ロリコンハント
オープニングテーマ 我が為に
女性なんだろ?キラキラしてなよ
光のコロナ身に纏い
君は輝く人になれ
私も貴方も病の猿を消し去る太陽になるのさ
太陽はオーオー聖なる炎だ
忌むべき蒙を啓いてくれる
女性 女性ってなんだ
弔いの鐘が よく似合う
退かず 媚びず 弁えぬ炎さ
ロリコンハント ロリコンハント
女性は誰でも
ロリコンハント ロリコンハント
ひとつの太陽
だから燃える
Follow The Woman!
だから輝く
Catch The Woman!
浄め取る 闇を!
機動刑事ロリコンハント!
警察省機動部隊第6150課…通称ロリコンハント。
女性の尊厳を守るべく満30歳以上の女性のみで構成された、まさしく女性の女性による女性のためのキラキラしたキラキラだ。
今年めでたく三十路に突入した私はこの憧れの部隊への転属を願い、受理されたのだった。
「よろしくお願いします、先輩!!」
バディを組む先輩刑事に挨拶すると、彼女は私の爪先から頭のてっぺんまでくまなく検分し、目元の小ジワを見つけてニコリと笑った。
「うむ、女性だな!!
こちらこそよろしく頼む!!
ロリコンという病が根絶できるか否かは君の活躍にかかっているぞ!!」
「はい!!」
ケース1 家出少女
「好ーき♡」
「うん」
「愛してる♡」
「うん」
「ちゃんと信じてる?」
「こうも露骨に態度で示されたんじゃ信じる信じないのレベルじゃないよ…。
認めるか認めないかだ」
「じゃあ、認めてくれる?」
「僕の態度じゃ足りないかな」
「えっへへ…充分。
認めあってるんだね、あたし達」
「そう思うよ。
だからこそ今聞くよ。
本当に家に帰る気は無いのか?」
「無い。
考えたんだ…色々。
バカでもバカなりに、限界まで頭使った。
でもさ、今以上の環境が想像できなかったんだよね。
このワンルームにお兄さんと暮らして、お兄さんのためにお世話して、お兄さんと寝て起きて…それ以上の価値が世の中に見つからなかった。
あたしの気持ちがそう示してたんだよ。
信じる信じないのレベルじゃなく、露骨に」
「自分を認めた…のか」
「そもそもおかしくね?
もしあたしの今が間違いで世の中の常識が正しいなら、ロリコンと暮らすのが不幸で普通に暮らすのが幸せなら、迷わず普通に暮らすはずじゃね?
あたしバカなんだから。
簡単でわかりやすい、見てすぐ確かにあるってものしかわからないんだから。
そんなあたしから見て、世の中には何も無かったってこと。
勉強していい中学いい高校いい大学出ていい会社入って働くなんて、想像してもなんにも嬉しくなかった。
結局さ、別に好きでもないオッサンオバサンに認められたって空しいだけなの。
こうやって、好きな男と抱き合ってるほうがずーっと好き」
「そうか」
「…貴明さんって、呼んでいい?」
「いいよ」
「代わりに…美結って呼んで。
下の名前で」
「なんの代わりなんだか…」
「いいから」
「美結」
「へへへ…ねえ、もっかいしよ」
「3回もしたのに?」
「何回でもするの。
これからもずっと。
何日も」
「ふふふ…わかったよ」
ドバーン
「よーしそこまでだ!!
我々はロリコンハント!!
不同意性交の現行犯で逮捕する!!」
私達が安いワンルームマンションの扉を蹴破ると、中で裸の被害者が加害者に跨っていた。
「へ!?え!?
不同意って…あのそのこれはそう、あのレイプとかそういうのじゃなくて!
あたしが押し倒したようにしか見えないだろうけどそうじゃなくて…!」
「ああわかってる。
その変態男がお前をレイプしようとしているんだ」
「はあ!?」
助けに来たヒロインに対し怒りを顕にする被害者。
全く状況を理解できてない様子である。
可哀想に…洗脳で被害に気付けないのか。
一方の加害者は即座に観念していた。
腹の上から小さな尻を優しく除けて立ち上がり、こちらへ向き直る。
甕の中を覗き込んだ気分だ。
不気味なまでに深い静寂。
死を約束された者が見せる、生の流れを絶たれた水面だった。
「ロリコンハント…狙いは僕でしょう。
彼女には手を出さないでくれ」
「そうはいかん。
そこの猿は不同意性交の被害者だ。
よって施設で治療を受けてもらう」
先輩の宣告を聞いた被害者はますます激昂した。
「ばっっっかじゃないの!?
どう見てもあたしが襲ってんでしょうが!
