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NJruler  作者: 花浅葱
2章 ダンス・ダンス・ダンス
38/173

第37話 勇者純介

 

 ー7月3日午前9時、練習場所ー


 俺は梨央がダンスレッスンで怒られ、智恵を説得し終える。

 時刻は9時23分。同じように、梨央と美緒に連絡を入れる。

 純介「これで、最後のループにしてやるよ!」

 俺は手際よく自転車を盗み、最短ルートで紬のいるT字路まで自転車を漕ぎ進める。


 ー9時31分7秒、T字路ー


 俺はいつものように紬が誰かに絡まれているのを確認する。

 俺は紬のところに走───

 らない。

 純介「紬が落とされるのを止められないのなら、俺は車を止める!」


 ”ポチィィィィ”


 俺は信号のボタンを押す。反対側の歩行者信号が点滅し始めた。俺は急いで紬の方へ自転車を漕ぎ進める。これで───


 ”ブゥゥン”


 純介「なっ...」

 俺は浅はかだった。車道の信号はもう赤になっていた。だが、黄色になっても無理矢理渡ろうとする人はいる。青い車は止まっただろうか。

 否、青い車は、信号を見て加速した。

 純介「ここまでしても助けられないのかよ!なら...どうすれば...」


 否、ここで諦めてはいけない。俺は───


 紬「純介?」


 ”ガシャァン”


 俺は自転車から飛び降りた。自転車はそのまま車道に出て車道の真ん中で横転した。


 ”キキィィー”


 ”ファーン”


 この瞬間、紬は太った男によって車道に押し出される。

 だが、車は自転車のギリギリで止まった。

 純介「俺は青い車の人が、止まろうとしていたことくらい知ってんだよ!」


 何度、クラクションの音を聞いただろうか。俺は紬の手を掴む。

 太った男「クッ!逃げるぞ!橋本!」

 橋本と呼ばれた男と、太った男は走って逃げていった。

 純介「なっ!あいつら!」

 紬「純介君!追わないで!」

 純介「え?」

 紬「きっと、ここで追ったら...純介君が殺されちゃう!」

 純介「でも...」

 紬「怖...かったよ...私を一人に...しないで...」

 紬の目からは涙が溢れる。

 運転手「あの...大丈夫そうですか?」


 青い車の運転手が車から出てきて、俺らに声をかける。

 純介「はい、大丈夫そうです!あの、車は...」

 運転手「本当にギリギリでしたよ!自転車!でも、自転車が無ければ僕は彼女を轢いていたと思いました...」

 純介「そう...ですね...」

 運転手「あなたは、英雄ですよ。そして、勇者です」


 俺は紬を見送った後、練習場所に自転車を返しに行った。これで一件落着だ。


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