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新たなる技

次の日、俺がいつもの場所に行くと大きめの旅行バックを持ったルミナが待っていた。

家族旅行用の旅行バックは家の倉庫にあるが、それよりも一回り大きかった。


「また、随分と大荷物だな。今日は。」


俺は、カバンを見ながらルミナに言う。

ルミナは地面にバックを置いた。重量もあるのか、ドサッと言う音が鳴る。


「一応、手持ちで持っている魔道具や武具は全て持ってきましたからね。割と大変でした。」


「だろうね…。」


俺は呆れながら言う。

ルミナは、バックのチャックを開けた。中を覗くと見たこともないような道具が色々入っている。


「サタンやルルちゃんはこんな大荷物持ってこなかったけど、これ全部使うの?」


そう言うと、片膝をついて道具を漁っているルミナが俺の方を見上げてきた。


「そうですね、基本的によく使うモノは携帯してって感じですけど。そもそも、魔道具然り武具然りどうして作られたと思いますか?」


ルミナはそう言うと、バックの中から適当に1つ取り出した。

赤い細い糸、なのだろうか?随分と細いなと思った。

そして、この糸で手とか切ったら痛そうだなとも。


「これは、木や柱に括りつけることで相手の周りに見えない無数の蜘蛛の巣のように張り巡らせることが出来る糸です。よほど、勘が良かったり視力が高い人なら別ですが大抵の人間は張り巡らされていることに気づかずに近寄るって手足に触れたりしたらスパッと斬れる代物ですね。」


「何か、随分とおっかないモノ持ってるんだな…。」


俺は、少しだけ恐怖しながらルミナの説明を聞く。

ルミナは他には、と言いながらバックの中を漁る。


「このナイフなんかは、割とオーソドックスな武具ですね。武器自体に魔術を刻んであります。私のこの刀なんかもそう言う部類に入りますが。基本的に魔術が刻まれている武器は、魔術師が用いる防御魔術を突破する際に使われますね。」


そう言うと、ナイフを仕舞う。


「で、結局どうして作られたかの説明がないんだけど。」


俺は、一番聞きたい部分を話していないルミナに言う。


「急かさないでくださいよ。軽い例を出してから説明しようと思っただけです。別に、武具の説明で忘れかけたとかではないです。」


忘れかけてたのだろうな、と俺は分かった。

何と言うか、ちょくちょく天然っぽい所があるなとこの数日話すようになってから気づいた。

俺の目線に気づいたのか、ルミナは軽くわざとらしい咳をした。


「それで、どうして作られたかですね。魔術師同士での戦いにおいて使われるのは魔術です。では、私のようにそもそも魔力が無い者。魔力の量が少なかったり、魔術が刻み込まれていないような者。そう言った人間でも戦えるように作られたのです。」


「でも、その割には魔術師ってこうしてサタン達と出会うまで存在すら知らなかったけど。俺は。」


「それはそうでしょうね。そもそも、どうして魔術と科学において科学が発展したと思いますか?」


「そりゃあ、便利だからだろ。科学の方が。」


「どうしてそう思いますか?魔術でも、科学並みに出来ることは色々あります。純粋に自然を使って何かをする上なら魔術の方が上までありますよ。」


ルミナが逆に聞き返す。

俺は、そこで回答に詰まった。

そんな俺の表情を見ると、ルミナが話を続ける。


「簡単ですよ。魔術は誰もが使えるモノじゃないからです。おとぎ話の世界のように魔法の世界があってみんなが魔術を使えるとかなら別ですが、現実はそうじゃない。そうだとしたら、誰が一番困ると思いますか?」


「使えない人、になるのかな?」


「正確に言えば、為政者です。魔術を使えないと生きていけない世界となれば、魔術師のみで世界を動かすことになる。そうなれば、すでにいる魔術を使えない、もしくは魔力すらない為政者からしたら厄介なことこの上ないんですよ。」


だから、とルミナはさらに説明を続ける。


「為政者は魔術師を迫害し、同時期に発展を始めた科学に力を入れ始めたのです。魔女裁判なんてその最たる例ですね。魔術を悪魔が使う術として魔術をあまり知らない一般の人に刷り込ませたのです。」


