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魔術のお勉強

1日1話更新で、序盤は設定の説明みたいな所もあって話の進み遅い感じですみません。。。

俺とルルは家の庭に出た。

例の魔道具に自身の魔力を注ぎ込んだら、本当に俺の分身が現れてびっくりした。

正直、あんな小さな物で分身が作れるのかと昨日聞いた時は半信半疑だったからだ。


「よいしょっ、と。」


俺は地面に座ると、軽く柔軟体操をし始めた。

そして、遅れて俺の後ろに立っていたルルに尋ねた。


「急に何でこんなことしようと思ったんだよ。と言うか、ここ庭だけど人に見られる可能性あるんじゃない?」


「大丈夫ですよ、結界を張るので人目からは庭には誰もいないように見えてますから。それとただの気まぐれですよ。好きでしょ?そういうの。」


「自分でする気まぐれは大好きだけど、他人からされる気まぐれほど厄介なモノはないでしょ。」


「わがままな人ですね。」


ルルは呆れながら答えると、自身の足元から小さな光を出した。光は徐々に広がると俺達の周りをドーム状に囲んだ。


「さて、これで私の方は準備は終わりました。剣さんは終わりましたか?」


一通り、柔軟体操をして立ち上がって軽く腰を叩いていた俺に聞いてきた。


「とりあえずはいいよ。で、何するのさ。」


「そりゃあもちろん、魔術について何も知らない剣さんに多少は知識を付けてもらう予定ですよ。常に私やお姉さまが近くにいて戦ってくれるとは限りませんし。」


「出来れば痛い思いとかしたくないから、ボディーガードのように俺を守ってくれると助かるんだけど。」


「私は別にそれでも構いませんけど、お姉さまは拒否すると思いますよ。あの人、基本的に弱い相手と戦うの嫌う人ですし。」


「もうあいつ、バーサーカーか何かに転職した方がいいんじゃないか?」


俺が呆れながら言うと、ルルはクスクスと笑った。


「ぜひ、その言葉をお姉さまに提案してあげてください。」


「俺がボコボコにされる未来が見えるから遠慮するよ。」


俺はルルの提案を丁重にお断りした。

そして、何をされるか分からないので警戒するように少しだけ距離を取った。


「別に手荒なことはしませんよ。」


そう言うと、ルルは俺の前に右手を広げて出してきた。

すると、右手には一本の杖のようなモノが現れた。創作物でよく目にするような先端部分が半円気味に曲がっていて、半円の中には丸い球体が紫色の光を放っていた。


「ザ、魔法使いって感じの杖なんだね。」


俺は杖を持ったルルに素直な感想を言った。

ルルは、手慣れたように杖をクルクルと数回回すと俺に向けて杖を構えた。


「一応、魔術師をさせて頂いてますので。」


ルルは俺に杖を構えたままニッコリと笑う。


「とりあえず、魔力を体に纏ってもらってもいいですか?」


「纏う、って言うけどどんな感覚ですればいいのか分からないんだよね。」


俺はルルにやり方を尋ねた。

天馬との戦いの後、どうやって戦っていたかをサタンに聞いたが基本的に感覚でしかやったことないんだから他の人間がどうやってやっているのか分かるわけがないだろと一蹴された。

絶対に人に教えるのは向かないタイプだ、と改めて確信した。

あいつに何かを教えてもらうのはやめておこう。


「うーん、どんな感じで教えればいいですかね。そうですね、まずは体を廻っている魔力の感覚を掴む感じを覚えてくれるのが手っ取り早いんですけどね。」


そう言うと、ルルは体の周りにオーラのように魔力を纏った。

天馬との戦いでサタンが当然のようにやっていた動作である。

正直、あの時は無我夢中すぎてどうやったのかを覚えていない。

俺は何となく手を握りしめたり体を硬直させたりした。すると、フワフワとしたようなモヤみたいなモノが体を覆った。

ルルはそれを見ると満足げに頷いた。


「とりあえず、魔力を放出すると言う部分は何とかなりましたね。後は、それを無意識にかつ全身に均等に放出出来るようになるまで暇な時とかに自主練習してください。」


そう言うと、杖を構えたままでいたルルは握りしめていた力を少しだけ強くすると小さな弾丸のようなモノを俺の顔に向けてぶつけてきた。


「うわっ!?」


俺はいきなりの攻撃に目を瞑って両手で顔の周りを覆った。すると、当たったかのように感じた弾丸は跳ね返りルルの方に向けて飛んだ。

ルルは弾丸が跳ね返ってくることが予想出来ていたのだろうか。

予め、準備されていた防御魔術で自分の方に向かってきた弾丸を防ぐと、構えていた杖を地面に立てた。


「何するんだよ、危ないな!」


俺は若干、キレ気味に強い口調でルルに怒った。

なぜか反射出来たからよかったものの、当たったら怪我をするところだ。


「ごめんなさい。でも、お姉さまからガブリエルでしたっけ?あの大天使の名前は。それと戦ってた時の情報を貰ってたので試しにしてみたんです。」


「いくら、ルルちゃんだからって急に攻撃したらびっくりするだろ。」


俺は多少怒りが収まり、冷静になるとムッとしながらルルに言い返した。


「変に言葉で説明するよりも実際に体験してもらう方が人間ってのは感覚を掴みやすいものなんですよ。それに今、顔に当たると思った瞬間に無意識で魔力を底に集中させていましたよね。その感覚を覚えてもらえればいいんですよ。」


