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NJruler  作者: 花浅葱
3章 己の話、汝の話
77/173

第74話 西森純介

 

 ***


 俺にとって、友情や友達なんてものはくだらないものだと思っていた。

 俺は容姿端麗で、作曲の才能もある。運動神経も悪くないし成績だって悪いわけじゃない。

 基本的に、誰かに手を借りなくても何かを行うことはできた。自分の欠点としては、おでこにある痣くらいだった。俺にとってはそれだけが唯一のコンプレックスだった。


 俺はこの痣が嫌いだ。この痣さえ無ければもっと綺麗だったのに。痣さえ無ければ───


 信用できるのは、父さんの圭佑と妹の彰だけだった。母親は俺が3歳の頃に死んでしまったらしい。その時のことは、俺には記憶にない。覚えていないのだ。母は国民的女優だった。


 それに、父親も俳優兼作曲家という優れた血筋だ。俺はそれが当たり前だと思っていた。

 母親が死んでから、ここまで父さんが一人で育ててくれた。その事には感謝している。

 父さんは今は芸能界を引退している。俺の存在、そう「西森純介」という名は知られているが、西森純介


 ───俺が、「N.J」であることは知られていない。それは父さんの俺に対する気遣いだった。


 ***


 俺は小学校・中学校と友達が多い訳ではなかった。教室では一人で本を読んでいることが多かったし、自ら誰かに話しかけるなんてことはしなかった。


 そして、音楽に興味を持ち始めた中学3年生の時に、作曲家を目指し始め、父さんの作曲道具を借りて曲作りを始めるようになった。高校は通信制のものにして、「N.J」という名前で曲を投稿するようになり、人気を博すこととなった。


 ***


 俺が持っているのは『集中力』だ。俺は最初からそれ以外何も持ち合わせていなかった。

 顔や頭脳なんてものは、基本父と母から受け継いだものだ。なら、七光りと言っても過言ではない。


 ───否、父さんや母さんがこんなことを聞いたら否定するだろう。


「お前は俺/私たちの息子だ。天下一品で唯我独尊の天上天下のナンバーワンだ。だって、俺/私と母さん/父さんをかけ合わせたのよ?俺/私たちも優れてるに決まってるわ。{蛙の子は蛙}って言うけど、俺/私たちは蛙じゃない。俺/私たちは蝶なのよ」


 蛙が蝶よりも優れてるかは知らないが、俺のことを鼓舞してくれるはずだ。


 ***


 純介「もうすぐ...作り終わる...急がないと...栄の為に...いや、みんなの為に!俺たちの為に!」


 思えば、救われたのは俺だった。俺が救っていたのではない。俺はみんなに救われていたのだ。友達の作らなかった俺に、これだけの幸せを分け与えてくれた。絶え間ない喜びを与えてくれた。俺ができることをしなければ。


 純介「俺は西森純介...bluerulerの作曲担当!」


 俺はコンピュータをどけて、ペンを走らせる。俺の直感は、「俺ら」を描けと言っている。

 俺の直感は、「個々じゃ弱いけれど、8人合わせれば最強な俺ら」を描けと言っている。


 ***


 仮面の男「純介君、成長したねぇ?」

 社長「私も嬉しい限りだよ」

 仮面の男「秘書には全てを話さなくていいと思うよ。見てて面白いし」

 津田伸子「あはは、すいませんね。私の秘書が...」


 本当の社長である津田伸子は、正体不明の偽物の社長(ここでは表記上「社長」)に謝る。


 社長「いやいや、こちらも願いを叶えて貰っているんだから」

 仮面の男「三者三様。願いを叶えるために、残りの20日も頑張っていきましょう!」


 ***


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