なるほどな、と俺は思った。

だが、そこで俺は1つの疑問を抱いた。


「でも、錬金術とかも魔術じゃないの?そう言うのは後の科学の発展に繋がったとか学校の授業で習った気がするけど。」


「まあ、そう言う面もあります。当時の為政者にとって重要なのは、魔術を使える人間が自分達の地位を脅かさないようにしたかっただけですから。だから、その中で当時の為政者に近づいてある一定の地位を貰うことで魔術師を公にせずに生きていくことを考えた人達もいたのです。」


なるほど、恐らくそれがサタン達の家の始まりとかに繋がるのだろうなと思った。

サタン達の家も世間では公務員の警察機構の一家みたいな立ち位置のようだし。


「まあ、結論を言えば迫害を行い弾圧することで魔術師に恐怖を抱かせ、自分達の権力下に取り込むことに成功しましたからね。同時に、魔術は空想のモノで科学が現代の発展に繋がったと言う歴史を作ることに成功もしましたから。計画通りだったんじゃないんですかね。私としては、当時の人間じゃないので実際のことは分からないですけど。」


ルミナは一通り、説明を終えたのか立ち上がった。


「で、とりあえずこの武具やら魔道具類をどのくらいまで剣殿の作れる空間の中に預けれるのか試したいのですが。」


今日の本題だ、と言わんばかりにルミナが俺に言う。

俺もそう言えば、そうだったなと思い出して昨日同様に黒い空間をルミナの前に出す。


「何か、ブラックホールみたいだな。この見た目。」


俺は、その黒い空間を見ながら言う。


「ブラックホールでしたら、吸い込まれそうな気もしますけどね。そう言う感じではなさそうですし。」


ルミナも見たことがないと言うだけあって、興味深そうに見る。

大きさ的には俺の手のひらより少しばかり大きいくらいだろうか。


「とりあえず、よく使うのから入れてみますか。」


ルミナはそう言うと、すでに用意していたのか5個ほどの魔道具や武具を入れる。

うん、溢れ出す気配はないようだ。


「もう少し入れれるんじゃないかな?」


俺はルミナに言う。

出来そうですね、とルミナも小声で言うと次々とバックの中のモノを入れていく。

気づいたら、バックの中は空になった。


「…全部入りましたね。」


ルミナは少しばかり引き気味に言う。

俺の方もまさか、全部入ると思わなかったので割とビックリしている。

最後にとルミナが自身の愛用している日本刀を入れる。

俺は、全て入れたことを確認して黒い空間を閉じる。


「で、問題はここからだな。」


俺は、そう言うと再び黒い空間を出す。

物を入れることは昨日の段階で分かっていた。問題は、それを瞬時に欲しい道具を出せるかと言う話だ。


「じゃあ、とりあえず私の刀を出しますか。」


ルミナはそう言うと空間の中に手を入れる。

そして、手を空間から出すと最後に入れた刀が出てくる。

ルミナは何も傷とかが付いていないかを確認すると、鞘から刀を抜き軽く振り回す。


「大丈夫みたいですね。別のモノにすり替わっているわけでもなさそうですし。」


ルミナが満足そうに言うと、刀を鞘に納める。

遠隔操作とか出来たら楽なんだろうが、流石にそんな技術はない。


「何と言うか、不思議ですね。まあ、古の魔術書にもほとんど記述がない魔術ですから使い方も手探りと言えばそうですけど。」


ルミナが頬に手を置き、不思議そうに言う。


「逆に、サタンやルルちゃんやリヤドってその魔術書が説明書代わりになっているって言ってたけどそれだと相手にも使い方とかバレバレじゃないの?」


俺はふと思った疑問をルミナに言う。


「まあ、それはそうですけどね。ただ、正直言ってサタン様の攻撃とかは分かっているから防げるかって言う代物ではないですしね。後は、使い方は分かっていたとしてもそれを扱うだけの魔力量でしたり本人の資質もあるので。」


