第39話 終焉なき憤怒
俺たちは7月5日は何事もなく進んだ。だが、順風満帆なのはその日だけだった。
ー7月6日18時37分、練習場所ー
栄「なぁ、純介?」
俺は栄に呼ばれたので栄のところへ移動する。
栄「お前その前髪邪魔じゃねぇのか?」
純介「───ッ!」
栄は俺の前髪を上げる。避けられなかった。一番触れて欲しくないところに触れられてしまった。
栄「なっ...痣?」
栄は周りの皆に聞こえるような声で驚く。なんで見るんだよ。見なくてもいいじゃないか。
どうして、お前は俺の痣のことを見て触れるんだよ。俺はこの痣が大嫌いなんだ。そして、その痣に触れる人も大嫌いなんだ。
純介「だから前髪長くしてんだよ!納得した?これだから陽キャは!俺は俺自身のこの痣が嫌いなんだ!わかるか?わからないよな!お前らにこんな痣は無いんだからよ!」
栄「ごめん...」
梨央「き、今日のレッスンはとりあえずここまでにしておく?」
栄「あ、うん、そうだね...」
俺は激昂しながら帰ろうとする。だが───
稜「おい、純介。ちょっといいか?」
純介「何だよ?」
稜「今日、どうしたんだよ。栄に嫌なことされたのはわかるけど、あんなこという必要はないだろ?」
純介「あんな陽キャなんてどうせ俺の目の上にアザがあることをまたネットで言いふらすんだろうなぁ、って。それに、前もあったじゃねぇか、栄がネットで人気タレントの秘密を暴露した事件」
俺は栄が持っていたコンプレックスであろう、「あの事件」に触れる。
稜「…今は前の事件のこと関係ないだろ。しかもあの事件は相手も悪い。それに、今の栄はそんなこと言うとは思えない」
純介「そんなんわからないだろ!」
稜「いや、栄は言いふらさないって!俺のお墨付き!」
純介「それはお前の意見だろ!!あぁ、そうか、お前みたいな顔がいいやつにはわからないかもな!!」
稜「は!?今は俺の顔の話なんて関係ないだろ。なんだよお前、さっきから俺の話にいちいち突っかかってきて!!栄のことも悪く言って!!あの事件のことを詳しく知らないやつに栄が悪いなんて言われたくない!」
純介「あの事件は傍から栄が一番悪いぞ!?つまり世間からは栄が悪いって見られてる!俺は一般論を言っただけだ」
稜「おい、お前はあの事件で栄がどれだけ傷ついたか知らねぇだろ。あぁ、お前みたいな王道天才ルート進んでるやつには栄の気持ちはわかんねぇか!!!」
俺の中で何かが切れた。王道天才ルートな訳ないだろ。
”ドンッ”
稜「痛っ!何すん───」
俺は自分の感情に任せて稜を殴る。
栄「純介!やめろ!悪いのは稜じゃない!俺だろ?」
純介「あぁ、悪いのはお前だよ!」
俺は栄の鳩尾に1発殴りをいれる。俺の終焉なき憤怒が動き始めた。




