第36話 減らせないその刹那
ー9時31分16秒、T字路ー
”ファーン”
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
ー9時31分16秒、T字路ー
”ファーン”
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グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
ー9時31分16秒、T字路ー
”ファーン”
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グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
ー9時31分16秒、T字路ー
”ファーン”
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グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「どうして...だよ、どうして...減らせないんだよ...」
刹那が、減らせない。減らしたい刹那を減らせない。紬の服の裾も掴めていない。
純介「退化してるじゃねぇか...」
俺が移動すると、必ず紬は9時31分16秒に突き落とされて死んでしまう。
純介「車は{必ず}来るし、あいつらも{必ず}紬を落とす...どうすればいいんだよ...」
紬を引き寄せて救う方法以外、考えられない。なのに、それが出来ない。
ー9時31分16秒、T字路ー
”ファーン”
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グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「もう...おかしくなっちまう...紬は...救えないのかよ...」
ー9時31分16秒、T字路ー
”ファーン”
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グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「つむ...ぎ...」
ー9時31分16秒、T字路ー
”ファーン”
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グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「何か...変えられないのかよ...何か、何か、何か!」
突き落とすタイミングを遅くすることは出来ない。2人いるからどちらかが俺を押さえる。
純介「かと言って、俺が車を止める?どうやって!」
動いている車を止める。俺が車の前に立てばいいのだろうが、俺は轢かれる。
結局はループだ。意味がない。結局は───
純介「そうだ...そうすれば...」
俺は紬を助ける方法に気が付く。
純介「こうすれば...確実に助けられる...」
俺は知っている。勇者とは、剣や盾を持って敵に挑む人物のことではない。
勇者とは、勇気を持って大切な人を守る人物のことである。




