第25話 覆面の男
純介「智恵?」
”ドサッ”
智恵が倒れるその刹那、俺は智恵を抱き寄せる。
覆面の男「なぁ、純介君...君も大変だね...」
純介「何を言っているんだ?お前...智恵を刺しやがって...」
覆面の男「ループの話だよ...ここで君を殺すから...堪忍してくれよ?」
覆面の男はこちらにナイフを突き出した。
”ガシッ”
純介「痛ぅぅぅ...」
俺は智恵のいる方の腕で無理矢理ナイフを掴んだ。ナイフを掴んだ手が痛い。
純介「お前、顔を見せろ!」
覆面の男「あっ...」
覆面の男───否、社長秘書は姿を表した。
秘書「私は君を...救ってあげる....」
俺の胸がナイフで刺され───
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
刺されなかった。智恵が死んだので、ループした可能性が大きい。
純介「ぁは!」
俺は電車の中で立ち膝になってしまう。足が震えている。襲いかかる恐怖が大きすぎる。
乗客「大丈夫かい?君!」
純介「刺される...刺される...」
生物に対する「死」への恐怖は大きい。人間が、「死」よりも恐れているものは無いのだ。
乗客「とりあえず、次の駅で降りよう!」
俺は優しい乗客に降ろしてもらう。ここで、ボケっとしている暇はないのに。
俺は残っている理性を振り絞って時計を見る。時刻は午前8時34分だ。
純介「後、1時間で...」
恐怖はまた訪れる。これなら、記憶を忘れる方がよっぽどマシだ。
純介「行かなきゃ...行かなきゃ!」
乗客「ちょっと、君!危ないから!」
俺は乗客によって駅員のところまで半強制的に運ばれる。
純介「行かないと...行かないと...」
駅員「落ち着いて!君、名前は?」
純介「俺を止めないでください!みんなが...みんなが死んじゃうんです!」
駅員「落ち着いて、ほら!お茶でも飲んで!」
俺はお茶を受け取る。熱いお茶だ。俺はちまちまそれを飲む。
純介「俺は...」
駅員「大丈夫?落ち着いたかい?」
純介「俺、命を狙われている...と思います!」
駅員「きゅ...急に何を?」
純介「俺の名前は西森純介!N.Jって言ったら...わかるでしょうか?」
駅員「N.Jってあの凄い音楽を作ってる?」
純介「はい、そうです!」
駅員「命を狙われているって...警察にかけあってみないと...」
純介「じゃあ...大丈夫です!迷惑をかけました!俺、もう行きます!」
俺は電車に飛び乗り、練習場所へと向かう。




