敵陣殴り込み3
アスカロンはデスモスチルス城にある本丸の入り口をダケヤマに大声で示した。
「雑魚共と遊んでいる暇はない! フォークリフトの突撃で奇襲を成功させよう!」
「了解です、隊長ッ! 皆しっかり掴まっとけよ!」
前輪をスピンさせながら、フォークリフトを急発進させると人狼の仲間を置き去りにした。石畳を駆け抜ける振動でアビシャグが悲鳴を上げるが、構っていられない。
遠目が効くのべ太が、舌を噛みそうになりながらも異変に気付く。
「ちょっとカゲマルが派手にやりすぎたな、早くも何か出てきたようだ」
見ると城内や石畳の周囲の小屋から、慌てて出てくる小汚い集団がある。ダケヤマは、思わず感心して答えた。
「あの小っちゃい緑色……あれは、ゴブリンか? とんがった耳に鼻……ほんまにゲームのまんまやん、初めて見たで」
簡素な防具と棍棒のような原始的な武器を携えた小鬼達が、果敢にも行く手を阻む。屋根から狙う、のべ太のホーミングアローが先頭のゴブリンを撃ち倒す頃、カゲマルの治癒魔法を終えたアビシャグが叫んだ。
「あと三分ほど持ちこたえてください。衝撃魔法で蹴散らします!」
長い呪文の詠唱に入った魔法使いは無防備状態となる。ダケヤマはリフトのフォークを若干上昇させると、数に任せたゴブリンの波状攻撃と正面からのガチンコ勝負に打って出る。
「どけどけええええええィィィ! 現場の力を思い知れええええええ!」
アクセル全開で奇声を上げる緑の塊に向かって突進する。
「ギャアアア!」
目を塞ぎたくなるような衝突の瞬間、数本の長槍がダケヤマの肩と胸をかすった。フォークにゴブリンが串団子のように刺さるかと思われたが、防具のせいか……キューに突かれたビリヤードの玉のように弾き飛ばしてゆく。
「危ない! あっちゃん!」
隣の魔法少女にダケヤマが覆い被さった瞬間、弧を描きながら飛んで来た石斧が頭部に命中した。衝撃で強化プラスチック製ヘルメットの側頭部がバキバキに割れる。
「ダケヤマさん!」
「……こ、恐あああ! 俺じゃなかったら死んで…………ぴよぴよぴよぉぉぉッッッ!!」
「きゃあああ! ダケヤマさんが頭を打っておかしくなっちゃった!」
加速が鈍くなるどころか、むしろスピードを増している。五人を乗せたフォークリフトは、簡素な城門に対して真っ直ぐに進み続けているように思えた。
「さすがだな、リフトに乗ったダケヤマ殿は無敵だ!」
そして天井でナビゲーションするアスカロンは、城門前にいる巨躯の護衛を発見して注意を促した。
「あの熊の毛皮を着た二体は、狂戦士か。厄介な奴が出てきたぜ……!」




