第45話 予期せぬ来客
純介「なぁ...」
俺の口から言葉が忘れ去られる。どうして、ここに秘書がいるんだ。おかしいだろう。
秘書「話がしたいんだよ。君についてね」
秘書の隣では妹の彰が座ってお茶を飲んでいる。
純介「悪い。今日は帰ってくれ!」
秘書「残念だが、それは無理だ。早急に話をしなければならない」
彰「お兄ちゃん、どうしたの?」
純介「彰!そいつから離れろ!」
彰「離れろって、お兄ちゃんのお客さんだよ?」
純介「いいから、離れるんだ!」
秘書「しょうがない、人質作戦といくか」
彰「きゃっ!」
純介「彰!」
彰が秘書に捕まる。そして、秘書は刃物を取り出し、彰の喉に突きつけた。
秘書「純介くん。君のループを止めたいんだ。しっかり話をすればわかりあえるはずだ」
純介「駄目だ!お前なんかにはわからない!お前の価値観なんかじゃわからない!」
ループを止めるために人を殺すような人間に、ループは止められない。
秘書「話をしようよ。君は話をしようとしない。妹が死んでしまうよ?いいのかい?」
純介「駄目だ!殺していいわけが無い!」
妹はループに巻き込んじゃいけない。巻き込んでいいはずがないのだ。
秘書「じゃあ、話をしようじゃないか。今の君に決定権はない。そうだろう?あ、ループをして逃げてもいけないよ?ここに必ず来る。必ずだ。これは{運命}で決定しているんだよ。わかるかい?」
純介「話なら聞くよ。その代わり、妹を解放しろ!」
秘書「話をしたら解放してあげるよ。まず、ループをすることだ。私も聞いたよ。ループのことを社長から。いやぁ、酷いよね。このループは実験らしいんだ。人間が危機に直面した時に、どんな行動を取るのかの実験らしい」
純介「その危機がお前...」
秘書「危機だなんて、酷い言葉で片付けてもらっちゃ困るよ。純介くん!危機なんかじゃない!ループしている君を救おうとしている救世主さ!もっと、褒めてもらっても構わない!第一に、このループを行う実験について反対しているんだ!だから、君たちを救おうとしているんだ!そうだろう、純介くん?これまでに何回ループをした?何回辛い思いをした?救って欲しいんだろ?助けて欲しいんだろ?なら、なんで!助けてあげると言っている!」
純介「お前が行ってることは助けじゃねぇ───」
秘書「そうやって、楯突くのか!妹の命は握っているんだ!」
”ブスッ”
彰「───ッッ!!!」
純介「彰!!!!」
彰の喉にナイフが刺さる。紅色の液体が肌とナイフの隙間から溢れ出たところで、秘書はナイフを引き抜いた。
”ごぷっ”
彰の口から血が漏れ出る。傷口と口、そして鼻から血が流れ出ていた。
彰「お兄...ちゃ...」
彰はそのまま倒れた。もう、息をしていない。息が出来るような体じゃなかった。
純介「彰ィィィィィィ!!!!!」
もう今は世界に2人しかいない家族を、世界に一人しかいない妹を、大切な妹を殺された。




