第31話 独占欲の強い女
智恵「アンタ、私に話があるとか言っておいて、ハンバーガー食べに行こうとしてたの?」
純介「え...それは...」
智恵「アンタが話があるって言ってから聞いてたんじゃない!それなのに、どうして話をする本人がスマホをいじっている訳?おかしくない?私と話をするんでしょ?なら、私だけを見てよ!」
純介「はい、すいません...」
智恵「本当に、わかってるの?自分から話をふっかけたんだから、私だけを見ろって話!」
純介「ごめん...」
智恵「もういいわよ、話す気がないなら私、もう行くから!じゃあね!」
智恵は部屋を出ていく。もう、俺には止められない。
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「愛が...重すぎる...独占欲が強すぎるだろ...」
智恵は絶対メンヘラになる予感しかしない。容易に想像出来てしまう。智恵には失礼だと思うが、智恵の「愛」を刺激するのはやめよう。何が起こるか容易に想像できる。
ー7月3日午前9時、練習場所ー
梨央が踊れずに智恵が憤慨している。そして、それに反発する美緒がいた。
純介「それは確かに思ってた」
智恵「…なに?みんな揃って私を悪者扱い?」
栄「俺はなんも言ってないって」
智恵「…まぁいいよ。こんなことになるんだったらこの会社と契約切る方がマシ!練習はこれで終わり。みんな早く帰って!」
梨央「智恵ちゃ───」
智恵と俺以外が練習場所から出ていく。
智恵「アンタも早く帰ってよ!」
純介「お前に話がある!」
智恵「...わかった」
純介「確かに自分は当たり前にできるのに他の人はそれができないとイライラするよな。その気持ちはわかる。でもな…その気持ちはあからさまに相手にぶつければいいわけじゃないんだ。伝え方によっても相手の受け取り方は変わってくる」
俺は誠心誠意、智恵に向き合う。ハンバーガーショップの最短ルートは電車で調べ上げた。
智恵「それは、わかってる、言い方がキツかったことも自覚してる…」
純介「じゃあなんで2日もあんなにキツい言い方したんだよ!」
智恵「…だって、できない梨央が悪いじゃん」
純介「はぁ?なんだよそれ?」
智恵「あんな程度のやつ、練習すればできるようになるでしょ!なのにちゃんと練習してこなかった梨央が悪い!!」
純介「だから、それは昨日梨央が忙しかったからだって美緒も言ってただろ!」
智恵「言ってたけど!!…梨央を見てると昔の自分を見てるみたいでムカつく...」
純介「え、つまりただの八つ当たりってこと?」
智恵「ただの、って言うな!私にとっては相当なことだったんだよ!」
智恵が持っていた感情は怒りなどではなかった。憂いだ。自分に対する内患だ。
純介「…悪かった。でもな、今の智恵は昔の智恵とは違うし、梨央も昔の智恵とは違う。八つ当たりなんてするな!」
智恵「...うん」
純介「なぁ、明日、梨央に謝ってみろよ。きっと、梨央も辛い思いしてると思うぞ!」




