第111話 電話
純介「どうする?他にも紬とかにも電話かけてみる?」
智恵「いや、大丈夫。もう、私は負けないから。もう、折れないから」
純介「そっか、よかった」
俺は智恵に微笑む。それに合わせて、智恵も微笑み返した。
智恵「でも...栄が言ってたこと本当かなぁ?私のことを見捨てないとか、一家に一人欲しいとか、私のこと大好きだとか、一緒に食事に行きたいだとか、何かプレゼントしたいだとか。本当かな?ねぇ、本当かな?」
純介「最後2つは聞いた覚えなんかねぇけど、本当じゃないの?まぁ、栄なら俺らのこと皆大好きっていいそうだけどな」
智恵「あぁ...そうかも...なんか、自信なくすなぁ...」
純介「まぁ、そういう事でいいか?」
智恵「うん、いいよ。あ、美緒と梨央のことは...」
純介「俺に任せとけ!」
俺は、智恵の顔も見ずに練習場所を出ていった。そのまま、家に帰る。
ー7時30分、自宅ー
純介「はぁ、{任せとけ!}とはカッコつけて言ったものの、考えがない」
俺は美緒に電話をかける。だが、電話には出ない。
純介「何してるんだぁ?」
そんなことを思いつつ、梨央に電話をかけてみる。
梨央「もしもし?純介?」
純介「あ、もしもし?美緒、いる?」
梨央「あ、うん。いるよ?」
純介「どう?怒ってる?」
梨央「今は怒ってないけど...腫れ物に触れちゃ駄目かも...」
純介「そうか...まぁ、変わってくれない?」
梨央「うん、わかった」
ガサゴソと、スマホの奥から音がする。そして───
美緒「もしもし?純介?何?」
純介「なぁ、レッスン来ない?」
美緒「はぁ?踊りの練習はしてるし、別に行かなくてもよくない?」
純介「皆心配してるし...」
美緒「そんなの知らないわよ!私はお姉ちゃんと顔を合わせたくないの!」
純介「でも、智恵だって美緒の事心配して───」
美緒「お姉ちゃんのことは味方するのに、私のことは怒るんだ!もういいよ!」
そう言うと、電話が切られる。
***
グルグルグルグル。視界が回る。頭がキンキンと痛くなる。そして、少しの喪失感があり。
純介「なっ...」
ループした。時刻は6字34分。俺は、電車に乗って帰路についていた。
純介「おいおい、マジかよ...」
俺は小さくため息をつく。
ー7時30分、自宅ー
純介「上手く説得するしかないよな...」
俺は梨央のスマホに電話をかける。なんて言えばいいだろうか。
梨央「もしもし?純介?」
純介「もしもし。美緒に変わって?」




