第38話 ハジメテの仲直り
ー7月4日午前9時、練習場所ー
智恵「そろそろレッスン始めるよー。じゃあ今日も前の復習から。一回拍に合わせて踊るよ!!」
智恵が手を叩く。そして、全て踊りきった。
智恵「…梨央、うまくなってんじゃん!」
梨央「えっ、ほんと!?あ、あのね、昨日美緒に色々教えてもらったの!」
俺は美緒と目が合う。
智恵「そっか。昨日と一昨日は、きつい言い方してごめんね…あれ、ただの八つ当たりだったんだ…」
純介「おい、自分でも「ただの」って言ってんじゃねえか!」
智恵「気にしないで!!」
梨央「智恵…私、全然気にしてないよ。智恵にあーやって言われるのも私が踊れてないからだし…」
智恵「それでも、言い方がきつかったし…本当にごめん!」
梨央「だから気にしてないって!ほら、練習続けよ!!」
智恵「梨央…ありがと!」
2人はこうして仲直りをする。喧嘩をするなら、仲直りがあるのは当たり前だ。
***
奥田美緒───私の両親は私が幼い頃から共働きをしている。そのため、2人共家に帰るのが遅く、私の姉の奥田美玲と、時々梨央と過ごすことが多かった。
美玲「今日も、お母さんたち帰ってくるの遅いんだって...」
美緒「そっか...」
美玲「美緒はさ、お母さんとお父さんのこと...好き?」
美緒「当たり前じゃん!嫌いになるわけないでしょ!」
美玲「そうだよね!私も!」
梨央「おじゃましまぁーす!」
美緒「あ、梨央ちゃんだ!」
美玲「梨央ちゃん、来たの?お菓子、食べる?」
梨央「食べるぅー!」
幼い私は、両親のことを誇りに思っていた。夜遅くまで働いていたからだ。
もちろん、私は両親のことが嫌いにはならなかった。私のアルバムの2ページ目には、もう梨央と共に写っている。これが表すことは、唯一つ。生まれて間もない内から、私と梨央は仲が良かったと言うことだ。家族ぐるみで仲良くしているので、小学校の頃はよく私の家族と梨央の家族でキャンプやBBQに行った。
中学生の私は、成績優秀且つ、運動神経抜群の才色兼備で容姿端麗・眉目秀麗だった。
友達も多かったが、決して驕り高ぶるような事はしなかった。私はその性格からか、極稀に同級生男子から「ママ」と呼ばれることがあった。あだ名などではなく、「間違えて呼んでしまった」という奴だろう。
高校生になった私と梨央はティックトックとyoutubeを始めた。最初は高校の友達には内緒でやっていたのだが、高校1年生の秋、友達にバレてしまい高校2年生にもなると、学校で赤の他人からも後ろ指をさされるほどになってしまう。
それに耐えかねた私達は3年に進級せず高校を中退し、現在の会社に入った。
だが、動画配信も決して伸びがいいわけではなく、平行線が続いていた。
***
美緒が生まれつき持っていた能力は『運動神経の鋭敏性』だ。
天然で後先考えずに行動する私と、しっかり者で面倒見が良い美緒は相性が良かったのだ。




