第113話 感情
ー7時30分、自宅ー
梨央「もしもし?純介?」
純介「もしもし。美緒に変わって?」
梨央「え、あ、うん。わかった。でも、怒らせるようなこと言わないでね?」
純介「あぁ...わかってる」
ガサゴソと、スマホの奥から音がする。そして───
美緒「もしもし?純介?何?」
純介「ごめんな、美緒」
美緒「え、何?どうしたの?」
純介「俺、美緒の気持ちを理解してなかった...美緒も美玲さんに肩を押されて大変だったよな。止められなくてごめんな」
美緒「私もその時は怒ってたし。きっと、純介が止めに来ても智恵を叩いちゃったみたいにしてたかもしれない...智恵には悪いと思ってるよ」
純介「なら、智恵に謝らないか?」
美緒「うん...そうしようと思ってるよ」
純介「じゃあ、明日のレッスンにでも来て、謝ればどうだ?」
美緒「まぁ...そうね。お姉ちゃんに会うのは納得しないけど、しっかり謝るのは大事だと思うし...」
純介「なぁ、好奇心で聞くけど、なんで姉が気に入らないんだ?」
美緒「だって、偉そうなんだもん。健吾を傷つけて、自分ばかり言い訳して...」
純介「そうか...智恵にもそうだけど、お互いに謝ったらどうだ?」
美緒「は?私は悪くない!悪いのはお姉ちゃんよ!」
純介「わかってる。美玲さんだって、謝罪の意は見せていたよ」
ここまで、喋ってマズイと感じる。美緒を怒らせてしまうかもしれない。
美緒「皆の前で反省してようが、私の前で謝らないなら意味がないじゃない!」
純介「そうだけど...」
美緒「だから、私は謝ったらすぐに帰るから!それと純介!本当にあなた心配してる?」
純介「してるよ?」
美緒「じゃあ、なんでそんなに落ち着いてるのよ!もっと焦ったりするはずよ!」
そう言うと、電話が切られる。
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「落ち着いてる?そうか...何回も話してるから当たり前だと思ってるのか...」
最初よりも優れたものはできない。当たり前だ。
純介「感情的にならず、感情を持つ...か」
ー7時30分、自宅ー
梨央「もしもし?純介?」
純介「もしもし。美緒に変わって?」
梨央「え、あ、うん。わかった。でも、怒らせるようなこと言わないでね?」
純介「あぁ...わかってる」
ガサゴソと、スマホの奥から音がする。そして───
美緒「もしもし?純介?何?」
純介「ごめんな、美緒」
美緒「え、何?どうしたの?」
純介「俺、美緒の気持ちを理解してなかった...美緒も美玲さんに肩を押されて大変だったよな。止められなくてごめんな」




