モテ期到来4
駆け付けたダイナゴンが、指導教員のようにゼノビア姫を叱りつける。
「ひ、姫様……! その男は危険です。とにかくダケヤマさんから、今すぐ離れて下さい」
「イヤじゃ! もう我は、この男を離さんぞ。一緒にいたいのじゃ!」
「も~う! ワガママはよして下さいませ!」
ついにダイナゴンは、ゼノビア姫の腰を掴むと、実力行使でダケヤマから引き剥がしにかかった。
その時、空中を滑空していた謎のモンスター、ウマヅラビジンが羽ばたきながらダケヤマの頭に舞い降りてきた。
「うわーっ! 今度は何やー?」
怪鳥ウマヅラビジンは、その名の通り馬面した美しい鳥で、ダケヤマの頭が気に入ったのだろうか、うっとりとした表情で求愛のダンスを始めた。
「何やねん、お前は!? ひとの頭の上で、やめんかい!」
ダケヤマが無理に引っ張っても、頭を振っても、ウマヅラビジンは、両脚で髪の毛を掴んだまま離そうとしない。このまま生暖かい頭頂部で卵を産んでしまいそうだ。
魔法使いアビシャグは、ますます感心して声を震わせながら呟いた。
「う〜ん、これは凄い! 人間だけでなく、モンスターのメスまで虜にしてしまうとは!」
カヤタニの隣には、頭にピンクの怪鳥を乗せたダケヤマが、ゼノビア姫とダイナゴン、それにアビシャグに囲まれて揉みくちゃにされていた。
「ダケヤマ、我と一緒に遊ぶのじゃ!」
「ダケヤマさん♥ ドサクサに紛れて……、ほっぺにチュッ!」
「いやはや、これはちょっと、スゴすぎ!」
しばらくの間、目の前で繰り広げられる信じ難い光景に、家臣団も護衛の騎士達も唖然としたまま傍観するしかなかったのである。
団長の無頼庵は、昨晩と同じくらい動揺して頭を掻きむしった。ハゲが進行するかもしれない。
「ダイナゴンまで……、あぁ! 何という事だ~」
その一方でアスカロンとのべ太は余裕で笑っている。姫君のV次回復を証明するかのような、はっちゃけぶりに一安心といったところか。
だが赤騎士の穴金は、少しダイナゴンに気があるのか、誰にも気付かれないよう舌打ちするのだ。
シンニフォン王国の城内では、久々に春風のごとく爽やかな空気が、流れては消えた。
――だが王国に不穏な影が覆いつつあることを、この時誰も知る由もなかった。
突如、場違いな長髪の忍者カゲマルが騒ぎに紛れて登場し、素早くアスカロンに耳打ちする。
すると、みるみるうちに騎士の顔が険しくなってきた。横にいたのべ太も何かを感じたのか、遠くの地平線に視線を落とし、尖った耳をそばだて始めたのだ……。