なにが不同意だよ!」
「山城美結…警察省の情報網を甘く見るなよ。
お前が小学5年生の11歳なのは調査済みだ卑怯者め。
誰が何と言おうとこれは不同意性交だ。
おい、被害者を保護しろ」
「わかりました!!」
先輩の指示を受け、玄関から0,5秒で部屋中央まで走り着いた私は被害者を抱きかかえた。
説明しよう!!
ロリコンハントの機動制服は着用者の身体能力を何倍かにするのだ!!
「がっ…離せ!」
せっかく助けてやったというのに野良猫の如く暴れる被害者。
なんて恩知らずな!!
「このっ…被害者なんだから被害者らしくしなさい!!
私達はあなたを助けに来たのよ!?」
「だからなんでだよ!?
あたしが好きでやってんの!
あたしがこの人を好きだからやってんの!
あたしがセックス好きだからやってんの!
それをこの人もわかった上で受け入れてくれてんの!
邪魔しないで!」
「はーやれやれ…典型的なストックホルム症候群だな。
人質が犯人に仲間意識を抱くアレだ。
幼い猿ならなおさら大人にホイホイ乗せられてしまうのか。
あのなあ…もう助かったんだから、そんな異常者に合わせてやる必要は無いんだぞ?
お前も異常者になりたくはあるまい。
素直に従え」
「今だよ今!
今がまさに人質だよ!
力ずくで捕まえられて、社会的に殺されたくなきゃ言う事聞けって脅されてる今こそ人質状態だよ!
ここからあんたらに従うとしたら、そりゃ脅しに屈してるんだよ!
大人に囲まれて被害者にならなきゃ許さねえぞって脅されたら普通の子供は乗っかるしかなくなるってだけの話!
人質に仲間意識植えつけようとしてる犯人はそっちなの!」
「ふん、くだらん屁理屈ばかり並べて…やはり猿は猿。
お前達がただあと20年待てば良かっただけの話をよくそう責任転嫁できるものだ。
本当に愛しているならセックスなどせず我慢できる」
「うん、ボケて忘れちゃったみたいだからもっかい言うね。
あたしはこの人が好きなの。
セックスが好きなの。
好きな人とするセックスが大好きなのに我慢されちゃ迷惑なの!
何の必要も意味もない、あたしを避けて苦しめるためだけの迷惑行為なんか本当の愛とは言わねーの!
『お前は今から20年誰とも愛を確かめあわず気持ちよくなることも子作りすることもなく生きていけ』なんて言う奴はあたしを愛してねーの!
敵!
敵のルールで勝手に本当かどうか決めてんじゃねーよ!
おばさんセックス知らないんじゃない!?
あたしたちは愛しあってんだからほっといて!」
「あーうるさいうるさい。
猿知恵でギャーギャーと…類人の獣に愛を理解できるはずもなかろう。
全てお前の歪んだ妄想だよ。
ロリのセックスはいかなる理由があっても罪悪なのだ。
もういい連れて行け」
「はい!!」
「うわああ貴明さーん!!」
被害者が叫ぶ。
するとどうしたことか?
先程まで確かに死体同然だった加害者がじわじわと、逡巡の縄を一本一本断ち切るごとにはっきりと、鬼の形相へ変わっていくではないか!!
そして完全な悪鬼になるのを待たず、憤怒した加害者が襲いかかってきた!!
「美結を離せええ!!」
「ていっ」
「ぐはっ」
私は加害者を一撃で蹴り倒した。
説明しよう!!
彼はただ怒っただけで鬼の怪人とかではないから普通に倒せるのだ!!
「…!?
うっごほっ!!
げほっげほっ!!
うええっ…!!」
先輩が倒れた加害者へシューシューシューシューシューシューシューシューシューシューシューと念入りに消毒用エタノールを噴霧している。
加害者がむせる都度こっちまでツンときた。
「可能なら消毒槽に1週間漬け込んでから行きたいがこれも仕事だ…仕方あるまい。
お前を連れていくのは私だクソカスゴミゲロ金玉野郎め。
泣け。
真の女性に触れて頂ける栄光だぞ、歓喜の涙を流すがいい。
…おうおう、目を真っ赤に腫らして…そんなに嬉しいか。
よし立て!!
お前には猿の尻より絞首台が似合いの穴だ!!」
「美結…美結…!」
「貴明さん…貴明さん…!」
互いに呼び合って耳障りな加害者と被害者を別れさすため応援の護送車を1台呼ぶはめになったが、なにはともあれ任務完了!!
