第33話 智恵の後ろを
ー7月3日午前9時、練習場所ー
俺は梨央がダンスレッスンで怒られ、智恵を説得し終える。ここまで13回も経験した。
時刻は9時23分。まずは、梨央と美緒に連絡を入れる。
純介「原因を虱潰しにしていこう...まずは智恵から...」
俺は練習場所を出ていった智恵の後ろを付いていく。5m程後ろを歩く。
そのまま特に何も起こらず時刻は9時32分に。
純介「はぁ、こっちじゃなかったのか...」
”ファーン”
急に出てきた車のクラクション音にビックリして俺は反射で肩を動かしてしまう。
智恵「え...」
智恵は手に持っていた自分の荷物を地面に落とす。誰かが轢かれたのだろうか。
智恵はクラクション音がなった事故現場へと向かう。
俺たちが今いるのはT字路で、俺らの目の前に横断歩道があるが、俺らとは反対側の歩道には横断歩道が無い。智恵は反対側の歩道に移動するために、信号を渡る。
純介「なっ...何かあったのか?」
智恵「ん!純介?」
智恵は俺に気付く。その目は泣きそうだ。否、少し涙を流している。
純介「何が───」
俺は何かあったか聞こうとする前に、事件の惨状を目にする。轢かれたのは───
智恵「紬ィ!!!!」
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「嘘...だろ?」
俺はこれまでループした回数を指を折って数える。智恵が秘書にナイフに刺されたあの時から、7回分のループ。その回数分、紬は車に轢かれていたというのか。
純介「そんな...有り得ない...だろ...何度も何度も...」
俺は知っている。俺が変わらないと、運命は変わらないことに。
───そして、俺以外、運命を変えられないことに。
これまでのループ。それは全て智恵が紬の死を目の当たりにしたと言うのなら。
{智恵....ありがとう...もう俺は、君を泣かせない...}
いつかの───否、智恵が秘書に刺される前の俺の宣言は守られなかった。
純介「嘘だ...嘘だ...嘘だ...嘘だ...」
俺は思い出す。紬が線路に落ちてしまいループしたことに。
純介「もしかして...これは───」
事故じゃなく、誰かに押されて落ちた。そう、他殺なのかもしれないと。
ー7月3日午前9時、練習場所ー
俺は梨央がダンスレッスンで怒られ、智恵を説得し終える。
時刻は9時23分。同じように、梨央と美緒に連絡を入れる。
純介「とりあえず、俺は事故現場まで走るしか無いだろ!」
俺は急いで走る。紬が死んでしまうT字路近くまで。走れば間に合うだろうか。
純介「はぁ...はぁ...」
時刻は9時31分。俺はT字路に到着する。紬がいる側の歩道にいるので信号はない。
純介「なっ...」
紬は太った男と、痩せ細った男に話しかけられている。身長は紬よりも俺よりも高い。
純介「紬!逃げ───」
俺の隣を青い車が通り過ぎる。紬は太った男によって車道に押し出され───




