第110話 意見
純介「───ッ!」
ループした。智恵を説得できずに練習場所を出ていってしまうのだ。時刻は午後5時13分。俺達は練習場所で歌の練習をしていた。
ー午後6時、練習場所ー
智恵「ねぇ、純介。少し残ってくれない?」
純介「あぁ、わかった」
智恵以外の全員は帰宅する。
純介「で、どうしたの?」
智恵「梨央と美緒が来ないのは...私のせいだよね...」
純介「そんな訳ないだろ。智恵は悪くないじゃんか」
智恵「でも、私がしっかりしてないから、美緒と梨央は練習に来なくなっちゃったんだよ...私が喧嘩を止められなかったから...そこで、和解させることができてたら美緒と梨央だって、ちゃんと練習しに来てくれた!全部、全部、全部!私のせいなの!」
純介「そんな訳ないだろ。智恵は喧嘩を止めに行動したのに、なんで智恵は自分自身を責めるんだ。どうしてそんなに責任を背負うんだよ」
智恵「だって、ダンスを教えるのは私だし最年長だからさ、私がしっかりしないとみんな大変なの!だから...私が、私が───」
純介「最年長だからって、自分が責任を背負う理由にはならないだろ!俺らは、皆同じ立場なんだから、年齢なんか関係ない!そうだろう?」
智恵「そうだけどさ...踊れない私は...きっと、このグループにいる意味は...ないんだよ...私の取り柄は踊ることだけ。踊りを教えられない私はいらないの...踊れない私は要らないんだよ!そうでしょ?私は何事にも中途半端なの!歌は健吾や純介の方が得意だし、ダンスはアイドルの栄や稜君の方ができてる!私の取り柄は踊ることだった!でも、踊れない私は要らないの!」
純介「じゃあ、みんなに聞いてみようぜ。智恵のことをみんなはどう思っているのか。どうせ、才能がある俺には何を言っても響かないかもしれないしな...」
俺はLINE通話で栄に電話をかける。
栄『もしもし?どうかした?』
純介「なぁ、栄は智恵のこと、どう思う?」
栄『智恵のこと?そんな事急に聞かれてもなぁ...うぅん、しっかりしてると思うよ。一家に一人欲しい。』
純介「じゃあ、智恵が踊れなくなったらどうする?」
栄『どうするって...どうもしないだろ?踊れないからって智恵の全てが駄目になった訳じゃない。他にも智恵の良い所はたくさんあるだろ?仲間思いのところだったり、皆の為に寝る間も惜しんでダンスのこと考えてたり。あ、純介が踊れないのも悩んでたぜ?どう教えたらいいのか、俺と稜に聞いてきたしさ。俺らのことが大好きな智恵のことが、俺は大好きだ。だから、踊れなかろうが声が出せなくなろうが目が見えなくなろうが、俺は智恵のことを見捨てないよ。』
栄の熱弁をスピーカーで聞いていた智恵は顔を真っ赤にさせている。
純介「その惚気、本人も聞いてんぞ」
栄『え?嘘、その場にいるの?マジ?聞かれてたの?恥ずかしっ!』
智恵「あの...栄!」
栄『あ、本当だ。智恵の声...』
智恵「ありがと!」
栄『おう!』
俺は電話を切る。栄は俺の意見を代弁してくれた。だから、語ることはない。
今回は、珍しく1度ループしただけで正解を導いた純介。全ては栄のおかげ。
栄は、メンバーの7人のいいところをすぐに語ることができます。