翌日。
新米には全てが学びである。
私は経験を積むべく被害者の治療を任された。
「…貴明さんはどうなるの…?」
ストレイツォ症候群の被害者は事ここに至っても加害者の身を案じていた。
なんとも痛ましい。
早く救ってあげなくては。
だがその前に、ひとまずは質問に応えてやるとしよう。
「死刑に決まってるじゃない。
ロリコンなんだもの」
「証言はさせてもらえるんだよね?」
「誰の?」
「あたしの!」
「ああ…そうよね、穢らわしい欲望のはけ口にされてきた恨みをぶちまけたいわよね。
でも安心して。
誰が何と言っても死刑は揺るぎないから」
「…絶対にさせない…。
絶対に無実を証明してやる!!」
被害者は私の話を聞いていないようだった。
またその翌日。
私は仕上がりを確認してもらうため、被害者を先輩に引き合わせた。
「さあ被害者ちゃん、今の気持ちは?」
「クソオスシネクソオスシネクソオスシネクソオスシネクソオスシネクソオスシネクソオスシネクソオスシネクソオスシネクソオスシネ…」
「おーよく出来てるじゃないか。
初治療にしては上出来だ」
「ありがとうございます!!」
「しかしいくら被害者とはいえ、たかが猿一匹のためにロリコンハント隊員の貴重な1日を費やさねばならんとは…。
まだまだ日本は男尊女卑社会だ」
「…タカ…?
タカ…タカ、タカっあき…さ…!!
う、グァアアアアァアァア!!」
「ああまただ!!
すみません先輩、どうもタカとかアキとかって言葉に過剰反応する癖があって…。
なんなんでしょうねこれ?」
「私に聞かれても困る。
猿の心理には明るくないんだ。
ましてや病気の猿ともなれば理解できるほうがおかしい。
それよりランチにしよう。
自立した女性といえばやはり優雅なランチさ」
「この子はどうします?」
「私に任せろ。
5分くれ、すぐ終わる」
そう言って被害者を連れて行く先輩。
どこへ行ったのかはわからないが、銃声のような音が聞こえてすぐ先輩だけ戻ってきた。
「どうでした?」
「綺麗になったよ」
さすが先輩。
素晴らしい手際、私も見習わなくては。
この後私達は1食5000円のランチを2人で楽しみ、お腹いっぱいになったので直帰したのだった。
ケース2 教師と生徒
「2人っきりですわね」
「ただの補習だ」
「いけない課外授業ですわね」
「それは日曜まで待て」
「ああ、顔が乾いて力が出ませんわ!」
「ほら、ウェットティッシュ」
「ちゅー」
「…………」
「べろべろべろんのれろえろはむあむを所望します」
「俺をクビにさせたいのか」
「図書室の奥なんて外から見えませんわよ。
扉は閉めてあるから、侵入者が来ればすぐわかりますし」
「はあ…だからこの席を選んだのか」
「ほほほ!おほほほ…んっ!?
…んっ…はっ、はむぅ…ちゅっ、ちゅるっ、ん〜れるれる…んぁあん…」
「よし濡れた。
はい勉強勉強」
「ああ!
下の口が濡れて力が出ませんわ!
おほ!
おほっほほほほ!」
「…………」
「…おほほ…」
「早く次の問題」
「………はい…」
「そんなに落ち込むな…落ち込みたいのはこっちだ。
はあ…まさか学年1の秀才が単独補習受けるまでに堕落するなんて…」
「責任とってくださいます?」
「一生面倒見てやる」
「うふふっ」
「面倒は見るけど…正直意外だな。
俺はお前ほど勉強好きな生徒はいないと思ってたんだが…」
「わたくしもそう思ってましたわ。
優れた結果を出し社会に君臨する事が唯一の生き甲斐と信じておりました。
あなたに抱かれるまでは…。
結果論で言えば、わたくしはただ藁に縋っていたに過ぎませんの。
足つかぬ不安定、阻害され続ける呼吸、冷えていく一方の体…そういった苦しみを、ほんの僅かでも緩和したかった。
ただそれだけだったんです。
確かな地盤で大の字になって寝そべって、胸いっぱいの呼吸が何度でも可能な今、藁なんてくすぐったいお邪魔虫でしかありません」
「人を島か大陸みたいに…」
「地球ですわ。
わたくし、もうあなた無しでは生きていけませんのよ」
「すっごいプレッシャー」
「ご安心なさいませ。
特権階級の如くひたすら浪費してサヨナラ、なんて絶対致しません。
むしろわたくしが丁寧に丹念に、隅々まで耕してさしあげますわ!
藁だって捨てずにかき集めて、火ぃつけてあっためてやりますわ!
高校落第なんて寒冷化は断固阻止しますわ!」
「まあ…今はとにかく成績をある程度戻せるなら、とりあえずそれでいい」
「はい。
…というわけでその…勉強を頑張るためにも、もう少し地球の大気を吸わせてもらえませんこと?」
「さっき吸ったろ」
「んぅんあと5分!
5分吸ったら5分頑張ります!」
「1分だけだ」
「ケチ!」
「5分もしたら俺が我慢できなくなる」
「うふふ…もう、しょうがない人。
ん〜〜〜ん、ん〜〜〜…」
バシャーン
「そこまでだ!!
