第61話 偽りの憤怒
純介「そう...か...そうだな...」
栄「純介、ごめんな?」
俺は決心をつける。
純介「俺、このグループやめるわ」
栄「え?」
純介「ごめんな...栄。俺、痣だけは世界に言われたく無かったんだ」
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「ループ...できたか...」
俺は時計を見る。時刻は、17時37分。栄が前髪の中にある痣を見に来るのは1時間後。
栄「なぁ、純介?」
俺はまた栄に呼ばれる。もちろん、前髪を見にくるのだ。
栄「お前その前髪邪魔じゃねぇのか?」
栄は俺の前髪を上げる。
栄「なっ...痣?」
栄は周りの皆に聞こえるような声で驚く。
純介「だから前髪長くしてんだよ、納得した?これだから陽キャは…」
俺は栄の前髪を払いながら話す。これは、偽りだ。偽りの憤怒だ。
栄「ごめん...」
梨央「き、今日のレッスンはとりあえずここまでにしておく?」
栄「あ、うん、そうだね!」
俺は帰ろうとする。すると───
稜「おい、純介。ちょっといいか?」
純介「うん」
稜「今日、どうしたんだよ。栄に嫌なことされたのはわかるけど、あんなこという必要はないだろ?」
純介「あんな陽キャなんてどうせ俺の目の上にアザがあることまたネットで言いふらすんだろうなぁ、って。それに、前もあったじゃねぇか、栄がネットで人気タレントの秘密暴露した事件」
稜「今は前の事件のこと関係ないだろ。しかもあの事件は相手も悪い。それに、今の栄はそんなこと言うとは思えない」
純介「そんなんわからないだろ」
実際、栄は言いふらした。否、気付かずに言ってしまった。
稜「いや、栄は言いふらさないって!俺のお墨付き!」
純介「それはお前の意見だろ!!あぁ、そうか、お前みたいな顔がいいやつにはわからないかもな!!」
稜「は!?今は俺の顔の話なんて関係ないだろ。なんだよお前、さっきから俺の話にいちいち突っかかってきて!!栄のことも悪く言って!!あの事件のことを詳しく知らないやつに栄が悪いなんて言われたくない!」
純介「あの事件は傍から栄が一番悪いぞ!?つまり世間からは栄が悪いって見られてる!俺は一般論を言っただけだ!」
稜「おい、お前はあの事件で栄がどれだけ傷ついたか知らねぇだろ。あぁ、お前みたいな王道天才ルート進んでるやつには栄の気持ちはわかんねぇか!!!」
純介「なんだよ天才ルートって!!俺が努力しないでここまで来たって言いてぇのか!?」
稜「そうだよ!!」
栄「もういいよ、稜!」




