分は南である。目の前には氷属性を持った龍が口から冷気を吐きながらこちらを睨み付けている。その二つの双眸はとても冷たく、真っ青なサファイアブルーの色に染まっていた。その目を見た葬羅は思わず身震いした。しかし、照火は平気そうだ。それどころか、敵がよそ見している隙を狙って攻撃をしかけたのだ。しかし、照火が炎属性なのに対して葬羅は草属性。それを考えるとこの二人の行動は当たり前の事だった。

 照火の行動には敵の龍だけでなく、味方である細砂と葬羅も驚かせていた。


「ちょっと、何やってるんですか照火さん!?」


 葬羅の言葉に照火は振り向き、あくまでシラを切るような表情で「ん?」と言った。

 その時、照火が後ろを向いている隙を狙って、お返しとばかりに龍が襲い掛かった。口から冷気を吐き出し、照火の動きを封じる。その結果、左半身が凍りついて思うように動けなくなってしまった。イラッと来た照火は、頭の炎を揺らめかせ「はあああ!!」と、気を溜めながら一気に魔力を溢れさせた。弾けるようにその場に出現した炎は氷を一瞬にして溶かし、液体にするだけでは留まらずそのまま水蒸気にしてしまった。冷気を纏った龍は一瞬の出来事に驚いたのか、体――否、首をくねらせながら叫び声をあげた。その間に調子に乗りトドメを刺した照火……ここで一ついらぬことをしてしまった。それは、周囲にあった氷の柱を溶かしたこと。氷の柱を溶かしたせいで真っ直ぐ立っていた氷の柱はグラリとあらゆる方向に倒れていった。そして、そのうちの数本が仲間を襲ったのだ。


「しまった!!」


 多少のかすり傷で済んだものの、もしもこれで大けがを負ってしまったのては話にならない。そんなこんなで二匹目を倒した三人は、雷人と時音が待つ中心の高く(そび)え立った山へ向かって歩き出した。こっちの方向は気温が低いためか、微かに白い雪がまだ残っている状態だ。にしても不思議である。そのすぐ隣、東の方角ではドロドロと煮えたぎるマグマや溶岩、そして火山があるというのに、何故隣接している部分の雪は溶けないのか? 不思議な謎が細砂の好奇心をくすぐった。辺りをキョロキョロと見渡しながら目を輝かせる細砂。その様子を後ろから見ていた葬羅が言った。


「そんなに気になるんですか?」


「えっ、何が?」


 細砂が少し体をビクつかせて逆に訊き返す。


「いえ、だってさっきからあちこち見渡して、まるで博物館の中を見て回っている感じに見えましたので……」


 葬羅の言葉に「こいつを倒すまでは、とりあえず我慢するしかないけどな!」と、照火が冗談半分に笑って言った。


「……むぅ、分かってるよ!」


 細砂が頬を膨らませ、分かった分かったとメンドくさそうな顔をする。

 そして三人は、そのまま会話を弾ませながら森の中へ入って行った……。


――▽▲▽――


 西の方角。ここでは楓と雫と菫が電気を帯びた機械の龍と戦闘を繰り広げていた。

 敵の体に電気が流れているだけあって、雫が水の魔法で攻撃するとビリビリと感電しているかのように体を痙攣させた。楓と菫も攻撃に加勢する。

龍は体内に溜まった電気を一気に解放した。それによって放たれた電磁砲は凄まじく、威力は抜群だった。だが、こっちも負けてはいない。敵の攻撃など無視して次々に自分の出来る技を繰り出していく。そして、菫が作った毒性の薬を楓が風の魔法で吹き飛ばし、龍の体の一部にぶっかけた。しかし、龍は蠢きながらも未だに動き続けていてあまり効果は少ないようだ。すると、相手にかかった薬を見た楓が雫に合図を送った。雫は待ってましたとばかりに高く飛び上がり、三叉皇の水槍トライデント・ウォーピアを振り下ろした。

 真っ二つに裂けていく龍を見た二人は、声を合わせて「「やった!?」」と歓声をあげた。二人の声を聞いた雫も表情を少し和らげた。

こうして雫達は、電気を纏った龍を倒すことに成功したのだった……。

というわけで、ついに始まりました。WWWとの戦い。そして、あっという間に出番終了のウィリヴェラスとワルムガント。まぁ、ワルムガントはウェナベカルとウィリヴェラスの合体した姿ですから必然的に消えるわけですが。

そして一気に残すところはウェナベカルなわけですが、こいつが結構苦戦するわけですよ。まずは顔から破壊していき、次に背中の東西南北にいる機械の龍を倒し……と、邪魔者を次々に倒していかねばならないのですから。

この戦いが後二話くらい続きます。外部を破壊後は内部破壊なので。

結局ウィリヴェラスは三連弾砲とビームガンやレーザービームなど重装備でしたが、結局一瞬にして破壊されてしまう始末。後半は外部破壊の続きです。

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