我々はロリコンハント!!
青少年健全育成法違反の現行犯で逮捕する!!」
私達が学校の窓を突き破って突入した時、夕陽からも隠れる隅の隅に置かれたテーブルで加害者と被害者が濃厚ディープキスの真っ最中だった。
「ロリコンハント!?
な、あ、ち、違いますのよ!?
これは…!」
「また口答えされたら鬱陶しい。
電撃」
「はい!!」
「ぎゃべれがぼばびべれえええ!?」
被害者を電撃棒で殴りつけると奇声ののち静かになった。
説明しよう!!
電撃棒、通称ビーナスアングリーは成人男性3人分の失神を引き起こすのだ!!
「うわっオシッコ漏らしてる…無理矢理キスされたのがよっぽど怖かったのね、可哀想に…」
いささか不謹慎かもだが、被害者が被害者らしくしているのを見るとかえって安心する。
前回のような異常心理に至ってない分軽症と言えるから。
「…なんだ…なんなんだこれは…おい!!
しっかりしろ麗野!!
おい!!」
翻ってこちらは加害者らしい加害者だ。
天敵ロリコンハントを目の前にしながら、気を失った被害者に抱きつきレイプしようとしている!!
危ないっ!!
「オラァ!!」
「ぐはっ」
私の蹴りで窓際の壁まですっ飛んでいく加害者。
男を圧倒できるこの力…う〜ん爽快!!
しかしいくら機動制服で強化されているとはいえ中身はかよわい女の子。
さすがに一撃必殺とはいかず、加害者はまだ立ち上がる元気があった。
「ゴホッグハッ!
ハァー…なんなんだ…なぜ麗野を殴った!!
お前らは子供を助けるのが仕事だろうに!!」
「だから助けたんだが?
病気の進行を止めてやったんだ」
「病気…!?」
「蒙病とでも呼ぶべきかな。
破廉恥で邪悪で穢れたロリコンと接触した猿がしばしば発症する最悪の病気だ。
これに罹患した猿は自分を女性だと誤解してしまうようになる。
あたかも一人前であるかの如く振る舞い、雄を求め、子を生してしまう。
それは女性活躍社会において極めて危険な間違いなのだ…絶対に阻止せねばならん。
そこの猿もあと15年経てば今日殴られた事を感謝するだろうよ。
その頃には女性となっているのだからな」
「麗野を猿と呼ぶな…彼女は人間だ。
己の境遇に悩み、もがき、答えて…その全てを言葉で説明できる人間だ!!
大人の男をぞっこん惚れ込ませる立派な女だっ!!」
「違う猿だ。
猿の悩みだ。
猿のもがきだ。
猿の答え、猿の説明だ。
お前は猿に欲情しただけの変態だ。
法律でそう決まっている」
「法律は人が決めるものだ!!
悪人が決めれば悪法も作られる!!
女性器を備えた存在を女として扱わない法なんて、それこそ絶対に阻止しなきゃいけない危険極まる間違いじゃないか!!」
「ふうやれやれ…お前は女性の事を何もわかってないな。
いいか?
真の女性とは30歳から始まるのだ」
「何を根拠に!?」
「そんな事も知らんのか?
私に決まっている。
真の女性たる私だけが、真の女性の何たるかを決められる。
ジェンダーの常識だぞ?」
「真実がお前の気持ちひとつで決まると…!?
それじゃまるで…お前が神様みたいじゃないか…?
馬鹿げてる…デタラメにも程がある…」
「なんとでも言え。
歪んだ遠眼鏡では歪みしか見えんのだ。
お前のお気に入りの猿が変態を地球と見なしたようにな…。
ロリコンが居なければ生きていけぬなどとは歪曲にも程がある」
「だとしても、その想像が間違いか決めるのは今という時でも他人のお前でもない!!」
「いいや私だ。
猿の性欲は絶対確実に間違いだからだ。
なぜ絶対確実に間違いなのか?
私がそう感じているからだ。
なぜそう感じているのか?
猿の性欲は絶対確実に間違いだからだ。
故に、猿と反する私は絶対確実に正しい」
眩しい。
目が眩む。
先輩が放つ顕正の輝きは見慣れてきた私でも惚れ惚れする。
初対面の加害者はヘッドライトで灼かれた夜道の狸同然に固まり、やがて闇が影となって光から逃げるように顔を背けた。
「………ふふ、ふふふふ…教師生活の締めくくりには相応しいかもしれん…。
人に物を教える限界を見た。
そうとも…こんな不毛な音合戦をしてる場合じゃない。
お前達がそういう連中だと知った以上はもう任せるわけにいかなくなった。
麗野は俺が病院へ連れて行く…それが無理でも、他の先生に預けるま」
ズキュンズキュンズキュンズキュンズキュンズキューン!
