第40話 「俺は殴られるよ!」
栄「ぐふっ!」
稜「栄!純介...お前!」
俺の中のおどろおどろしい憤怒は絶えず動き続ける。体中を這って這って這い続ける。
俺の痣を見て大袈裟な反応をした栄も大概だが、俺のことを「王道天才ルート」だなんて勘違いしてる奴も問題だ。そういえば、智恵もそんなことを言っていたような───
純介「悪いのは、お前らだ!俺に殴られろ!俺の怒りが終焉を迎えるまで!」
稜「逃げるぞ!栄!」
栄「いや、俺は逃げない!」
稜「栄?」
栄「俺は殴られるよ!仲直りをしよう!純介!ごめんな。他人に触れられたくないものってあるよな...───ッ!」
無慈悲な俺の拳が、栄の腹を襲う。
栄「ぐふっ...げほっ!げほっ!」
栄はその場に跪く。
稜「お前ぇぇぇ!栄に何をするだァーッ!」
稜は俺に襲いかかってくる。身長からすると、俺よりも稜の方に利がある。
だが、相手は正義の鉄槌だ。俺は違う。俺は憤怒の鉄槌だ。
”ガンッ”
稜「───ッ!」
稜が俺に拳を当てる前に、俺は稜の動きを止めて、殴る。殴る。殴る。
稜「どうして...そんなに怒ってるんだよ!前髪の痣が見られたことがそんなに嫌だったのかよ!」
純介「あぁ、嫌だったよ!俺はこの痣にどれだけ困らせられたと思ってるんだ!」
俺は稜に馬乗りになって、稜を殴る。手を足で押さえつけて。
栄「純介...稜を殴るな...殴るなら...俺を...」
栄が俺の足にこびりついてくる。お前は、自己犠牲精神が過ぎる。馬鹿な行動だ。
純介「ウダウダうるせぇなぁ!」
俺は回し蹴りで、栄を吹き飛ばす。
”ゴンッ”
栄「うぅっ!」
稜「栄を...よくもぉ!」
ずっと殴っていたため、稜の顔にも大きな傷ができていた。鼻は変な方向に歪んでいる。
純介「うるせえぇ!俺はお前らなんて大っ嫌いだぁぁ!」
俺は稜の喉を踏み込む。「ゴプリ」という不快な音をたてる。そして───
稜「ぐぷっ...ごええええええ....」
稜の口から吐瀉物が流れ出る。これがアイドルだと言われても気づかないだろう。
純介「もう...俺はグループをやめ───」
栄「純介...お前...お前!何をやったのか...わかっているのか!」
栄が立ち上がる。回し蹴りで背中を強打しているはずなのに。
稜「じゅんずげ...ゆるざぁん...」
純介「うるせぇなぁ!」
栄「やめろぉぉ!」
栄が変な走り方でこちらに来る。やはり背中が痛いのだ。愚かな人間だ。
”グシャ”
稜の喉が潰れる音がする。もちろん、俺が踏んだのだ。
栄「稜!稜!稜!なぁ...息を...してない!」




