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婚約破棄するのがあなただけとお思いで?

作者: 竹内優斗
掲載日:2023/03/07

「メアリー! 君との婚約を破棄する!」


 パーティ会場にて、婚約者である王太子のハルトが宣言する。


「あら? 何故そのようなことを仰るの?」


「なぜだと?」


 メアリーの言葉にハルトが憤慨する。


「君は彼女を学園で虐めていたそうじゃないか!」


 そう言って指し示す先は、気弱そうな少女ユリア。


「君はそんなことをして、人として恥ずかしくないのか!」


「そんなことを仰られましても……。わたくしには身に覚えがありませんもの……」


「自分はやってないというのか!」


「えぇ、その通りですから」


 ギリと歯を噛む。


「よくもまぁ、平然と嘘を言えたもんだ。親が決めたとはいえ、婚約者としての立場があるというのに!」


「わたくしは婚約者として一生懸命頑張ってきたつもりですわよ?」


「その結果が彼女を虐めるということか?」


「そもそも、わたくしの婚約者であるあなたが、何故そのような小娘の言うことを信じるのでしょうか?」


「それは彼女が誠実で、心優しい少女だからだ。君とは違って人を傷つけることに臆病な人間だからな」


「だから、わたくしよりも彼女を信じると?」


「そうだ!」


 メアリーはわかりやすく「はぁ」とため息をつく。


「あなたこそ理解していますか? あなたの立場上、そんな小娘よりもわたくしの方を優先するのが当然だと」


「それは婚約者として相応しい者だけだ! 君は僕の婚約者には相応しくない! 君との婚約は破棄だ!」


「それでよろしいのですか?」


「当然だ!」


 メアリーはやれやれといった感じで首を振る。


「どうやら考えは変わらないようですね」


「君が認めないならな!」


「わかりました……」


 ハルトはようやく罪を認めたのかと思ったことだろう。だが、次の言葉で考えを一変させる。


「王太子ハルト! わたくしはあなたとの婚約を破棄します!」


「なっ!」


 ハルトの表情は驚愕に満ちていた。それもそのはず、王太子の一婚約者が婚約の破棄を告げたのだから。


「あなたは証拠がないにも関わらず、わたくしの発言を嘘と断定して一方的に婚約破棄を告げた。そのような人物が次代の王としては相応しくありません」


 彼はまだ理解できていないようだ。


「あなたは普段から、彼女だけではなく他の女性ともよく一緒にいたそうですね? このことは周りの証言からすでにわかっています。あなたは自分に婚約者がいるにも関わらず、他の女性との付き合いを持つなんて、恥ずかしいと思わないのですか?」


「ち、違う!」


「違わないでしょう。あなたは王太子としての立場を理解してなかったようですね。あなたには、立場上それらしい振る舞いをすることを求められていましたのに」


 ハルトは動揺していた。


「なので、あなたはわたくしに相応しくないので、婚約の破棄をさせてもらいます。当然、わたくしの王太子の婚約者としての立場は崩れないため、自然とあなたは王太子の立場から外れることになりますが……」


「なっ! 何を言っている! そんなこと周りが認めるわけがない!」


「それは問題ないでしょう。あなたの女性関係は皆さま周知の事実ですから。わたくしの言うことが事実だとすぐわかることでしょう」


「だ、だとしても、僕が王太子というのは変わらない。君は勝手にそんなことを言ってるが、そんな権限が君にあると思ってるのか?」


 ハルトは自身のことを棚に上げて、苦し紛れに反論するが、


「えぇ、そちらはご心配なく。すでに国王陛下に話は通しておりますので」


 ハルトは狼狽えた。


「陛下が仰るには、王太子としての自覚がない者には国を任せられないとのことで、快く承諾してくださいました」


「そ、そうだ。僕が王太子じゃなくなると、君も婚約者としての立場がなくなるだろう? だから、ここは父上に言って――」


「そちらも問題ありません。陛下からはあなたではなく、新たに第二王子を王太子にする話をいただいておりますので」


「そ、そんな……」


「ですので、もう王太子ではないあなたは、これからご自由に恋愛でもなさるといいでしょう。そこにいる小娘でも誰とでも」


 視線の先には、絶望した表情をしているユリアの姿が見えた。恐らく自身が王妃となるためにハルトに近づいたようだが、その道が閉ざされたことでそんな顔をしているに違いない。


「本来なら自分の欲望のために人を陥れようとした彼女には厳罰を与えるのが妥当ですが、彼が王太子でなくなった今は見逃してあげましょう。これで、自由にハルトと恋愛をするといいでしょう」


 それを聞き、ユリアは「違う」とか「なんで」とか、自分の思い通りにいかなかったことに言葉を漏らしていた。


「そういうわけですので、お引き取りくださいませ。婚約者を嘘と断定する元王太子、婚約者の座を奪おうとする女狐。共にこの場には相応しくありませんので」


 呆然とする二人はその場を動こうとしない。仕方なく、周りの兵がホールから外へと連れだしていく。


「さて、パーティを続けましょうか」

こんな話も書いてます。よければ見てください。


「婚約破棄代行者 ~学園に通う陽気な少女、裏で日々依頼に奔走す~」

https://ncode.syosetu.com/n5103ic/

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― 新着の感想 ―
[一言] そりゃそうなるわな。 王子の主張が認められるのなら爵位制度がある以上は身分の高い令嬢を一方的に断罪し破棄し身分の低い者と婚約したら下手をしたら内乱すらなりかねません。 ヒロインが平民なら…
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