銃声6つ。
私と先輩の手に少し軽くなった拳銃。
被害者を抱きかかえる寸前だった加害者は顔面と胸にそれぞれ3つずつ穴を開け、倒れて動かなくなった。
説明しよう!!
ロリコンハントは現場判断での射殺を認められているのだ!!
「危ない所でしたね、先輩」
「ああ。
恐ろしい奴だった…まさかこの期に及んで、しかも我々の目前でレイプを始めようとするとは…。
性欲でしか物事を見れぬ淫獣だ」
「さて、安全確保できましたけど…この子どうやって運びます?
オシッコまみれですよ」
「やむを得ん、全部脱がす。
全裸なら今のままよりこちらの被害は小さく済む。
脱がせた服は加害者に被せてやれ。
変態には本望だろう。
強敵へのせめてもの手向けだ」
「はい!!」
下半身に触れずに済むようスッポンポン被害者の両手を持って引きずっている私達は、部活帰りであろう学生達の注目を避けられなかった。
ちょっと恥ずかしかったけど、ロリコンを相手取るからには奇異の視線に耐える事も仕事のうち。
よく頑張った、私!!
翌日。
私は被害者の治療にあたる…はずだった。
しかしそこには誰にも、神にも予想し得ないまさかの悲劇が待っていた。
「先輩、昨日の被害者こっちに来てませんか?」
「来てないが。
どうした?」
「加害者はどうなったどうなったってあまりにしつこいから、安置所の死体を見せてやったんです。
そしたら急にいなくなっちゃって…」
「まったく…どうしてこうロリって連中は恩知らずばかりなんだ?
まあすぐ見つかるさ。
パトドローンのロリサーチからは誰も逃れられん。
…なんだか外が騒がしいな」
ドローンの通報より先に群衆の騒ぎが私達の足を動かした。
警察省ビルの外へ出、騒ぎの中心に駆けつけると、そこは血の海だった。
飛び降り自殺らしい。
「…先輩、これ昨日の…」
「まいったな…病原菌が拡散してなければいいが」
警察省高層からの位置エネルギーを受けた死体は陳腐に言えば潰れトマトだ。
見事に飛散しており、確かにロリコンに惚れるような異常な病気がパンデミックを起こさぬとも限らない。
私達は避難も兼ねて警察省屋上へ赴いた。
「靴が揃えてある…という事は」
「遺書…もありますね、やっぱり」
被害者の靴の中に収まっていた手紙を開けてみると、中にはただ一言。
真っ赤な血文字で『呪ってやる』とだけ書いてあった。
「なんてこった…加害者の死体を見るだけじゃ飽き足らず、地獄の底まで呪いに行ったのか…!!」
「そこまで思い詰めるほどロリコンから虐待されていたのね…。
先輩、私…許せません!!」
「ああ…こんな悲劇を生まないために、一刻も早くロリコンを根絶やしにしよう!!
とりあえず今日はもう移動で疲れたし、明日から頑張ろう!!」
「はい!!」
私達は直上で見守る真昼の太陽に誓ったのだった。
ケース3 嬢と客
「オッハヨーゴザイマース!」
「うわ、あんたらまた同伴〜?
もう付き合っちゃいなよ〜」
「エッへへ〜…ソレガ〜…。
ネ、悟サン」
「へへ、実はとっくにそういう関係で…。
三ヶ月後にはマリアの契約が切れるんで、そこから同棲しようかと…」
「っか〜ウザ!!
あっち行け幸せが伝染る!!」
「ハーイ♡」
「あ、オレはいつもので」
「うーろんはいネ」
「この調子で最後まで安酒になっちまうけど…1回くらいはドンペリ入れてやるから」
「ダーメ。
無理良クナイヨ。
ソンナオ金アッタラ、二人デ旅行デモ行ッタホウガイイ」
「ははっ!
しっかりしてるな!」
「ソリャソウヨ。
捨テラレタクナイモノ」
「ああ…大事にするさ。
してみせるさ。
じゃないとオレが捨てられちまう」
「フフ…呉越同舟ネ」
「それはなんか違うと思うんだが…」
「船カラ降リル許サナイヨ。
ダカラ、一緒ヨ」
「一生海の上ならひとつの国か。
小さい船だけど、よろしく頼む」
「ハイ♡
乾杯…アレ?」
「真っ暗だ…今日ってショーの日だっけ」
「予定ハ無イハズダケド…」
チャラララララーン!
「そこまでだ!!
我々はロリコンハント!!
ムカついたから死んでもらう!!」
私達が音楽とライトアップでキラキラ舞台へ躍り出た時、褐色の被害者が加害者から飲酒を強要されていた。
なるほど酔わせてレイプか許せん!!
