第48話 奥田美緒
俺は他の7人にも電話をかけた。だが、来てくれるかはわからない。
俺は、練習場所に到着する。
純介「みんな...来てくれるかな...」
時刻はもうすぐ日付が変わる、午後11時48分だ。俺は待ち続ける。皆を信じて。
”チクタクチクタクチクタクチクタクチクタク”
秒針が動く音だけが響く。きっと、この音が止まったら沈黙の空間になってしまうだろう。
”ボーンボーン”
12時になった。日付は変わり、7月7日の七夕の日だ。
純介「誰も...来てくれないのかな...」
”キィィ”
扉が開く音がする。そこにいたのは───
美緒「で、命の危険って何?」
梨央「来てあげたんだから、ちゃんと説明してよね!」
そこには、美緒と梨央がいた。
純介「2人共...来てくれたんだ!」
美緒「来てくれって、あんな泣き声で言われちゃ、来るしか無いでしょ?はい、キレートレモン!」
”ピチョ”
俺の膝が水に濡れ水滴が付く。涙の跡だ。恐怖心が吹っ切れた。
純介「美緒...梨央!!!」
梨央「何?急に泣いて?」
純介「うわぁぁぁぁぁ!怖かったよぉぉぉぉぉ!」
俺は、泣きじゃくりながら、美緒に抱きつく。
美緒「え、ちょ...しょうがないなぁ...」
美緒は優しく俺の頭を撫でてくれる。その手には、一種の愛情───母性を感じた。
美緒「何があったのか、お話聞かせて?」
きっと、美緒なら俺の話を信じてくれる。俺の話を、笑わずに聞いてくれる。
純介「俺さぁ、頑張ってるんだよ!ループを何回も何回もしてさぁ!俺達8人の為に!何度も...何度もさぁ!背中は刺されちゃったしさぁ、妹は殺されちゃうしさぁ!もう、怖いんだよ!それなのに、智恵には暴言を吐かれてさぁ、助けたのに!このグループが解散せずに、成功するように...何度も何度もやり直したのにさぁ!でもさぁ!みんな、そんなことを解ってくれないしさぁ、褒めてもくれないしさぁ、認めてくれないんだよぉ!」
美緒「そうか、そうか...大変だったねぇ...辛かったねぇ...」
美緒は、俺の頭を何度も撫でながら、話を聞いてくれる。
純介「少しくらいはさぁ、認めて欲しいんだよぉ!」
梨央「はぁ、馬鹿じゃないの?」
俺はいきなり梨央に罵声を浴びせられる。
梨央「純介君が私達のことを考えてることくらい、知ってるから!美緒に私のダンスを教えるようにメールしたことも知ってる!きっと、智恵ちゃんのことも説得してくれたんでしょ!」
美緒「大丈夫、大丈夫。私達はわかってるからさ」
梨央・美緒「「努力は報われない?誰も認めてくれない?そんな訳ない!私達は純介君の事を認めてる!私達のことを心配してくれて、ここに招集をかけたことも知ってる!だから、止まらないで!諦めないで!逃げ出さないで!純介君...いや、西森純介!」」
そうだ。ループが無くなったからって、なんだ。それが当たり前だ。きっと、諦めたくなる1000の理由よりも、「皆と笑う」ことの方を、俺は求めている。
止まるな、俺。




