どちらの僕も
幸せそうな人の話
その本人から直接聞くと
なんだかこちらまで
嬉しくなって
頬が緩んでしまうのがわかる
なのにその夜に
部屋の一人でいると
無性に虚しくて寂しくて
対岸の
とてもきれいな明かりを
見ることしかできないような
気分になって
妬ましささえ
湧いてきてしまう
どっちが
僕の本性で
本音なんだろう
人の幸せ
喜べる人になりたい
誰かの笑顔を見て
安心できる人になりたい
きっと
どちらも
本当の僕なんだろう
暗い道を歩いてきた
望んだ道ではなかった
それでも完全に道を踏み外しては
来ないでいられた
でもそういられたのは
僕の力なんかではなくて
一歩でも
踏み出した方向が違っていたら
ここに要られたかどうかなんて
わからない
隣人の
幸せそうな話を聞いて
顔をほころばせてしまうのも
家に帰ってきて
なんだか
妬ましさを覚えて
虚しくなってしまうのも
どちらも僕
幸せの定義なんて
未だに分からない
どうすれば届くのかも
幸せになりたいと
漠然と願う
きっと
その漠然が
悪いんだろうな
何も現実味を持って
考えないから
きっと