「困りますねお客様、勝手に舞台を使うげぶげぼっ!!!」
咎めてきた店長らしきヒゲダンディを射殺。
ロリコンハントの妨害は即ちロリコンへの擁護であり死罪である。
「テッ、店長サーン!!」
「待てっ!
駄目だっ…近づくな!
やべーよあいつら!」
ヒゲダンディへ駆け寄ろうとする被害者と、それをレイプしようとする加害者。
危ないっ!!
「オラァ!!」
「ぐはっ」
私は反射的に踏み込んで加害者を蹴り飛ばした。
銃で仕留めてもよかったのだが、やはり一度は対話で正義を知らしめキラキラしたい。
先輩の鮮やかな論破を聴いていると、同じ真の女性である私も自己肯定感爆上がりなのだ。
「天堂悟。
お前を青少年健全育成法違反で逮捕する」
「ぐへっ、げへっ…お〜痛ってえ〜…。
あ…青少年…?
へへっ、なーんの事だあ?
マリアは30歳だぜ?」
「…………」
「マリア・グレース・グリード。
2038年生まれの16歳。
言っておくがこれは確認ではない結論だ。
猿自身の証言より警察省のデータの方が当然優先される」
「ゴメンナサイ悟サン!
ワタシ…嘘ツイテタ…!」
「知ってたよ」
「エッ…!?」
「店長には口止めされてたんだけど…こうなっちまったらもういいだろ。
オレとマリアが付き合いだした頃、店長から教えられたんだ。
それでもいいなら預けるってな」
「ド、ドウシテ…怒ラナカッタノ…?」
「どうしてってそりゃ…明らかに若いから何かしら訳ありって丸わかりだったし…。
そもそもオレを騙すためにつき始めた嘘じゃないんだし…。
もちろん社会的にいい事だとは言わないけど、そのぐらいの罪なら一緒にどうにかする。
一生同じ船に乗るんだからさ!
…ってカッコつけ過ぎだな。
簡単に言うよ。
お前の事が好きで、好きなお前が喜ぶから、黙って抱いたんだ」
「悟サン…!」
「ふ、自白とは潔い。
いや、単に邪悪な開き直りか。
いずれにせよ死刑だが」
「アノ…見逃シテハモラエマセンカ?
コレカラハソノ…せっくすシマセンカラ…。
彼ノタメニ家事ヲスルダケデモ満足デスカラ…」
「ひとつ教育してやろう。
そういうのを小人閑居して不善をなすと言うのだ。
家事などという奴隷労働はAIロボットの仕事。
人も猿も家事から解放されるべきだし、解放によって発生した余暇は全て女性活躍に費やされるべきなのだよ。
無論、セックスをやめた余暇もな。
時間は男に家事で奉仕するなんて歪んだ価値観を流布するためのものではない」
「人ノオ世話ガ不善ッテ…アナタハ好キナ人ノタメニ生キタ事ハ無イノデスカ…?
人ヲ愛シタ事ガ無イノデスカ…?」
「セクハラに答える必要は無い。
もういい保護しろ」
「はい!!」
「そうはいくか!!」
私が被害者保護のため突進すると、加害者が凄まじい加速で突っ込んできた!!
なにっ!?
やだっ!!
レイプされちゃうっ…!!
…と思ったら、加害者は被害者の体を抱えかっさらって行っただけだった。
「その動き!!
まさか…!!」
「へっ、こんな事もあろうかと準備しといた違法強化服さ。
マリア…逃げよう。
もうこの国はダメだ。
お前の故郷で魚釣りでもして暮らそう。
いいか?」
「ウンッ…ウン!
ドコデモツイテ行クヨ!」
うざったいカップルの盛り上がりに苛立ちつつも私は恐怖に震えていた。
そんな…違法強化服だなんて…。
そんなズルで条件を揃えられたらまた男尊女卑社会へ逆戻りではないか。
怖い…怖いよお…!!
こんなの絶対レイプされるじゃん…!!
「おい、ボーッとするな!!
追うぞ!!」
先輩に叱られ我に返った時、被害者をお姫様抱っこした加害者は店から出ていく所だった。
なんて無礼な奴だ!!
真の女性である私を放置して子供を選ぶとは…異常な変態め許せん!!
「うわっ!?」
追おうとした矢先、大量の酒瓶やグラスが床へ投げ出された。
たちまち混ざったカクテルの香りが広がり、無数の切っ先となった破片、割れなかった丸々の酒瓶がトラップとなり進路を妨げる。
足の踏み場は探せばあるものの、ほんの数秒とはいえ躊躇させられたのは確か。
追い打ちをかけるように、渋くも儚げな呟き声が聞こえてきた。
「………人の恋路を、邪魔する…奴には…暴れ馬が、似合い……だ…」
ヒゲダンディ!!
まだ生きていたか!!
どうやらこいつがブービートラップの犯人らしい。
息を吸って吐くだけでも地獄の苦しみだろうに、どうしてそこまでしてロリコンを庇う…!?