ルルは手持無沙汰な杖をクルクルと回しながら説明を続けた。


「恐らく、闇属性の魔力は相手の攻撃を無効化させるのが主な能力だと個人的には思っています。その一つが相手からの物理的な攻撃に対してのカウンターってところなんですかね。」


「何で最後若干、疑問形なんだよ。」


「私も正確には分かってないですからね。何度も言いますが、文献にほとんど残っていない能力なので。お姉さまの光属性の能力は発動する人間はほとんどいないですが、しっかりと文献に残されている分使い方的なところも周知されていますから。」


「じゃあもう一つ質問するけど、あいつが前していたようなずっと魔力を体の周りに覆っていたら基本的に相手の攻撃は全部跳ね返せるってことになるの?」


サタンは魔力を体に覆うことで相手の攻撃を全て貫通させて、ダメージを全く受けずにいた。

同じことが俺に出来れば、ほぼ無敵状態じゃないかと心の中で考えた。


「まあ、理論上は可能でしょうね。ただ、お姉さまの場合はそもそも保有している魔力の量が莫大な量に加えて、特殊なことをしていますからね。」


そう言うと、ルルは俺にポイっと丸い球体を投げてきた。


「それに魔力を注ぎ込んでみてください。」


俺は言われるがままに球体に魔力を注いだ。

すると、球体が電球のように明るく輝いた。


「魔力量自体はかなりありますね。ただ、先程も言いましたけどずっと体に魔力を覆い続けるのはほぼ不可能なんですよ。魔力の消費も激しいのですぐにガス欠を起こしてしまいますし、そもそも。」


そう言うと、ルルは自分の脳を軽く指で叩いた。


「脳へ尋常ではない負担をかけることになるのです。正直、今みたいな弱い攻撃やどこに攻撃しますよ、と宣言してから攻撃をするみたいな場合ならまだしも本番の戦闘であれば攻撃が飛んできた直前で防ぐか、相手が連続で攻撃を仕掛けた時だけ集中して先程の魔力を体に覆うのがまあ無難でしょうね。」


残念そうな顔を浮かべてルルが一気に説明をしてくれた。

何だ、ぬか喜びして損した。まあ、そんな美味しい話が簡単にあるわけないか。

それに最悪、ピンチになったら2人に助けてもらえばいいかとも考えた。


「じゃあ、ルルちゃんも普段はサタンみたいに魔力を体に常に纏わせたりはしてないわけ?」


俺が質問をすると、ルルは自身の体の周りに無数の防御魔術を出してきた。


「そもそも、現代の魔術戦でお姉さまみたいな戦い方なんてしないんですよ。先程も言った通り、魔力の消費が激しすぎて長期戦になった時に先にへばるのがオチですからね。」


そして、自身の顔の前に防御魔術とはまた違う模様をした魔法陣を出した。


「現代の魔術戦は防御魔術で攻撃を防ぎつつ、攻撃を隙を見て叩き込むと言うのが基本です。そうじゃないと、近接戦をメインウエポンとするタイプには私みたいなタイプは敵いませんから。フィジカルで押し切られて負けです。」


ルルはそう言うと、目の前に出した魔法陣を上に傾けると先程俺に放ってきた弾丸を打ち上げた。


「私の場合は精霊魔法の御陰で5つの属性を全て万遍なく魔弾として放つことが出来ますが、一般の魔術師は各々に得意の属性があるのでそれを極めて魔弾を放つ、と行ったことが一般的ですね。」


そう言うと、ルルは攻撃を放つ魔法陣を消して、杖を仕舞った。


「だから、現代では私のような純粋な魔術を使うタイプはほぼほぼ絶滅したと言っても過言ではないでしょうね。基本的に5属性の内のいずれかの魔力を持って生まれればそれを肉体の強化に使い近接戦を行うか。もしくは、特殊な能力を持ったパターンもありますね。5属性とお姉さまと剣さんの持っているような光と闇属性以外の例えば精神系の魔術を使う者みたいな。だから、私は基本的に前でガンガン戦うと言うよりは後ろに下がって中距離か遠距離で戦う方が得意なんですよね。」


そう言うと、少しだけルルは顔を曇らせた。


「だから、お姉さまと同列みたいな扱いされてますけど戦闘面では圧倒的にお姉さまの方が上なんですよね。」


「でも、その代わりにサタンにはない知識量とか頭の良さとかあるんじゃないの?」


俺が何にそんな劣等感を感じているか疑問に思いながら、ルルに言った。

ルルは顔を曇らせたままで言葉を続けた。


「実力以上の評価を勝手に付けられて、その評価の通りに振る舞わないといけないのってそれはそれでストレスなんですよね。そこまで大勢の人と関わるのが得意なタイプじゃないですし。でも…。」


そう言うと、曇らせた顔から少しだけ笑みをこぼした。


「私はお姉さまのことが大好きですから。少なくとも、お姉さまの隣にい続けることが出来るからそれはそれで良かったんですけどね。」

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