第62話 社長のところへ
栄が俺たちの言い争いを止めに来る。ここも、前と一緒だ。
稜「ッ、栄?」
栄「ごめん、途中から聞いてた。それに、あの事件も俺も悪かったかもしんねぇ」
稜「は!?お前は悪くないだろ!!」
栄「だからもういいって。俺もあの話はもうあんまりしたくないんだよ…それと、純介、ごめんな。他人に触れられたくないものってあるよな...」
純介「は?なんだよ、今更謝って。なぁ、俺もう帰っていいよな、俺はお前らみたいに暇じゃないんだよ!!」
俺はその場からいなくなる。健吾はもう帰っているので心配いらないだろう。
純介「次は...社長のところに行かないと!」
***
純介はその場からいなくなってしまった。栄と稜の2人は───
稜「本当になんなんだよ、あいつ…」
栄「まぁまぁ、そんなに怒るなって」
稜「お前は許せるのかよ、散々バカにされて」
栄「だから、いいんだよ。それに…こういうのも俺たちが乗り越えていかないといけないことだと思うんだ。1ヶ月だけだけど、一緒に活動していく仲間だし」
稜「そうだな、俺も、勝手に首突っ込んでごめんな」
栄「いいや、大丈夫だよ。俺のためにあんなに怒ってくれたのは嬉しかった」
稜「…ありがとな、相棒」
栄「おう」
***
俺は社長のいる社長室に向かう。俺は社長に電話をかけて秘書を呼ぶように言った。
純介「社長!話をしよう!2人で、いや3人で!」
社長「待っていたよ。純介君」
秘書「───ッ!」
社長「秘書、そして純介君。確認だ。純介君達8人に近づいたら解雇処分ということで、宜しいね?」
純介「あぁ、俺はそれでいいぞ」
秘書「あぁ、クソ!もう、それでいいさ。早くグループでも作りやがれ」
社長「この部屋から出ていったら、誓約はきちんと守ってもらうよ」
秘書「出てくさ。今すぐに。純介君!ループばかりで大変だよな!この社長の事は好きにならないほうがいいぞ!人間じゃない!こいつは、鬼だ」
そう言いながら、秘書は社長室を出ていった。
社長「さぁ、話し合いは終わりでいいかな?」
純介「あぁ、すまなかったな。社長!」
俺は家に帰る。テレビで健吾が事故にあって死んだとも言っていない。
純介「これから、俺がやることは...曲を作ることだ」
俺は椅子に座る。そして、歌詞を考える。
純介「俺が描きたいもの...みんなに伝えたいもの...」
俺の頭の中には7人の顔が浮かび上がる。痣を見てしまった栄。栄の為に怒った稜。酔った車に轢かれてしまった健吾。ダンスが上手く踊れずに怒られた梨央。梨央にダンスを教えた美緒。みんなのことを考えて行動してくれた智恵。オタクに殺されてしまった紬。
そんな7人の共通点───否、俺を含めた8人の共通点。
純介「俺が描きたいもの...それは...それは...」
俺が描きたいものは8人だ。俺たちのことを曲に描きたい。




