モテ期到来2
ダケヤマとカヤタニは緊張した。この世界でコンビを生かすも殺すも、王女様の気分次第である事は間違いないだろう。
城の中庭は、文化や様式の異なった大名行列の様相を呈している。厳かな侍従達と、金糸によって刺繍が施された豪華な衣装に袖を通した大臣が、騎士の穴金と何かを話していた。
「ご苦労、穴金殿。無事に客人の二人を連れてきてくれたか」
「ええ、護衛役のダイナゴンと城下町にて合流しました」
「そうか、では姫様のご機嫌が麗しい今のうちに、さっさと済ませてしまった方が良かろう」
「それでは彼らを送り返す、派遣魔法の準備は?」
「アビシャグ殿が城内にて、朝一から動いているので大丈夫だと思われるが」
何だか慌ただしい雰囲気の中、放置されたままのダケヤマとカヤタニは立ち尽くした。彼らの友好的な態度からすると、元の世界に戻してくれる事は間違いなく、約束を反故にしたりはしないだろう。格式ばった古風な思考と社会性からして、その点だけは確信できる。
ようやく落ち着いて冷静に観察できるようになると、集団の中央付近に円卓の騎士団が勢揃いしているのが分かった。
昨晩と同じ軽装の鎧姿である団長の無頼庵を中心に、青騎士のルンバ・ラルとトムヤム君が顔を揃える。トムヤム君は今朝のカヤタニとの一件があったためか、しきりにカヤタニの方を気にして視線を合わせてくる。カヤタニは、あくまでドライだった。
「何やアイツは? 嫁やったら、この世界で探せっちゅーに」
「おまえ、ここに残ってもええんやで」
「マジで言うとるんか、アンタは? 冗談やないで」
カヤタニは片足を上げると、ダケヤマの膝下をキックした。
少し離れた所で、剣の柄に手を置く騎士らしい騎士がマントの下から手を振ってきた。アスカロンとハーフエルフののべ太だった。
「私、あのイケメン二人やったら、即OKやわ。告られたら、付き合うかもしれん」
「確かにあの綺麗なのべ太君やったら俺でもOK出すわ。絶対に断れへん」
「う~ん、女好きのアンタでもか? 無理もないな~」
カヤタニがキモいと否定しなかったほど、アスカロンとのべ太は際立つ美しさの爽やか青年だったのである。彼らに比べれば、赤騎士の穴金は近寄りがたいというか孤高の騎士だ。決して悪い人ではないと思われるのだが。
更に見覚えのある黒マントの女の子がダイナゴンに手を引かれて出てきた。
「ちょっと! そんなに引っ張らないでくださいよ」
紺色のセーラー服に魔女のとんがり帽子、なぜか眼鏡の魔法使い、アビシャグが慌てている。
思えばスカンピンのコンビを酷い目に遭わせた張本人なのではないだろうか。




