第52話 2人
純介「なっ、なんでここに社長が?」
智恵「社長?記者会見を行うんじゃないんですか?どうしてここにいるんですか?」
社長「いやぁ、君たち8人には本当に悪かったと思ってるよ」
智恵「記者会見に出てくださいよ!」
社長「記者会見よりも大切な話があるんだ」
梨央「純介の妹さんが死んでるのに、それよりも大事なことがあるんですか?」
栄「そうですよ!人の命っていうが一番重いんです!」
社長「この8人グループは解散することになった」
練習場所は一瞬、沈黙に襲われる。
美緒「そうですか。それは予想していました。私達は全員会社を辞めてでも、8人でグループを組みます!」
社長「そして、純介君。君は今後芸能界から退いて貰いたい」
純介「そんなの、個人の自由でしょう?」
社長「君の父親からの願いだ。私だって、君たち8人には是非ともグループを組んで活動していって頂きたいと思っている!でも、父親からの嘆願なら、受け入れるしか無いんだ!拒否してもいいけど、純介君のお父さんは昔、人気俳優だっただろう?だから、影響力はそれなりにあるんだ。無視するにしても会社は潰れてしまう。最も、純介君のお父さんを殺したら、一時は静かになるだろうけど...ね?」
社長は気味の悪い笑みを浮かべた。人の命を軽く見ている目だ。
純介「みんな...ごめん...俺は...父親の方が大切だ」
俺は皆に謝る。父親までも、最後の家族までも失いたくはない。
健吾「しょうがないよな。わかってるよ、そんな事くらい。妹が死んじまって大変だったよな...」
健吾は俺の肩を優しく叩く。俺の目はテレビに向いた。そしたら───
テレビ「記者会見が始まりました!津田伸子社長が、今出てきました!容疑者の伊藤健一について、何を語るのでしょうか!それに、殺された西森彰さんの父親である、元俳優の西森圭佑さんが出てきました!」
純介「なっ...社長が...2人?」
俺は今、この場にいる社長とテレビの中にいる社長を見比べる。影武者どころか、顔や体型までもまるで似ていない。別人だ。全くの別人だ。
稜「社長...テレビにいる社長は何者なんですか...」
社長「あれも社長だよ」
智恵「社長は2人いるんですか?」
社長「いや、一人さ!テレビに出ているあっちが本物だよ!」
美緒「じゃあ、あなたは誰なんですか!」
社長「純介君、ループしたら私に聞いて見るといい。{お前は何者だ?}ってね」
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「───ッッッ!!!」
叫び声にならないような掠れた声が喉から出る。俺はすぐに時計を確認する。
時刻は7月6日の午後6時57分。1時間後妹は殺される。
”ガタンゴトンガタンゴトン”
電車に乗っていた。帰宅途中の電車だ。これから行くのは家じゃない。社長のところだ。
純介「待ってろ社長!お前から全てを聞き出してやる!」
他の7人は俺がループすることを知らない。最初に戻ったのだ。だが、道は残っている。
そう、希望へと向かう道だ。もう、絶望になんか進まない。