全く意味がわからない!!
「ええい、猿の恋路は人に管理されなければならないというのに!!
なぜそれを理解しようとせん!!」
「ほっときましょう!!
もう死にます!!」
「すまん、急ぐぞ!!」
「ちくしょう、さすがにしつこい!」
「悟サン…!」
「大丈夫、大丈夫だ…オレがなんとかする!
大丈夫だ…!」
追いつけない。
違法強化服の性能は大したものだった。
加害者らとの距離は店を出て1分ほどの追跡劇を経てもほとんど縮まっていない。
そして追いつけても相手はこちらと同等以上の能力持ちである。
今度こそレイプされちゃう怖い!!
だって女の子だもん!!
「…このまま逃がせばロリコンの拡散に繋がる。
アレをやるしかないみたいだな」
「アレですね!!」
先輩も同じ気持ちのようだ。
今ならやれる!!
「誂え向きだ、路地に入った!!
ここなら避けられまい!!
いくぞ!!」
「はい!!」
説明しよう!!
機動制服を着用したバディの気持ちが最高潮にシンクロした時、最大の必殺技が使用可能となるのだ!!
まずは儀式から!!
「太陽よ、内から湧き出る正義の炎よ!!」
「うまくあれ、綺麗であれ、心地良くあれ!!」
「全てのマイナスを押し潰すプラスの輝きよ!!」
「我らをいかなる傷からも守り給え!!」
「「プリティー・サン・シャアアアイン!!!!」」
キラキラの光が放たれた。
私と先輩で作ったフィンガーハートから。
路地の細道を埋め尽くして。
私達を傷つけ省みぬ物を焼き滅ぼすために飛んでいく!!
「……!?
伏せ……!!」
「キャアア…!!」
光と轟音の彼方から叫び声が聞こえたが、すぐ掻き消えた。
閃光が収まった。
バチバチ身悶えるプラズマの残滓以外何もかもが息を潜めている。
光でえぐり取られていった路地両端の建物さえも異論を発しない。
私達の正しさに恐れ慄いているみたいに。
その畏怖と羨望と…あらゆる称賛に彩られたキラキラロードを、一歩一歩ゆっくり歩いていく。
すると約20メートル先の路上に落ちている炭の塊に目を引かれた。
さらに歩む。
「………ア…ア、悟、サ…………ドコ……ド………コ………」
傍に立ってようやく聴き取れる声量で炭が喋っている。
めちゃくちゃに焼け爛れ硬直した両腕を中空にさまよわせながら。
もともと褐色だったのが今はまるっきり加減を間違えたトーストだ。
顔面上半分は黒焦げで纏まり他に区分は無い。
目も鼻も髪も無いただの炭塊。
口元だけが辛うじてそれらしく残っていた。
近くに加害者の左腕が落ちていたので拾い上げる私。
光に飲まれる瞬間までレイプを諦めず抱きかかえた結果、皮肉にも被害者の体が盾となってしまったのだろう。
しっかり原型を留めているその手先を炭塊の頬にあてがってやった。
するとどういうわけか、感覚なんか無いはずなのだが…被害者はその腕を抱き締めた。
満足に動かせぬ爛れで、触れる程度に。
大切な宝物みたいに。
「…ア…ヘヘ、悟……サ、ン……大好…………キ…………………」
最期の力を振り絞り好意を伝え終わると、被害者は本当にただの炭塊と化した。
馬鹿は死んでも治らない…その定説を補強する姿だった。
「愚かな猿だ」
やはり先輩も同じ気持ちのようだ。
「ロリコンなんか好きにならなければ…子供らしく健全に育っていれば、こんな事にはならなかったのに。
どうしてこの病気は発生するんでしょう?」
「猿だから。
人類の宿命と言ってもいい。
どれだけ強力に規制しても、ロリコンの異常を周知させても、蒙病の根絶は未だ叶っていない。
愚の泉は、人が存在する限り枯れないのかもしれん」
「本当に猿なんでしょうか?」
「なに?」
「だって今までのどの被害者も全員
『ウッキー!!』なんて言ってませんでしたよ?
バナナも食べてません。
お尻も赤くなかった。
この仕事…本当にキラキラなんでしょうか?
