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二百文字の彼女
優しい手。
優しいまなざし。
いつも笑みを結んでいる唇。
ボクはそんな彼女が好きだ。子供に投げかける些細な言葉にも、滲みでている愛情が、ボクを幸せにする。どんなに寒くても、家のドアを開ければそこは南国にも思えた。
無意識にやってしまう癖。
彼女に何度も注意されていた。
「もう、仕方ないんだから」
気をつけてね。困ったような笑顔を浮かべるキミに釣られてボクも笑う。
「うん、ごめんね」
息子の温かな手が、ボクと、彼女を繋いだ。
路傍之杜鵑様主催、☆二百文字小説企画「二百文字の彼女、冬」
便乗作品です。