第112話 擁護
梨央「え、あ、うん。わかった。でも、怒らせるようなこと言わないでね?」
純介「あぁ...わかってる」
ガサゴソと、スマホの奥から音がする。そして───
美緒「もしもし?純介?何?」
純介「レッスンに来ないか?」
美緒「はぁ?踊りの練習はしてるし、別に行かなくてもよくない?」
純介「みんな、美緒の心配してるし美玲さんも反省してたよ」
美緒「皆の前で反省してようが、私の前で謝らないなら意味がないじゃない!」
純介「俺達だって心配してるんだぞ?」
美緒「だからって、レッスンに行く必要はないでしょ?」
純介「でも、みんな会いたがってるし...」
純介「そんなのどうでもいい!私は絶対レッスンに行かないから!」
そう言うと、電話が切られる。
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「なんて言えば...いいんだ?」
美緒の心を動かすような言葉が思いつかない。美緒を擁護すればいいのはわかっている。
ー7時30分、自宅ー
梨央「もしもし?純介?」
純介「もしもし。美緒に変わって?」
梨央「え、あ、うん。わかった。でも、怒らせるようなこと言わないでね?」
純介「あぁ...わかってる」
ガサゴソと、スマホの奥から音がする。そして───
美緒「もしもし?純介?何?」
純介「ごめんな、美緒」
美緒「え、何?どうしたの?」
純介「俺、美緒の気持ちを理解してなかった...美緒も美玲さんに肩を押されて大変だったよな。止められなくてごめんな」
美緒「私もその時は怒ってたし。きっと、純介が止めに来ても智恵を叩いちゃったみたいにしてたかもしれない...智恵には悪いと思ってるよ」
純介「そうか...なら、レッスンに来て謝らないか?」
美緒「え、謝るのとレッスンに行くのは違くない?」
純介「え、じゃあ美緒は何が嫌なの?」
美緒「お姉ちゃんと同じ空間にいること。顔も見たくないよ」
純介「でも、歌のレッスンは...」
美緒「大丈夫、私も梨央も歌は上手い方だから」
純介「え、駄目だろ...そんなこと!みんなレッスンに来てるんだし、せめて来ないか?」
美緒「はぁ?別に行かなくてもいいでしょ?誰にも迷惑かけてないんだから!」
俺は、言い返すことができない。確かに、迷惑はかけていなかった。
美緒「ほら、言い返せないでしょ?」
純介「でも、レッスンには来ないと...」
美緒「純介だって来てなかったじゃない!文句言わないで!」
そう言うと、電話が切られる。
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「クソ...感情的になるなよ、俺」




