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復讐  作者: 樋口 涼
宮木一華

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遊びと言う言葉に不穏さを感じながら、拒否という選択肢を持たない亜希は、一華の後ろを付いて二階に上がり、兄と姉の部屋へ入った。


「お兄ちゃんの所で面白い物を見つけたの」


にんまりと笑みを浮かべながら、兄側から亜希を見る。

ドアの前で立ったまま、微動だにしない妹に手招きをしてみる。


「ここに座って?」


兄のテレビがある前を指さす。

自分の時と同様に、テレビとビデオの電源を入れた。


「…怒られるよ?」

「バレなきゃ平気」


ビデオが始まると、一華は亜希の横に座った。

少し早送りして、男女の情事を年端もいかない妹に見せ、その反応を見る。


「女の人はここが膨らんで…」


亜希の胸に手をやり、耳元で囁く。

触られた瞬間の体の震えが、一華にも伝わった。


「男の人と女の人は…体のここが違うんだよ」


知ってた?と、服の中…下着の下にまで手を伸ばす。


「知っ…て…る。だから…止めて…」

「お風呂屋さんで見てるか、男の子も入って来るもんね。でも…」


亜希の体から離れると、今度は自分のスカートを捲った。

そして、下着を脱ぐ。


「大人に成ったら毛が生えるんだけど、私もあんたもまだ生えてないよね」


そう言いながら、亜希に近付いた。

画面の中で絡み合う男女が、亜希の背中越しに見えた。


「こっち向いて」


伏し目がちの亜希が一華に向き直る。


「触って。痛くしないで」


亜希の手が一華の下半身に触れる。

ゆっくりと恐る恐る動いているのが分かる。

少しでも痛かったら殴ろう。と言う、一華の考えを呼んでいるかの様な動きだった。


くすぐったい。


さわさわとする感触に、一華はドキドキした。

ゆっくりと自分から足を開き、亜希の指を誘導していくとグッと押し付けられる感触と共に痛みが走った。


「痛いっ!!!」


身体を支えていた右手を、亜希の頭に向けて振った。

手が髪に当たり、音が部屋に響いた。


「痛くすんなって言ったやろ!」


自分の言葉遣いが、かつての母親と被る。


「怒らさんといて?」


自分が理不尽な事をしていると思っても居ない。


「ちゃんとして」


もう一度触る様に言おうとしたが、一華はやめた。

代わりに足をさらに開き、亜希に近付く様に指示する。

そして…。


「舐めて」

「へ?」

「あの人みたいに」


画面を指さす。

テレビには女の股間に顔を埋める男が映っている。

それを見て、首を横に振る亜希の頭を引き寄せた。


「舐めて」

「いや…」

「良いから舐めろ」


髪の毛を鷲掴みにし、自分の下半身に押し当てた。

亜希は這いつくばる様に、兄の布団に両手を着いた。


その抵抗で布団の下から何冊かの本がなだれ落ち、床に滑り開いた本からは、裸の女性や女の子の写真が見えた。

中には漫画の様な絵もあった。


「ほら、どうってこと無いから」


本を一冊掴み、亜希に広げて見せた。


「ほら!皆やってるし、気持ち良いんだって!」


その言葉こそが…本当は自分に向けて言いたい言葉だった。

一人で見て、一人で興奮して、スッキリとしないまま悶々とした時間を経た。

その経験をして上書きした今でも、父親と兄がした事を…知らない大人の男に向けられた欲望の嫌悪や恐怖が、一華の無意識の奥底にある。


された事を正当化し、普通の事だと錯覚を起こさせ、自分を納得させたかったのだった。

妹である亜希に同じ事を…それ以上の事をして。


「ほら!」


一華の目じりに涙が溜まっていた。

亜希は少しの間、目を合わせたまま動かなかったが、ゆっくりと一華の足の間に顔を埋めた。


ヌトッとした感触が、股を這う。


にゅちゃっちゅっく…


水気を含んだ音が、亜希の口の動きに合わせて漏れ出てくる。

時折熱い息が当たり、首や背筋がぞわっとしたが、嫌な感じではなく…逆に気持ち良さを感じた。


胸の鼓動と体の火照りとを感じながら、横に散らかる本の中の、気持ちよさそうな女の子の台詞を心の中で読む。


気持ち良い…もっと…あぁ…

激しくして…


ゆっくりとした亜希の舌の動きに慣れ始めた頃、一華は呼んだ台詞を声に出して言った。


「吸って」


言葉の通りに亜希は吸う。


「擦って」


言葉の通りに亜希は手を使い擦る。


「軽く…押して」


一華の言葉の通りに亜希は動いた。

息が荒く速くなるにつれて、気持ち良いと一華の声が漏れる。

フニフニとした柔らかな愛撫と摩擦は、一華を初めての快感に導いた。


心地の良い疲れの様なだるさを抱え、一華はベッドに戻った。

母親にバレたら怒られるだろうが、お風呂もパジャマに着替えるのさえも邪魔くさく思う。


「ちょっと…寝るから、亜希は部屋に帰って」


布団を被り亜希に告げると、一華はウトウトとし始め、亜希が出て行くのを見る前に寝息を立て始めた。

子供の…大人のそれとは違った「お遊び」が始まった日だった。

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