第47話 誰も認めてくれない
純介「逃げるな...逃げるな...逃げ───」
そこで、俺の意識は途切れる。
***
純介「───」
警察官「目は覚めましたか?」
白い天井にある蛍光灯が仄かに光っている。
純介「ここは...どこですか?」
警察官「ここは、純介君の家の近くの警察署です。純介君のお父さんが来るまでは、警察署で保護させていただきます」
純介「あ、はい...そうですか...」
俺は冷静になっていた。殺人衝動も、前髪を見られた憤怒も、妹が殺害された憤慨も、今では何故か収まってしまっている。
警察官「お話、聞かせて貰っていいですか?」
俺は所謂「事情聴取」というものを行った。こんな経験、初めてだ。まぁ、事情聴取を行ったことがある人のほうが、少ないと思うのだが。
圭佑「純介、純介!大丈夫か!」
西森圭佑───俺の父さんが走ってやってくる。俺と父さんは目があった。すると───
圭佑「純介...彰は...彰はぁぁ!」
純介「ごめん...父さん...護れなかった...」
父さんは、泣いていた。父さんの目からは大粒の涙が溢れ出ている。
圭佑「違う!2人のことを考えずにゴルフに行っていた俺が悪いんだ!すまない、本当にすまない!」
父さんは泣きながら俺の膝に縋る。俺達が殺されるなんて予想はつかないはずだ。
純介「やめてくれ...父さん、謝らないでくれよ!」
そして、唐突に現れる恐怖。そう、それはBluerulerの仲間を失うこと。Bluerulerは、この6日だけでも、多くの命が危険に晒されていた。俺がいなければ、紬は死んでいた。
ループが無ければ、紬は死んでいた。
純介「ループが無くなったんじゃ...死ん───」
俺の体を恐怖が支配する。みんなを、助けなければ。
純介「父さん、ごめん!俺、練習場所に行かないと!」
警察官「ちょっと、純介君?」
俺は、警察官を無視して、建物を飛び出す。
”プルルルルルルプルルルルルル”
俺は智恵に電話をかける。
”ガチャ”
智恵「もしもし、純───」
純介「もしもし、智恵!練習場所に来てくれ!今すぐにだ!」
智恵「はぁ?どういうこと?勝手に練習抜け出して何が言いたいの?行かないからね?」
純介「皆の命が危ないんだ!来てくれ!もう、ループはしないんだよ!」
智恵「命の危険?ループ?何それ?寝ぼけてんじゃないの?」
純介「寝ぼけてなんかない!来てくれ!」
智恵「嫌よ!」
電話は切られてしまった。智恵は、俺のことを認めてくれなかった。きっと、「ループをしている」と言っても信じてくれないだろう。本当は妹を置いてこんなことをしたくない。
───でも、一度仲良くしてしまった相手なら、涙を見てしまった相手なら救いたいと思ってしまうじゃないか。