私はまだたった3件しか解決してない新米ですけど…でも今の所100%、全員猿って感じじゃなかったような…」
「いいや猿だ。
その証拠に、法律も奴らを人間と認めていない。
16歳以下の者はどんな意思があろうとどんな理由があろうと、セックスしたら全て不同意性交として扱われる。
奴らの意思には法的価値が無いんだよ。
奴らには自由意志で決断し行動する人間の権利が無いんだよ。
この国初の女性総理が誕生するより遥か昔からずっと。
国民も当然反対しなかった。
社会的合意が成立していた。
『人に成る』と書いて成人。
猿を人間扱いしたくない…これは今も昔も普遍の共通認識。
ロリは何も成せぬよう檻で飼い殺すべき獣だと、先人たちは気付いていたわけだ。
恐らくはそこの炭化した猿のような愚を何度も何度も繰り返し、無数に広域に、嫌というほど見せつけられてきた結果…な。
人類の歴史はロリとの戦いの歴史と言ってよかろう」
「ロリとの…って、私達の敵はロリコンのはずじゃ…」
「フフフ…フハハハハ!!
面白い冗談だ!!
お前は風邪の根絶を夢見て病院の客を皆殺しにするのか!?」
「いやいやしませんよそんな事!!
風邪ひいた人がその時いなくなってもまた後で…あ」
「そうだ。
我々は病原を絶たねばならんのだ。
猿の勇気や知恵は美談として惜しみなく語られる一方、性愛に関しては存在そのものを許されていない。
なぜだかわかるか?
自明の理さ…危険だからだ。
存在してほしくないからだよ。
『猿の性愛が』『猿にとって』危険なのではない。
その程度の問題なら周りの大人のサポートでいくらでも解決できる。
大人たちが性愛の問題に直面した時そうしているようにな。
解決可能な問題を解決しないのは解決したくないからなのだよ。
『猿の性愛の成就が』『真の女性にとって』危険だからなのだよ。
10代前半のうちから男とセックスして、結婚して子供を産んで、その病的な生き方を愛や幸福や適齢と呼ぶ歪んだ価値観の存在は、真の女性と絶対に相容れぬ。
それは真の女性の人生を破滅させてしまう暴力そのもの。
真の女性が猿へ先祖返りする事は不可能なのだから。
だからこそWHOも18歳未満の児童婚を根絶しようと動いている。
真の女性たちの尊厳を守るために。
結婚したい意思や理由を持つ18歳未満なぞ存在するわけがないしな…クッフフフフ…!!」
「…………えっと…なんだかそれって、子供に嫉妬してるみたいな…」
「我々はロリの魅力を認めていない。
故にこれは持たざる者の嫉妬ではない。
我々は男を求めていない。
故にこれは男を奪われる事への恨みではない。
これは正義だ。
正しき価値観で生きる正しき人間を侵略者から守るための防衛戦争なのだ。
真の女性の活躍を尊いものとする社会、そこで息づく真の女性たちに寄り添い傷つけぬための聖戦なのだ。
お前も自分にできない事をキラキラ扱いされたら困るだろう?
猿のほうが尊ばれる社会なんか嫌だろう?」
「キラキラしてたいです!!」
「なら…どうすればいいか、わかるね?」
「はい!!
ロリをぶっ殺すんですね!!」
「おいおい言葉に気をつけろ。
その言い方じゃ我々が殺戮者みたく聞こえるじゃないか。
浄化だ。
ロリを、浄化するんだ。
ほら…アニメでよくあるだろ?
なんかキラキラした粒子になって、フワ〜っといい感じに消えてくやつ。
アレだよ。
脳味噌ぶちまけた直後に消えないとしても火葬すればだいたい消えるんだし同じ事だ。
浄化は殺しじゃない。
だから、我々は殺戮者じゃない」
すごい。
言葉ひとつで変えられるなんて…これなら後出しでなんでもありだ。
私達こそ絶対無敵の最強ヒロインだ!!
あ〜なんか安心したらお腹すいちゃった!!
ここ妙に焦げ臭いし…そうだ!!
「先輩、ミスド行きませんか?」
「ミスドーナツ!!
いいねえ鬼ヤバであげぽよだねえ!!」
それからいくつもの事件を解決してきたが、新米に試練は尽きない。
いつか私が一人前に成長した後はルーティンと名を変えて押し寄せるだろう。
この世にロリとロリコン在る限り、ロリコンハントは戦い続けるのだ!!
「あ、あそこのロリショタカップル!!
手ぇ繋いでます!!
撃っていいですか!?」
「遅い!!
奴らは三擦り半あれば仮性包茎から子宮まで来るぞ!!
躊躇は歪みを助長する裏切りと知れ!!」
「はい!!」
こうして私達の活躍により、街は今日も明日もキラキラで溢れていくのでした!!
エンディングテーマ カムヒア!!輝ける明日!!
昨日は無い 昨日は無い
女性に微笑みあるだけ
ロリコンハント ロリコンハント
べらぼうな尊厳はあるか
でたらめなんて言わせるな
女性を救え 勇気と知恵で
自分を救え 女性の権利で
時を超えろ 空に架けろ
この星のため
熱く燃やせ 陽射し照らせ
愛という偽に
昨日は無い 昨日は無い
女性に微笑みあるだけ
明日に輝きあるだけ…