ルミナの説明に俺は分かったようで分からないような返事をする。

正直、カウンター攻撃と無効化出来る攻撃の入れ替えがいまだに上手く行かない時があるのでもっと単純に使えるような技はないものかと思う。

俺はそんなことを思いながら、お馴染みの大剣を出す。


「だいぶ、大剣の扱いは慣れましたか?」


ルミナが大剣を見ながら俺に聞く。

俺は軽く振ると、答える。


「そうだね、ルミナちゃんと練習し始めた時よりかはだいぶ慣れては来たかな。それよりかは、最近はもう大剣の方に相手の魔術を無効化出来る魔力を一定量注ぎ込んで戦う方が楽な気がしてるんだよね。」


俺はそう言うと、大剣に魔力を流し込み薄っすらと黒色を帯びた大剣をルミナに見せる。


「と言うよりかは、大剣の方が魔力の形に変わりつつあるみたいな感じに見えてきますけどね。不思議な魔術ですね、何度見ても。」


「そうなんだよな。何かいっそのことだからビックリ芸みたいな技とか出来たりしないのかなって思い始めてる。」


大剣をまじまじと見つめるルミナに言う。

ルミナはそれを聞くと、またそんないい加減なと小声で呟いた。


「それならそれで剣殿的にはどんなことをしたいんですか?」


ルミナが尋ねると、俺は少し考えた。

そして、ふと思いつくとルミナに言う。


「気配消したりとか出来たら面白くない?ほら、不意打ちみたいなこと出来そうだし。」


「考え方が姑息なんですよ。まあ、でも確かに面白そうではありますが。」


呆れたようにルミナが言う。

姑息とは失礼だな、と俺は言いたかった。


「私は、魔力がそもそもないですからね。魔力探知に引っかからないようなことは出来たりするんですよね。」


こんな風に、とルミナは言うとルミナの気配がスゥと消えた。

そして、気づくとルミナが後ろに立っていた俺の肩をポンポンと叩いた。


「今のはランスフォード家の独自の高速での移動に私自身の魔力のない特性を組み合わせた感じですかね。」


ルミナが説明する。

でも、それってルミナの特殊な体質だから出来ることで俺には無理なんじゃと思った。

ルミナが俺のそんな考えを察したのか苦笑いをする。


「まあ、今のは私の場合と言う話です。剣殿でしたら闇属性って所でイメージしてみてはどうですか?魔術ってイメージすることが大事とはよく聞きますし。」


それはルルにも言われたことだ。

自身の魔力でイメージを行うことで、スムーズに実際の動きに移行しやすいらしい。ただ、そもそも自分自身の実力の範囲外のイメージをしても意味はないらしいが。


「闇か。闇夜に紛れる的な?」


俺はそう言うと、なるべく存在を気薄にするような意識を持って魔力を操作した。

その瞬間、自身の存在が消えたような感覚を覚えた。

ルミナも俺の姿を視認出来ていないのかキョロキョロしていた。


「意外とすんなりと出来るもんだな。」


俺が魔力を解くと、ルミナも視認出来たのかキョロキョロすることをやめた。


「誰かがいるのは感じてはいたのですが、どこにいるかってのまでは感じれませんでしたね。私のとはまた違う感じなんですかね。」


「かもね。でも、これは使えそう。不意打ちとかに。」


「何か、泥棒とか出来そうで嫌ですね。それ使って女性の部屋とか入ったら警察に言いますからね。」


ルミナが少しばかり警戒して言う。


「そんなことしません。するとしても、バレずにやります。」


俺はルミナにヤレヤレと言った感じで言う。

ルミナは少しばかり冷めた目を向けてきた。


「サタン様達にしたら承知しませんよ。まあ、でも今日はここまでですかね。これで私の武具をしまう場所も出来ましたしそこは感謝しないとですね。ただ、これだと基本的には剣殿と一緒に戦うことが増えるのですかね?」


「さあ、そこは要相談なんじゃない?別に俺は構わないけど。」


俺はそう言うと、ルミナと共に家に帰るために歩き出した。

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