第102話 「俺は殴るぞ!」
仮面の男「いやぁ、純介君。災難だったね?」
純介「───ッ!」
俺は、仮面の男のいる空間に呼び出された。俺の心に怒りが込み上げる。
純介「お前ぇぇぇぇ!全部、お前がやったんだなぁぁぁ?」
仮面の男「まさか?私は何も指図なんかしてないよ。あれは、紬のオタクが自ら行った行動であって、私は微塵も関係していない」
純介「でも、俺が...紬が死ぬところは見てたんだろ?」
仮面の男「あぁ、見ていたさ。いい轢かれっぷりだったね。少し酷かったけど、それ以上に清々しい気持ちになったよ」
純介「なんで...助けなかったんだよ!」
仮面の男「助ける?なんで、助ける必要があるんだい?」
純介「目の前で、死んじまうんだぞ?7月4日だってそうだ!紬は何度も死んだ!なのに、なんで助けなかったんだよ?」
仮面の男「だって、助けたら面白くないじゃないか?それに助けたら君の為にならない」
純介「面白くない?お前...人の命をなんだと思っているんだ?」
仮面の男「ゴミか塵...かな?」
俺には見えた。仮面の奥で男が笑うことを。
純介「俺は殴るぞ!お前のことをぉぉぉぉ!」
俺は仮面の男を殴ろうとする。が、殴れない。
純介「なっ!」
仮面の男の体は実体としてない。触れることができないのだ。体を通り抜ける。
仮面の男「残念だね。実体がないんだよ。だから、いくら殴っても無駄さ」
俺は、仮面の男を殴り続けるが虚しくも攻撃は当たらない。
仮面の男「小賢しいね、純介君。仲違いはあまりしたくは無いのだけれど...そんなに、殴るとチェンジしようかな?」
純介「チェンジってなんだよ?」
仮面の男「ループする人を変えるんだよ。次は誰がいいかな?智恵かな?智恵は心が弱いからすぐに折れそうだな。それも、見ていて面白い。誰に縋るかが大事だね。きっと、3日と4日で美緒と梨央にへつらうんだろうね。それとも、紬はどうかな?初っ端からオタクに殺されてスタートさ。オタクに追われながらも問題解決は見ものかもね」
純介「そんな脅し...ありかよ!」
俺は仮面の男を殴る手を止める。もっとも、何も当たってもいないのだが。
仮面の男「脅しだなんて人聞きの悪い。あるものを利用しただけさ。もっとも、大地震を起こすことも氷河期にすることもできるけどね?」
純介「って、さっきの脅しは意味ないじゃねぇか。俺の前任がいたけど、そいつは俺が作曲しなかったからループを止められなかったんだろ?」
仮面の男「お、作曲まで絞れるとは流石、純介君だ。そうだね、ループを止められなかった。でも、純介君の心を無理矢理変えることはできる。心身を操るのさ」
純介「お前は人の心を持ち合わせてないのか?」
仮面の男「失礼だな。持ち合わせているよ。私を突き動かすのは人間が持つ知的好奇心そのものさ」
純介「あぁ、そうですか。お前の方が大量殺人鬼じゃねぇか」
俺はそんなことを呟く。すると、仮面の奥から、俺は睨まれたような気がした。
仮面の男「純介君、ちょっと君は失礼過ぎはしないか?年上を敬いなよ?あぁ、そうだ。君に罰を与えよう。君が反省するような罰をね」
仮面の男がそう言った瞬間、俺はどこかで目が覚める。俺は、栄に首を絞められていた。




