新パーティー結成2
すでに魔法使いアビシャグは、ティケ師匠救出のため、尽力する覚悟を決めている。そして固唾を呑んでダケヤマの返答を待った。
「俺……俺は……ただのお笑い芸人やけど……カヤタニや! 俺は喋れんようになった相方を、元に戻すためなら何でもするで!」
カヤタニという女性を助けるためならば本気になる――そんなダケヤマの姿を見てアビシャグは、何とも言えない気持ちとなった。
最近、自分で恥ずかしくなるほどダケヤマの事が気になって、独りで赤面したり切なくなったりするのだ。
「で、でもダケヤマさん。そのためには闇落ちした師匠を、何とか説得して魔法を解いて貰うか……」
ティケ奪還に執念を燃やすアスカロンは、自分に言い聞かせるように続けた。
「……あるいは殺すしか失語魔法を克服する方法はないな」
アスカロンの苦渋に満ちた発言は、一同をしんとさせるに十分なほどの気迫を帯びていた。アビシャグが沈黙を破る。
「ア、アスカロン! 師匠は……いや、ヘカテとは会話ができたそうです。ひょっとすると人の心を取り戻せる可能性が残されているかも!」
「そうかもな。だがもし無理ならば……この俺の手で……そうしてでも邪悪な道から救ってやりたい……!」
その言葉が出た時のアスカロンの両拳は、血が滴るほど握り締められていた。
「わ、私も優しくて大好きだったティケさんが、そう簡単に心の芯まで闇に染まるとは、今でも信じておりません」
のべ太はアスカロンを諭すように言った。
「やっと見つかったティケだ。敵の本拠地に乗り込んで、彼女を悪の道から引き摺り下ろしてやろうぜ!」
「そうだな、役者は揃ったし、後は覚悟を決めるだけだ! 本物の悪魔が運営している脱出不能の呪われたゲーム内には何が待ち受けているか分からない。だが、迷っている暇はない。行くぞ! ダケヤマ殿!」
「おおーッ! とちゃうわ! いきなり突撃できる訳ないやろ! 大体、情報量が多過ぎんねん! 頭の中で整理するのが大変やわ」
「杜撰な計画と思われても仕方ない。だが好機を逃したくもない。準備が整い次第、すぐ出発するぞ。装備はフォークリフトを含め、屋敷内に全て準備してある。色々ありがとう、のべ太! アビシャグは少し休んでおいてくれ….」
テキパキと物事が進んでゆく中、ダケヤマはまだ躊躇していた。心の中に引っかかっているモノがあるからだ。
「俺、ちょっと行ってくるわ」
「ああ、分かっているさ。なるべく手短にな!」
「ありがとう、アスカロン。そして皆、ちょっと待っててな」




