デスモスチルス城2
「のべ太さん……それは本当なんですか?」
初めて知った真実に、半泣きだったアビシャグは、いわゆる鳩豆……鳩が豆鉄砲を食ったような顔となった。
「本当さ……今まで黙っていてゴメンね、アビシャグ」
のべ太は、なるべくダケヤマや他の人に聞こえぬよう小声で話すと、少しパーティーメンバーから距離を置いた。
「さあ、私なら平気だろ?」
「は、はい……お願いします」
のべ太が優しくアビシャグのセーラー服の中に手を入れて何やらゴソゴソすると、驚いた事にネズミキツネコウモリが大人しく出てきて、一声鳴いた後どこかに飛び去って行った。魔法使いは頬を赤らめてはいたが、のべ太にされるがままの従順な女の子となっていた。
「おいおいおい、えらい差やな」
「ダケヤマさんは黙ってて下さい」
「何やと~?」
ダケヤマとアビシャグのじゃれ合いに、のべ太は苦笑いしていたが……事の顛末を見届けたアスカロンは、全てを悟っているかのような雰囲気だ。そして、もういいだろうと思ったのか、さり気なく皆の前で言った。
「のべ太の中の人は、やっぱり女性だったのか」
突然のカミングアウトに、一同が凍り付くかと思われたのだが……。
「さすがだね、アスカロン。隠し通すのは、自分の性格的には無理だろうと思っていたし。そうさ、正解! ゲーム内のアバターや性別は男性で登録していたけど、私は女性プレイヤーだったのさ!」
「何ィ!? 今まで全然、気付かんかったわ! のべ太君は女子やったんか! ほんまに大ショックや!」
今になってダケヤマは、のべ太の顔やスタイルをまじまじと観察し始めた。
美しいハーフエルフの青年。線が細いタイプで、優しく繊細なイメージだったが、まさか本物の女だったとは!
「気まずいから、そんなに見つめるのはよしてくれよ。マジで女なんだぜ」
「そうです! じろじろと見るのは失礼ですよ!」
「あっちゃんは、そないな事言うけど……何や、こっちでは一応〜男同士やんか」
のべ太君なら求愛されてもイケるかもしれない……ハーフエルフの綺麗なお顔で、心は正真正銘の女性ならば……などとダケヤマが、よからぬ妄想を膨らませている間、ここぞとばかりにアスカロンは、のべ太にダメ押しする。
「……寺島行久枝ちゃんだろ? もうとっくの昔にバレてるぜ」
カゲマルが腕組みしながら、うんうんと頷いた。
それを聞いたのべ太は一瞬、愛用の弓と矢筒を落としそうになったが、すぐに元の冷静さを取り繕う。
「――驚いた! ひどい、西田秋水! 知ってて黙ってたのね。いつから分かってたの?」
「行久枝ちゃん、いくら姿や名前を変えていても、言動や何気ない仕草や癖でバレちまうもんだぜ」
「幼馴染みには全てお見通しだったって訳か。う〜ん、悔しい……。あんた、ボケーッとしてそうで案外鋭いのね」
突如、女性口調となったのべ太に、ダケヤマとアビシャグは唖然とするしかなかった。




